[No.371] バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(Batman v Superman:Dawn of Justice) <68点>





キャッチコピー:『世紀の対決。』

 なぜ“戦う”のか。なぜ“戦わない”のか。

三文あらすじ:惑星クリプトンからの凶悪な侵略者ゾッド将軍とクラーク・ケントこと“スーパーマン”(ヘンリー・カヴィル)との死闘から2年後。ゴッサム・シティの守護者“バットマン”ことブルース・ウェイン(ベン・アフレック)がスーパーマンの超人的な力を危険視する中、世論も彼と同様、その人間離れした驚異的な存在に疑問を唱え始めていた。バットマン対スーパーマン(Batman v Superman)、世界の命運を賭けた戦いを制するのは、果たしてどちらのヒーローなのか・・・


~*~*~*~


 2016年の目玉作品として全世界が待望していた世紀の対決。マーベルに後れをとったDCコミックが、やっとこさ本格的に始動させたいわゆる“DCエクステンディッド・ユニバース”シリーズの第二作目にあたるブロックバスターが、本作『バットマン vs スーパーマン』である。アメコミ映画の一ファンとして、世界同時公開日である本日2016年3月25日に鑑賞してきた筆者の第一報としては、いまいち!という言葉をお伝えしたい。

bvs1_20160810203028937.jpg


 こういう“良いもんと良いもんが戦う話”というのは、人気シリーズ作品の宿命として、どこかで必ず登場するくだりである。マニアというのは、とかく“最強説”について議論することが好きな人種だが、本作のような“vs 企画”は、そんなマニアの心情を如実に反映した趣向というわけだ。比較的最近の卑近な例で言うなら、大人気海賊漫画『ONE PIECE』の12巻、“ウィスキー・ピーク編”におけるルフィvsゾロの真剣勝負が想起されるところであろう。

 しかしながら、そのような企画に説得力を持たせることは、実は極めて難しい。最難関のポイントは、次の2点。すなわち、なぜ戦うのか、そして、如何にして仲直りするのか、である。先ほどの『ONE PIECE』の例で言うなら、まず、前者については、ルフィの勘違いが戦いの原因であった。そして、ナミの仲裁によって、両者の戦いは終結する。『ONE PIECE』におけるこの一連のシークエンスは、まぁ、キャラクターの性質もあるし、何より全体的にややギャグテイストだったこともあり、比較的上手くまとまっていたのではないだろうか。

 一方、本作においては、そのようなギャグテイストで誤魔化すわけにはいかない。昨今の“悩めるヒーローブーム”の中、ヒーロー同士の対決を描くのなら、おふざけ抜きの真剣描写に徹しなければ意味がない。そういうわけで、本作は、バットマンとスーパーマンとのガチンコ対決を極めて真面目に綴っていくのであるが、はっきり言ってこの二人の対決は、全く以て説得力を欠く

bvs5.jpg


 まず、バットマンとスーパーマンは、なぜ戦わなければならないのか。それは、取りも直さず、バットマンが空回っているから、である。もちろん、大切な社員たちがスーパーマンの戦闘の巻き添えで死んでしまったことに対するブルース・ウェインの怒りや悲しみは分かる。新生レックス・ルーサーによる工作の影響も理解できる。でも、愛する母を人質にとられているスーパーマンの現状やそんな状況下でも冷静な話し合いの場を持とうとする彼の振る舞いを描いてしまっては、問答無用でキャンキャンと仕掛けていったバットマンが、ただの逆恨みの馬鹿野郎に見えてしまう。一介の地球人だとしても、バットマンだって歴とした“ヒーロー”なのだから、もっと俯瞰で“善悪”や“真実”を判断する必要があったのではないか。ってゆーか、レックス・ルーサーの介在を対決の一因にするのなら、やっぱりクリプトナイトはレックスがバットマンに送り付けないとダメだったよな。スーパーマンを殺害できる唯一のギミックであり、それだけに対立の象徴とも言えるアイテムを自分から強奪しに行っては、もはやコウモリのヴィジランテに言い訳の余地はないように思う。

bvs7.jpg


 それから、バットマンとスーパーマンの仲直り。これはもっと悪い。公開前の大方の予想通りクリプトナイトを用いた戦闘によってスーパーマンを圧倒し、いざ止めの一撃をお見舞いしようとするバットマン。彼の手を止めたのは、バットマンとスーパーマンの母親の名前が同じだった、というなんともフワフワした事実。当然そこには、「このエイリアンも俺たちと同じ“人の子”なのか…」というバットマンなりの気付きがあったのだろうが、それにしたってそういう機微があまり伝わってこない。

bvs8.jpg


 勢いそのままにその他の悪い点を言ってしまうなら、まず、とにかく長い。上映時間は、なんと150分以上もある。『アベンジャーズ』でも140分ぐらいだったのに。しかも、なんだかワン・シークエンスがダラダラしているように思える箇所がいくつかある。例えば、ブルース・ウェインの夢のくだり。突然の荒廃した世界観に観客はみな“これは夢だな”と気付くわけだが、それを長々と続ける。バットマンがガツンと殴られ気絶して、あぁこれで起きるわけか、と思ってもまだ続く。他にも、例えば、アクアマンが登場するくだり。海底を撮影するカメラの映像をブルース・ウェインが見ているというシーンだが、暗闇からアクアマンがぬっと現れ、しばらくニヒルにカメラ目線を飛ばした後、よし、その後生大事にもっている銛でカメラを突き壊して終わるのだな、と思ってもまだカメラ目線。まぁ、どちらのシーンも“無駄に長い”というわけではないのだが、ここで終わるだろうというこちらの予想を裏切って“延長”されるため、なんだか冗長に感じてしまうのである。

bvs12.jpg


 それから、エイミー・アダムス演じるスーパーマンの恋人ロイス・レイン。彼女が全く可愛くない、というのは、筆者の個人的な趣味嗜好だから置いておいて、問題は、この聡明な敏腕記者がクリプトナイトの槍を捨ててしまうくだりである。同名の母を持っていたという奇遇によってスーパーマンと仲直りしたバットマンは、虎の子の秘密兵器をえいやっ!と投げ捨てる。その後、バットマンはスーパーマンの母救出へ、スーパーマンはレックスが生み出そうとしている最強の怪物ドゥームズ・デイの打倒に出かけていく。廃墟に一人残されたロイス・レイン。そこで彼女は何を思ったか、落ちていたクリプトナイトの槍をその辺の深い池(というかなんというか)の中にポイッと投げ捨てるのである。

bvs13.jpg


 まぁ、正直この行為自体は理解できなくない。地球に残った最後のクリプトナイトなのだから、誰かに拾われ、愛しのスーパーマンの脅威に今後ならないとも限らない。手近なところに封印してしまおうという発想は、スーパーマンの伴侶としてむしろ賞賛すべきブリリアントな考えである。しかし、結局クライマックスで、ドゥームズ・デイを倒すためにはクリプトナイトしかない、ということになり、あらやだ、槍は私が捨てちゃったわ、取りに行かなくちゃ!と潜水したロイスは、崩壊した建物の瓦礫によって水中に閉じ込められてしまうのである。おい、なんなんだ、このマッチポンプな見せ場は!そのときどきにおけるロイスの行動としてはそこまで非難すべきでないだろうが、こういう展開を採用した製作サイドは、いったいどういうつもりなんだろうか。

 さらに、その最強の怪物ドゥームズ・デイ。こいつは、見た目の既視感が尋常ではない。もう本当にありきたりなビジュアル。どう見たって『インクレディブル・ハルク』のアボミネーションではないか。ほら!

bvs2_20160326043549507.jpg

bvs1_2016032604354890f.jpg


 まぁ、筆者は原作でのドゥームズ・デイを知らないからあまり偉そうに言えないが、それにしたってもうちょっとオリジナリティあるヴィランを用意してほしかったところである。

 さて、悪口をいっぱい書いたが、本作には素晴らしい点もたくさんある。まずは、やはりアクション面。特に、序盤で繰り広げられるスーパーマン vs ゾッド将軍のバトルシークエンスは圧巻である。前作『マン・オブ・スティール』のクライマックスをブルース・ウェイン視点で描いていく回想パートなのだが、崩壊する街中を車が駆け抜けていく映像のすごさには言葉を失った。圧倒的なリアリズムとスペクタクル。要は『クローバーフィールド』みたいなもんで、個人的にはワクワクが止まらなかった。

bvs11.jpg


 少し話が逸れるが、このシークエンスの役割は、日本が誇る怪獣映画、平成版『ガメラ3』における渋谷での戦闘シークエンスと全く同様である。つまり、人類を守るために戦っていながら、結局は街を破壊することで多大なる“二次災害”を引き起こしてしまうという“ヒーローの業”を暴き出すパート。本作とは対照的に前評判が極めて良い『シビル・ウォー』でもおそらく同じようなテーマが描かれるだろうと予測し、ほほう、やっとハリウッドも『ガメラ』に追いついたか、と筆者は一人ほくそ笑んでいる。

 話を戻して本作の良かった点。アクション面でもう一つ素晴らしかったのは、新生バットモービルの爆走シークエンスである。クリプトナイトを輸送するレックスの手下をバットマンが追いかけるパートなのだが、ここではバットモービルの頑強さが極めて克明に描き出される。マシンガンなど屁のカッパ、ガトリングガンでさえ微塵も傷つくことなく、それどころか、建物だろうが船舶だろうがお構いなしに薙ぎ払っていく漆黒のマシン。

bvs14.jpg


 しかも、このシークエンスは、ラストで立ちはだかるスーパーマンにモービルを破壊させることにより、バットモービル強えぇ!・・・いや、スーパーマンめっちゃ強えぇぇ!!という衝撃の上塗りを行っている。バットモービルのカッコよさを伝え、さらにはそれを上回るスーパーマンの強靭さを端的に表現する、中々効果的なシークエンスだと感じた。

 その他、アクション面以外の良かったところとしては、やはりキャスト/キャラクター面であろうか。まずは、動物クラッカーを愛する我らが石油採掘人ベン・アフレックが演じたブルース・ウェイン。本作では、かなり晩年の設定が採用されており、これがまた渋い。

bvs9.jpg


 クリストファー・ノーラン版バットマンでのアルフレッドとルーシャスを合体させたような新生アルフレッドを演じるジェレミー・アイアンズも良い演技だ。この20年間のゴッサムはどうのこうの・・・という2人の会話なんかは、おっさんたちの渋い年季を感じさせてくれる。

bvs10.jpg


 それから、キャスト面で言うならこの人は外せない。作品自体の前評判がダメダメだった中、唯一手放しで絶賛されていたガル・ガドット演じるワンダーウーマン。これは確かにめちゃくちゃカッコいい!

bvs6.jpg


 公開前には、アメコミの女ヒーローにしては貧乳だ、などといじられていたが、中々どうして様になっている。しかし、ワンダーウーマン登場シーンがことごとく素晴らしい最大の理由は、実はBGMにあると思う。筆者の大好きなコンポーザー、ハンス・ジマー(とジャンキーXLなる人物)が本作の楽曲を担当しているのだが、彼らが生み出した“ワンダーウーマンのテーマ”が流れた瞬間、先述の通り冗長な部分も多い本作が、一気に異常な盛り上がりを見せるのである。作中流れるのは、確か、ガル・ガドットの1910年代の写真をブルース・ウェインが見つけるシーンとラスト・バトルの2箇所だったかな。当該テーマ「Is She With You?」はyoutubeにも上がっているので、是非チェックしてみてほしい。

点数:68/100点
 ブロックバスターとしてシンプルな興奮を求めるなら、観て絶対に損することはない。しかし、やはり“正義 vs 正義”というコンセプトを真剣にやるのなら、もうちょっとしっかりと詰めたストーリーが必要だったのではないだろうか。

 ちなみに、本作には入場者へのプレゼントが用意されている。それがこのクリアファイルだ。

bvs3_20160326044056b84.jpg

bvs4_20160326044058544.jpg


 裏面が『スーサイド・スクワッド』になっているところがうれしいサプライズ。無法者たちの大暴れが、今から待ちきれない。

(鑑賞日[初]:2016.3.25)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション ブルーレイセット(初回仕様/2枚組) [Blu-ray]

新品価格
¥3,900から
(2016/8/10 20:31時点)


バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組) [Blu-ray]

新品価格
¥3,127から
(2016/8/10 20:31時点)


「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」オリジナル・サウンドトラック

新品価格
¥2,230から
(2016/3/26 03:34時点)


PLAY ARTS改 Batman v Superman: Dawn of Justice ワンダーウーマン PVC製 塗装済み可動フィギュア

新品価格
¥11,300から
(2016/3/26 03:35時点)


MAFEX マフェックス BATMAN バットマン 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』ノンスケール ABS&ATBC-PVC塗装済みアクションフィギュア

新品価格
¥4,620から
(2016/3/26 03:36時点)


MAFEX マフェックス SUPERMAN スーパーマン 『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』 ノンスケール ABS&ATBC-PVC塗装済みアクションフィギュア

新品価格
¥4,620から
(2016/3/26 03:36時点)


逆恨みの春夜 (ハルキ文庫 は 7-10)

中古価格
¥1から
(2016/3/26 03:38時点)


遊戯王カード 同姓同名同盟 EEN-JP055N

中古価格
¥1から
(2016/3/26 03:41時点)


関連記事
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply





管理者にだけ表示を許可する

Trackback