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12
2015

[No.358] 007 スペクター(Spectre) <75点>

CATEGORYアクション
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キャッチコピー:unknown

 What a Waste of WALTZ.

三文あらすじ:メキシコシティ、“死者の日”を祝う盛大な祭りの最中、ある犯罪組織のターゲットを始末した英国諜報部MI6のエージェント、“007”ことジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、奇妙な模様が刻印された指輪を手に入れる。死んだターゲットの妻ルチア・スキアラ(モニカ・ベルッチ)から組織の手がかりを得たボンドはその会合に潜入するが、組織の新たなボス、フランツ・オーベルハウザー(クリストフ・ヴァルツ)に正体を暴かれてしまう。なんとかその場を逃れたボンドは、事態の鍵を握る女性マドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と共に、裏社会を牛耳る秘密犯罪結社“スペクター(Spectre)”の脅威に立ち向かっていく・・・

<本作の主題歌“Writing's On The Wall”>



~*~*~*~


 007シリーズ第24作にして、クレイグ版ボンドとしては4作目にあたる本作『スペクター』

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 監督は、世界中のファンから大絶賛を受けた前作『スカイフォール』に引き続き、ロリコン中年親父の魂の代弁者、サム・メンデス。世界最高のスパイを演じるのは、もはやすっかり“古株”の貫録を出し始めた6代目007、ダニエル・クレイグ。ボンドのお相手を務める淑女は、まず、“史上最高齢のボンドガール”との触れ込みで堂々と登場したイタリアの妖艶、モニカ・ベルッチ。そして、『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で華々しく世界の知るところとなった(一応、『イングロリアス・バスターズ』にも出ていたが。)フランスの美麗、レア・セドゥである。

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 さて、まずはアヴァン・タイトルであるが、これは個人的に中々素晴らしかったと思う。舞台はメキシコ。喧騒と混沌のお祭り騒ぎを行く一組の骸骨コスプレカップル。それはもちろん、我らがジェームズ・ボンドと、彼がそこら辺で引っ掛けたのであろう美しきモブである。

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 ホテルの一室に入るも、いざ本番かと艶めく美女を颯爽と置き去りにして任務へ赴くボンド。往年のようにヘラヘラせず、あくまでも“スパイ”としての彼を描く冒頭は、スマートでグッド。その後、祭りの雑踏を眼下に見下ろす格好でボンドが家々の屋上を渡り歩いていくシーンもさりげなくスタイリッシュ。ここまでの一連のシークエンスで特筆すべきは、最近流行りの“長回し”であろう。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の手によるアカデミー受賞作『バードマン』で極めて印象的に(というか、見た目上はほぼ全編を通して)用いられていた撮影手法。撮影監督エマニュエル・ルベツキが同作及びその前の『ゼロ・グラビティ』で2年連続アカデミー撮影賞を受賞した、ということも相まって、一躍有名になった。要は、カット割りなくカメラが登場人物をずっとワン・ショットで追い続ける(または、そう見えるように編集する)という撮り方なのだが、本作でも、撮影当時の流行りものをいち早く取り入れた、ということなのだろう。もっとも、『バード~』から随分時間が経ってしまった今となっては、ただのパクりに見えなくもない。

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 このアヴァン・タイトルで素晴らしいのは、音楽である。始めの内は祭り囃子というか、沿道で演奏される太鼓系のリズムだったものが、いつの間にか“ジェームズ・ボンドのテーマ”へと変貌している。映像を切れ目なく綴る手法とリンクした中々秀逸な楽曲の構成だ。

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 その後は、まぁ、敵とのわちゃわちゃした追いかけっこを経てオープニングタイトルへと雪崩こんでいくわけだが、今回のオープニングタイトルは、個人的にやや微妙だと感じた。別に確固たる理由や信念を持って異を唱えるわけではない。なんとなく微妙と感じただけの話である。もちろん、サム・スミスが歌う本作の主題歌『Writing's On The Wall』は素晴らしかったのだが、とりあえず、タコをあんなにリアルタッチで描く必要性はなかったのではなかろうか。もうちょっとアートな雰囲気で良かったと思う。

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 さて、本作の内容であるが、先行公開期間中の11/28に劇場へと足を運んでおきながら今まで感想をサボっていた筆者に、今さら偉そうにアレコレ言う資格はない。一言だけ言わせてもらうなら、クリストフ・ヴァルツを無駄遣いするな、コレに尽きる。

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 タランティーノファンの端くれとして、筆者は今回のヴァルツの演技に、演技というか、ヴァルツが演じるブロフェルドというキャラクターに対して、並々ならぬ期待を寄せていたのである。『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』で見せた紳士かつ冷酷かつねちっこい彼の魅力は、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドという007史上最もアイコニックなヒールを演じるにあたって大爆発する…はずだったのに、本作のブロフェルドはまるでイマイチ。スラックスの丈も合ってないし。

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 何がいけなかったのだろうなぁ。個人的には、ヴァルツの演技がまずかったというよりは、ブロフェルドの見せ場が少なかったような気がしている。とりあえず、あの“C”とかいう小物の悪党を退場させて、ブロフェルドに時間を当ててやればよかった。それに、最近人気のプロレスラー“バティスタ”を起用したミスター・ヒンクスにしたって、初登場時以降、鉄っぽい爪を一切活かさない消化不良の敵キャラなのだから、もっと出番を削って良い。

 あるいは、やっぱり、公開前一部のファンの間でまことしやかに囁かれていた通り、モニカ・ベルッチこそがブロフェルドである、との設定を採用すべきだったのかもしれない。

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 ヴァルツ演じるオーベルハウザ―は実は“噛ませ”で、先代の未亡人たるルチア・スキアラがボスの座を引き継ぐ、というプロットである。これは極めて説得的な案だ。というか、よくよく考えていくと、これしかないと思えてくる。

 フィリックス・ライターやマニーペニーを黒人俳優が演じたり、Mを女優が演じたりといった近年の007の流れもあるし、“スキアラ”はあくまでも死んだ夫の姓であって、本来の姓は“ブロフェルド”だったとすれば、理屈も通っている。モニカ・ベルッチは“史上最高齢のボンドガール”として登場しただけあって貫録も十二分なのだし、あのクリストフ・ヴァルツを噛ませにするということで、サプライズ性もバッチリだ。何より、シリーズを代表する宿敵が、実はかつてジェームズ・ボンドと一夜を共にしていた、というのは、まぁ賛否はあるだろうが、何やらものすごく情緒的ではないだろうか。うん、やっぱりコレしかないな。

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 それから、本作で提示される“スパイの存在意義”も、なんだかおかしなことになっていたような気がする。パソコン一つで何でもできる現代でも、スパイは必要だ。それは、“銃を撃つ”=“物理的に人を殺害する”ためだけではなく、“人を殺さない”ためにも、である。要は、00ナンバーのスパイに与えられる“殺しのライセンス”とは、“対象を殺害するか否かの判断を許された許可証”なのであり、もっと言うなら、“スパイ”とは、“対象を殺害するか否かの判断を「任された」人物”に他ならない。

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 で、そういったスパイの存在意義をテーマに持ってくるところは、すごく良い。新時代の007を今後も末永く続けていく上で、ものすごく説得的だ。でも、だったら、ブロフェルドを生かしてはダメだったんじゃないだろうか。

 どう考えても、ブロフェルドに限って殺さない理由がない。あんなに凶悪極まる犯罪者は007シリーズでもそう類を見ないのだから、普通に考えて、丸腰だろうがなんだろうが息の根を止めておくべきではないか。自分と義兄弟の間柄だから殺さなかった?そんなプライベートな事情で殺したり殺さなかったりするスパイからは、今すぐライセンスを取り上げるべきだろう。それに、ブロフェルドは今後も必ず登場する。シリーズを代表する悪役なのだから、生きているのに今後一切登場しないなんてことは、絶対にありえない。そうしたら、世界中のファンはきっとこう思うだろう。「そら見たことか!」

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 したがって、本作で提示された“スパイの存在意義”とラストでの不殺生は全く以て矛盾しており、それどころか、今後のシリーズにとって忌まわしき負の遺産になったに違いない、と筆者は思ったのである。そういったところを勘案しても、本当にクリストフ・ヴァルツの無駄遣いだ。

 では、最後に、小豆大のマメ知識を2つ。

 まず、秘密犯罪結社“スペクター”の正式名称。原語では“SPECTRE”だが、これは実は略語である。すなわち…

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というわけで、日本語にすると、「対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関」となる。すごく時代を感じるネーミングである。だからこそ、本作では特に言及されなかったのかもしれない。

 もう一つ、本作終盤でスペクターのクレーター基地が爆破されるが(ちなみに、この際の大爆発は“映画史上最大の爆発”としてギネスに認定されている。まぁ、「だから?」って感じのシーンではあったが。)、そのときブロフェルドは顔の右側に深く長い傷を負う。これは、シリーズ第11作『007は二度死ぬ』へのオマージュである。

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 まぁ、正確にはオマージュというか、数多あるブロフェルドの顔の内、ドナルド・プレザンスが演じた『二度死ぬ』版のものを採用したという感じか。

 あと、もう一つだけ付け加えるなら、本作においておそらくボンドは遂に一本も煙草を吸わなかった、と思う。まだ一度しか鑑賞していないからこれは絶対ではないが、もし本当なら心底ガッカリである。

 以上、007シリーズ最新作『スペクター』の鑑賞後第一報でした。

点数:75/100点
 本作単体としておもしろくなかったわけではもちろんない。しかし、やはり“スペクター”を真っ向から描くという満を持した感や、クリストフ・ヴァルツがブロフェルドを演じるという期待、あるいは、前作『スカイフォール』よもう一度という願いを上回ってくる作品ではなかったというのが、現時点での率直な感想である。さぁ、年末も押し迫ってきた。いよいよ、『スターウォーズ』である。

(鑑賞日[初]:2015.11.28)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)










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Tag:スパイ大作戦 男には自分の世界がある お酒のお供に

2 Comments

かずみ  

No title

劇場で見てきました。
ボンドがクレーター基地で頭にドリルで穴を開けられてたシーンがありましたが、脳をいじられたのにノーダメージだったのはなぜでしょうか?

2015/12/19 (Sat) 20:56 | EDIT | REPLY |   

Mr. Alan Smithee  

No title

かずみさん

あれは、好意的に言うなら「あの最後の一発は急所を外していたのだ」となり、悪意的に言うなら「ご都合主義」だと思います。

まぁ、確かブロフェルドは、「この針がお前の脳の○○野を“正確に突き刺せば”お前は廃人になる」みたいなことを言っていたかと思うので、やはり急所を外したと捉えておくのが、最も座りの良い解釈でしょう。
少なくとも、それ以外の合理的な理由は無いように思います。

映画の演出としては、最後の一発が突き刺さる前に腕時計爆弾が爆発した方が、分かりやすく、かつ、正しかったと筆者も思います。

2015/12/20 (Sun) 17:39 | EDIT | REPLY |   

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