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16
2012

[No.40] 主人公は僕だった(Stranger Than Fiction) <82点>

CATEGORYドラマ
Stranger Than Fiction



キャッチコピー:『人生のストーリーを書き直したいすべての人に贈る、奇想天外で心温まる感動作。』

 ”人生”という舞台では、誰もが主人公だ。
 そう、きっとあなただって。

三文あらすじ:会計検査官のハロルド・クリック(ウィル・フェレル)は、 毎朝同じ時間に目覚め、同じ回数だけ歯を磨き、同じ歩数でバス停まで歩き、毎晩同じ時間に眠る極めて几帳面な男。ある日、自分の生活や心理状態を小説のような語り口で”描写”する女性の声が聞こえ始めた彼は、文学を研究する大学教授ジュールズ・ヒルバート(ダスティン・ホフマン)に相談する。その結果、小説家カレン・アイフル(エマ・トンプソン)が執筆中の小説通りにハロルドの人生が展開しているという小説よりも奇なる(Stranger Than Fiction)事実が判明し、同時にハロルドは、彼女が作品の結末で必ず主人公を殺してしまう悲劇作家であることを知る・・・


~*~*~*~

 
 本作は、珠玉の人間ドラマである。
 ”引き”のある設定、極めて上手くまとめられたプロット、生き生きした登場人物のキャラクター、彼らのウィットに富んだセリフのやり取り、時に小気味よく時にエモーショナルな音楽などなど、様々な要素が適切に噛み合っている。アイフルが導く結末は悲劇が喜劇かという縦糸で突き進み、観客はラストまで目が離せない。そして、だいたいこういう引っ張り方をすると、ラストがバッドエンドでもハッピーエンドでもなんだか安っぽい感じになってしまうものだが、本作はその辺の描写も非常にきめ細やかで、真に感動できるハッピーエンドに仕上がっている。

 スランプに陥っているアイフルは、小説内のハロルドのいい殺し方がどうしても思いつかず、人が死にそうな様々な場所に赴く。例えば、自動車事故を想定して雨の日の橋を見ていたり、ストレートに死人が見たくて病院を訪れたりといった具合だ。彼女がそれらの場所を見学しているとき、彼女の目は如何にして人を殺すかという点にしか向いていない。
 しかし、現実のハロルドに出会い、彼の人生を終わらせることにためらいを感じるとともに、今まで自分が小説内で殺してきた主人公たちにも自責の念を禁じ得ないアイフル。彼女は思い悩むが、クイーン・ラティファ演じるアシスタントのペニー・エッシャーの支えなどもあり、結局、ハロルドは子供を助けるためバスの前に飛び出し、重傷を負うも一命を取り留めるという結末を描く。

 このハッピーエンドは決して唐突なものではなくて、アイフルの取材シーンがしっかり伏線となっている素晴らしいオチ。
 雨の日の橋では飛び出す子供が出てきた。病院でアイフルは、ここには重傷だが死にはしない人たちしかいない、私が見たいのはまさに死のうとしている人たちなのだ、と病院のスタッフに詰め寄り怪訝な顔をされた。
 飛び出す子供はもちろん、”重傷だが死なない程度の怪我人”というのも、アイフルが選択したハロルドの結末を上手く帰結している。

 アイフルが描く小説はラストで”日々の生活の中にある些細な出来事も、見方を変えればその全てにポジティブなメッセージが込められている”という趣旨のことを訴える。アイフルの取材の数々も”人の殺し方”についての参考資料にはならなかったが”人の生かし方”を描く上では、大いに役立ったということになる。緻密に考えられた脚本だ。

 また、この脚本を非常に好感が持てる映像作品に仕上げた監督の手腕が素晴らしい。
 本作の監督マーク・フォスターは『チョコレート』、『ネバーランド』、『君のためなら千回でも』などなど、深みのある人間ドラマを繊細に描くことに長けている人だ。そして、007シリーズ22作目となる『慰めの報酬』を手がけたのも彼。『慰め~』もアクション大作である007の枠組みを壊すことなく”復讐”というテーマを通して登場人物のドラマをしっかりと描いていた。まぁ、従来の007らしさはずいぶん削がれたと言わざるを得ないが、それはダニエル・クレイグ版ボンドの方向性とも言えるだろう。

 このように、筆者は本作を高く評価しているのだが、世間の評価は必ずしも高いものばかりではない。その原因は、以下の点にあるのではないか、と個人的に思ったりする。

 コメディ俳優として名を馳せた者が上質のドラマ作品に出演し、俳優も作品も高い評価を得るというパターンがある。
 すぐに思いつくのは、『エース・ベンチュラ』や『マスク』で顔芸喜劇役者としての地位を不動の物としたジム・キャリーが、虚構の世界に生きる男トゥルーマンの悲しくも前向きな人生を見事に演じきった『トゥルーマン・ショー』だろう。他にも、『ゴーストバスターズ』でピーター・ヴェンクマン博士を演じた名コメディ俳優ビル・マーレイが、閉ざされた時間の中で同じ日を延々と繰り返す男フィル・コナーズを演じた『恋はデジャ・ブ』などがある。
 以上の2作に共通しているのは、コメディタッチな部分もありながら描くテーマはしっかりとした人間ドラマであり人間賛歌であるという点と、舞台設定が非常にユニークであるという点であろう。

 本作で主人公ハロルド・クリックを演じるウィル・フェレルも、『オースティン・パワーズ』シリーズでの”ムスタファ”役が印象的なコメディ俳優である。そして、予告編から推し量ることができる本作のテーマは”平凡で生真面目な男が自らの死を知ってどのように行動するのか”というものであり、ハッピーエンドであれバッドエンドであれ、結末において”人間とはどう生きるべきか”という崇高なテーマを描く上質なドラマが予想される。さらに、”小説の主人公と全く同じ人物が現実に存在していた”という舞台設定は極めてユニーク。

 以上から、過去に『トゥルーマン・ショー』や『恋はデジャ・ブ』が成功したことを知っている映画好きは、本作に高い期待を抱くことになる。それは、ユニークな舞台設定をスッキリ落とし込む見事な顛末への期待。
 しかし、蓋を開けてみれば、本作の結末はけっこう普通だ。主人公が死ぬことでアイフルの小説は世紀の傑作となるのだから、ハロルドを生かすラストはあり得ない、などとダスティン・ホフマン演じるヒルバート教授が煽る割には、余裕で予想の範囲内。どんな結末を迎えるのだろうとワクワクしていた観客は、肩すかしを食らうことになる。
 バーニャカウダを食べるつもりが、きりたんぽ鍋が出てきたみたいな。ほっこりおいしいけど、今その口になってないねん・・・みたいな感じがある。

点数:82/100点
 このように、本作は、あっ!と驚くような結末を期待した者にとっては物足りないが、始めからほっこりするつもりで鑑賞すれば、実に味わい深い名作である。一つ付け加えるなら、ハロルドと恋に落ちるパン屋さんアナ・パスカルを演じるマギー・ギレンホールのオバサン顔は、あいかわらず何故か可愛く見える。

(鑑賞日:2012.2.16)










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Tag:ヘンテコ邦題 心が温まる話 衝撃のラスト!

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