[No.38] ファンタスティック・フォー/超能力ユニット(Fantastic Four) <80点>

Fantastic 4



キャッチコピー:『4人の愛、4つのパワー、1つの使命。』

 Fantastic Four And An Ugly One.

三文あらすじ:天才科学者のリード・リチャーズ(ヨアン・グリフィズ)は、親友のベン・グリム(マイケル・チクリス)、元恋人のスーザン・ストーム(ジェシカ・アルバ)、その弟のジョニー・ストーム(クリス・エヴァンス)らとともに、旧友であり今はスーザンの上司であるヴィクター・フォン・ドゥーム(ジュリアン・マクマホン)の出資の下、太陽風の実験のため宇宙に出る。しかし、計算外に早く到来した太陽風が宇宙ステーションを直撃し、彼らはみな特殊能力を宿した身体になってしまう。手に入れた強大なパワーを悪事に使おうとするドゥームに対して、残りの4人は超能力ユニット”ファンタスティック・フォー(Fantastic Four)”を結成して立ち向かう・・・


~*~*~*~

 
 本作には、華がない。太陽風の直撃によって、リードはゴム人間に、ベンは岩石男に、スーザンは透明人間に、ジョニーは火炎人間に、そしてドゥームは金属人間になる。いずれもどこかで見たような能力だ。『Xメン』と被っていて、しかも彼らより小規模。特に日本では、『ワンピース』のルフィやエースを想起する人も多いだろう。演じる俳優陣にしても、まぁ、日本で比較的有名なのは、ジェシカ・アルバくらいだろうか(まぁ、今となってはキャプテン・アメリカとして知らぬ者のないスーパースター、クリス・エヴァンスがMr. トーチを演じているが、当時の日本で彼を知る人なんていなかった。)。

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 やっぱり……セクシー!
 アンド……

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 …セクシー!! まぁ、でもそれだけ。それ以外はみな認知度の低い地味な面々である。やっぱりスーパーヒーローは、クモに噛まれたり、コウモリを操ったり、パワードスーツを自作したり、そもそも宇宙人だったりしなければいけない。

 とはいえ、本作は非常によくまとまった素晴らしいスーパーヒーローものである。何より、5人の能力を上手く使った見せ場や展開が極めて理に適っているため、観ていて気持ちいい。太陽風発生装置のエネルギーが足りないときは、無限のエネルギーを身体に蓄積できるドゥームが登場し、熱追尾ミサイルを逸らすときには、何百度もの体温を持つジョニーが引き受ける。また、4人のコンビネーションもしっかり決まっていて、特にラストでドゥームを倒す際には、ジョニーが燃やし、スーザンがその炎を封じ込め、ベンが怪力で水道管を破裂させ、リードが自身の身体で水の通り道を作り、ドゥームを急速冷却させる。全身金属のドゥームは、急速な加熱の後急速冷却されることで、カチカチに固まってしまうというわけだ。まぁ、天才科学者のプランがそれかい!という突っ込みは至極もっともではあるが、4人それぞれがきちんと役割を果たし敵を倒すという展開は、非常に爽快。SFファンというのは、荒唐無稽でもいいから、何かありそうだよねと一応納得できる形にまとめて欲しいのである。だいたい映画なんか全部つくりものなのだから、製作者が設定した前提を土台として合理的な結末を描ければ満点だろう。本作は、別々の能力を手に入れた5人が、みなストーリーにピタッとはまっている。

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 そんな本作が、近年映画化が相次いでいる他のヒーローものの中でも飛び抜けて優れているのは、期せずして能力を身につけてしまった者の”苦悩”の描写である。そう、一人だけ人として扱われていないかのようなニックネームを付けられた”ザ・シング”ことベン・グリムの苦悩である。

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 同じように太陽風を受けたメンバーの中で、何故かベンだけが常時開放型の能力。しかも何故か岩石との融合を果たしてしまったので、見た目に醜く、愛し合っていたはずの妻に逃げられてしまう。何という孤独だろう。確かに、他のアメコミヒーローも孤独に悩む。しかし、スパイダーマンにしろ、バットマンにしろ、スーパーマンにしろ、ヒーローは世界に彼らしかいない。孤独とはいえ、そこには大なり小なり一般人より優れた能力を身につけたことへの優越感もあるだろう。ところが、ベンはどうだ。彼は世界で唯一の特殊能力者ではない。彼の他に4人(ドゥームを含む。)も特殊能力を身につけた超人が存在し、しかもその4人ともが普段は人間の姿をしている。ベンは、他の超人とは違い、世間から「他の4人はシュッとしてるのに、あの岩男だけ醜いわねぇ。」という目で見られるのだ。世間とは無責任なもので、怪物のような風貌のベンをさっそくフィギア化しようとする。ボタンを押すと「正義の鉄拳タイムだ!」と醜い声で叫ぶそのフィギアを見せられて、ベンはたまらず叩き潰す。その孤独感たるや筆舌に尽くしがたいものがあるだろう。

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 橋の上で人々を救うシークエンス。野次馬の後ろから、最愛の妻がベンを見つめる。そして、彼女は結婚指輪をそっと道路に置き、立ち去る。失意の中、ベンは指輪を拾おうとするが、巨大な岩石と化した指では小さな指輪を拾えない。ガリガリ、ガリガリとアスファルトを掻きむしるベン。呪っても呪っても呪いきれない、不幸な運命である。このシーンは、本当に素晴らしい。ベンの苦悩を極めて端的にしかし克明に描写している。

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 これこそが特殊能力を身につけた者の真の苦悩だろう。ベンのリアルな苦悩を目の当たりにしてしまった後では、もはやスパイダーマンなどただのチャラ男にしか見えない。彼はたまたま良い感じに遺伝子組み換えが行われたから、あんなにスマートなクモ男になれただけであって、本来なら『ザ・フライ』におけるセス・ブランドルのように、朽ちていく己の肉体を恨みながら命を絶つという極めてシリアスなドラマになっているはずだったのだ。

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 しかし、それほどの苦悩を背負いながらも、ベンはただただ悲観してばかりはいない。彼は、岩石と男気の塊なのである。リードが開発した人工太陽風発生装置、そして、ドゥームの持つ無限のエネルギーによって、彼は元の人間の肉体を取り戻す。こんな喜びはない。失った妻も今ならまだ取り戻せるかもしれない。しかし、親友リードの危機を前にして、彼はなんと自ら再び岩石の身体に戻ることを決意するのである。そして、再び”ザ・シング”となり宿敵ドゥームに立ちはだかった彼が言い放つのは、このセリフ。

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「正義の鉄拳タイムだ!」


 …誕生である。真のヒーローの誕生だ。

 ベンの新しい恋人が盲目という設定も素晴らしい。そんな都合良く盲目の美人と出会うかい!とか、目ぇ見えへんねやったら本質的な解決になってないやんけ!と苦言を呈する人もいるだろう。しかし、それは間違いだ。ベンは馬鹿ではない。自分が醜いということをしっかり理解し、それを受け入れた上で再び岩石の身体に戻った。人はどうしても目から入る情報によって判断を行ってしまう。ベンの心は綺麗だと頭では分かっていても、目に映る醜いベンの姿を完全に捨象することはできない。しかし、盲目の彼女なら本当に心と心で触れ合うことができる。チャゲアス風に言うと、愛には愛で感じ合えるというわけだ。

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 筆者は、現実をしっかり受け止めた上でのベンのこのクレバーな恋人選択を心から支持する。本当の苦悩を知り、それを乗り越えたヒーローの極めて地に足のついたハッピーエンドだろう。これでまた性懲りもなく普通の女と付き合ってたら、お前は全然懲りてへんやんけ!と憤慨していたところだ。ただ…夜の営みはどうするのだろうか…。

点数:80/100点
 全体のまとまりは素晴らしいが、まぁ、お気楽ヒーロー映画という評価は免れないと思われる本作。しかし、そう思って今まで観ずにいた人は、ぜひ一度鑑賞してもらいたい。本物のヒーローが、ここにはいる。

(鑑賞日:A long time ago...)

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Comment

  • ナイシトール
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ドゥームが電気を体にため、放電して恨みのある銀行マンの腹に風穴を空ける、こんなん最強やん、敵がとても強そうに見えたのも良かったです。また、特殊スーツ着用前のスーザンが透明になるために裸になるナイスお色気が入っていたのもまとまりを良く感じさせる要因かなと思いました。

  • Mr.Alan Smithee
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Re:

おっぱいですね。
世の中の”正義”は、突き詰めるとだいたい”おっぱい”に集約されます。

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