[No.37] スカイライン -征服- (Skyline) <52点>





キャッチコピー:『地球制服3日間の黙示録 - そのとき、愛も英雄ものみこまれる』

 英雄不在の黙示録。

三文あらすじ:親友であるテリー(ドナルド・フェイソン)のバースデイ・パーティーに参加するためロサンゼルスにやって来たジャロッド(エリック・バルフォー)とエレイン(スコッティ・トンプソン)は、早朝に友人の一人が青白い光の中に吸い込まれる瞬間を目撃する。窓の外には、巨大な未確認飛行物体が大量に飛来し、地上から人間を次々と吸い上げていく信じがたい光景が広がっていた。エイリアンによる地球征服の3日間が始まる・・・


~*~*~*~

 
 本作は、なにやらどこかで見たような要素を寄せ集めて作られたエイリアン侵略映画である。まず、エイリアンが地球に降り立ってからの3日間を描くという趣向。これは『インデペンデンス・デイ』だ。母船から出てくる小型のエイリアンは、触手をウネウネさせ、イカが海を泳ぐように空を飛んでいる。これは完全に『マトリックス』のセンチネル。さらに、エイリアンの母船内部は『エイリアン2』で見たエイリアン・ハイブような雰囲気だし、巨大なエイリアン・マシンが地上を逃げる人々を上から"摘んでいく"様は『ターミネーター4』で巨大ターミネーター”ハーベスター”がやっていた。




 また、マンションの一室に立てこもった登場人物たちが互いに反発し合うというのは、ゾンビ映画などでよくあるシチュエーション。それから、主人公ジャロッドは、エイリアンの光を見たため身体に異常を来し、感情の高ぶりに応じて超人的パワーを発揮する。そして、ラストでついに母船に吸い上げられたジャロッドは、エイリアンのボディに脳を移植されるが、不屈の精神で自我を保ち、恋人エレインの危機を救う。おい…どう見ても『仮面ライダー』ではないか!



 本作は『世界侵略:ロサンゼルス決戦』から技術をパクったとしてソニーから訴えられたらしいが、ここまで他の映画をパクっているところを見ると、『世界侵略』からも本当にパクったのではないだろうか…なんてことを邪推してしまう。もちろん、他の映画からアイデアをパクことそれ自体が悪いとは言わない。クリエーターは少なからず他作品からの影響を受けるものだし、そうやって過去の作品の良いところに新たな創作性を付加することで、知的財産全体が発展していく。しかし、本作には、本作独自の見どころがほとんど見あたらない。ビジュアルも特に斬新ではないし、プロットはこの手のジャンルではよくあるベタだ。しかも、本作にはこれ以外にも決定的に悪い点がある。



 それは、登場人物に魅力が無さ過ぎるということ。感情移入できないと言い換えてもいいだろう。中でも特に主人公ジャロッドには、魅力がないを通り越して怒りを覚える。まず、彼の見た目が、この手の映画の主人公としてはなんだかチャラすぎる。イケメンではあるのだろうが、一言で言って"いけ好かないタイプ"のイケメン。アントニオ・バンデラスを少し崩した感じというか、エイドリアン・ブロディを少し整えた感じというか、とにかくなんだか嫌みな感じのイケメンなのである。



 まぁ、これは筆者の好みの問題なのでいったん置いておくとしても、彼のあまりのヘタレさにはみんなイライラしたのではないか。恋人の妊娠を知っての第一声が「クソッ」。エイリアンが攻めてきてからは親友のテリーに逐一お伺いを立て、そのくせテリーの判断にイチャモンをつける。唯一テリーの判断に手放しで賛成したのは、テリーのヨットで脱出するというプランだが、その際もエレインの真摯な反対を無視。そして、ヨットハーバーへ向かおうと車を出したところでエイリアンの襲撃に遭い、テリーは命を落とす。テリーが死んでからは、代わって登場した頼れるホテルマン、オリヴァー(デイヴィッド・ザヤス)に仕切られっぱなし。しかも、この期に及んでまたヨットでの脱出を提案するという低脳っぷりを披露する。だいたい外は非常時で、当の本人は自分の子を宿している彼女を守らなければならない立場であるにもかかわらず、ずっと現実逃避しているのが腹立たしい。その点はオリヴァーにも叱責され、挙げ句の果てには、軍の核攻撃が一定の効果を上げた際の女性陣の安堵のハグをオリヴァーに獲られる始末。しっかりしろ、ジャロッド!



 そんな彼も一応最後の方はエレインを守るため勇敢に戦うようになるのだが、時既に遅し。哀れ、エイリアンの母船に吸引されてしまうのだった。

 というわけで、本作唯一の見どころは、頼れるホテルマン、オリヴァーの渋さだろう。彼は人類滅亡の非常時に抜群のリーダーシップを発揮する。もう助からないと覚悟を決めた彼が、コンロのガスを部屋に充満させ、タバコをくわえてライターを構えながら巨大エイリアンを待ち構えるシーンも大変グッド。エイリアンが目の前に迫り、いざ火を点けようとするとライターが点火しないというのも、なにやら皮肉に満ちた格好良さがある。タランティーノなんかがやりそうな展開だ。ここで「Fuck…」とか言わせて、そのままエイリアンに吸引されていればパーフェクトだったのだが、一悶着あって結局爆破してしまう。惜しい。分かってないなぁ、この監督…。



 と、思って監督が誰か調べてみたら、本作の人物に魅力の無い理由が判明した。本作の監督は、グレッグ&コリンのストラウス兄弟だったのである。そう、あの世紀の駄作『エイリアン VS プレデター2』の監督だ。エイリアンとプレデターとの夢の対決!というファンの期待を裏切らない秀逸な出来だった1作目とは違い、『エイリアン VS プレデター2』は、しょーもないプロットと暗くて何やってるか分からないダメダメな映像、そして何より登場人物の魅力の無さが際立つファンご立腹の一本である。もうこの兄弟にエイリアンものを撮らせるのはやめにして欲しいものだ。

点数:52/100点
 公開時の評判通り、確かにエイリアンのグラフィックは凄く綺麗で迫力がある。映画館の大スクリーンで観たらもう少し本作の評価も上がっていたかもしれない。しかし、エイリアンの造形や動きはやはり月並み。訴訟の結果がどうなったかは知らないが、映画のおもしろさでは『世界侵略:ロサンゼルス決戦』に特大の軍配を挙げたいと思う。

(鑑賞日[初]:2012.2.13)

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