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21
2016

[No.377] グッドナイト・マミー(ICH SEH ICH SHE/GOODNIGHT MOMMY) <73点>

CATEGORYホラー




キャッチコピー:『僕らのママを返して』

 だけど、俺の背中に、この胸に。

三文あらすじ:人里離れた田舎の一軒家で、9歳の双子の兄弟エリアス(エリアス・シュヴァルツ)とルーカス(ルーカス・シュヴァルツ)は、母親の帰りを待ちわびていた。しかし、やっと帰ってきた母親(ズザンネ・ヴースト)は、整形手術を受けたため頭部が包帯で覆われている上、かつての明るく優しかった彼女とは別人のように冷たくなっている。兄弟は、その女が本当に自分たちの母親なのかと疑念を募らせていくのだが・・・

※以下、ネタバレあり。


~*~*~*~


 2014年に公開され各方面から絶賛されたホラー映画。事前の宣伝から推して図ることのできる概要は、幼い双子の男の子が整形手術によって人格まで変貌してしまった母親の恐怖と戦っていく、といったものであった。まぁ、手術後の母親は顔中を包帯でグルグル巻きにしているから、ひょっとしたら母親の正体に纏わる“どんでん返し”があったりするのかしら、なんていう期待を持ってもいいだろう。おまけに、予告編で見る限り、母親は睡眠中とはいえ大ぶりのゴキブリを一匹丸ごと平らげてしまったのだから、もしかしたら既に人外の化け物になっている可能性だって捨てがたい。

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 いつものことながら、事前情報をほとんど入れずに鑑賞に臨んだ筆者がいけなかったのだが、本作は、宣伝をさらっと見た印象から想像される上記のような作品では全くない。実際のところ、双子の男の子の内、ルーカスの方は既に死んでいて、エリアスはそんな現実が受け入れられず、いもしないルーカスとずっと遊んでいるのである。

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 まぁ、この仕掛けは中々上手く描かれており、それなりの驚愕に値する。前半では、手術後人格が豹変してしまった母親の恐怖が子供目線から描かれるが、実は母親は我が子の一人を失った悲しみと闘い疲れ、死んだ兄弟といつまでも会話するもう一人の我が子の相手に辟易としていただけだったのである。視座を転換すれば物事はまるで違う姿を現す。“真実”は人の数だけあり、ということはつまり、“真実”なんてそもそもこの世には無い。ルーカスの死という事実を一つ明かすだけでそれまでの展開が持っていた意味を一気にひっくり返す描き方は、シンプルでいて鮮やか。

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 しかし、それだけでは、所詮本作は『シックス・センス』もどきのパクリ作品ということになってしまうだろう。実は、本作の肝は、双子の片方が既に死んでいる、という点には無い。実際、ルーカス死亡のネタばらしは、直接的ではないとはいえ、中盤当たりから結構露骨に行われている。どんでん返しに鈍感な筆者でも途中で分かったくらいだから、おそらく監督はわざとそういう風に描いたのだろう。というわけで、本作の本当の肝は、後半において子供が母親を拷問するという部分にこそあるのである。

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 これには驚いた。予告編とか日本版ポスターを見て巡らしていた想像の斜め上を飛び越えていく展開。筆者は、幼いエリアスが我が母親をがんじがらめに緊縛し、虫眼鏡で肌を焼いたり接着剤で口を固めてしまったりする様を目の当たりにして、大いに戦慄した。しかし、鑑賞を終えてから改めて本作の情報を色々と調べた筆者は、自身の事前調査不足をいったん棚の最上段に上げ、これは日本の宣伝が素晴らしかったのだなぁ、と感じ入ったのである。

 本作は、『シャイニング』的な“気の狂った親が我が子を襲う系ホラー”というイメージで鑑賞し始めた方が絶対におもしろい。ルーカスの死に気付いてまず“どんでん返し作品”を楽しみ、引き続き、予期せぬ衝撃の中で“拷問系作品”の醍醐味を味わうことができる。エリアスが一人で二人分を担当していたように、本作は、一作で二作分の興奮を堪能でき得る作品なのである。

 したがって、筆者は、後半の“拷問系”展開を極力秘匿した日本の宣伝に感銘を受けたのである。冒頭に張り付けたものを観てもらえば分かるが、日本版の予告編では、あくまでも妖怪包帯グルグル巻きばばぁの恐怖を煽ることに終始している。ラストでお面を被った双子が登場するシーンは少しだけ彼らの反撃を予感させるが、それでも実際の本作のような過はあっても不足の無い拷問が繰り広げられるとは、予想だにできない。まぁ、グルグル巻きばばぁがゴキブリを食べたように見せているシーンは真っ赤なウソであって、この点では非難されるべき“ウソ予告”とも言い得るが。

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 また、ポスターも絶対に日本版の方が良い。おもいっきり“母親の恐怖”を前面に押し出し、かつ、若干オカルトの雰囲気すら漂わせている。もはや、妖怪包帯グルグル巻きゴキブリばばぁではないか。

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 これに対して海外版(本国版)の予告編やポスターは、子供による反撃をかなりバラしている。ポスターに関しては、筆者自身、海外版を本稿冒頭に張り付けてしまったのだが(母親をメインにしたポスターがあまりにも怖かったので。)、どアップで双子をフィーチャーされてしまっては、彼らの逆転劇を想像せざるを得ない。また、予告編に関しては、ロウソクを手にした仮面エリアスのシーンや母親のうめき声のシーンで、もうほとんど“拷問系”展開までバラしてしまっていると言ってもいいだろう。以前感想を書いた『デビルズ・フォレスト 悪魔の棲む森』のときも思ったのだが、一見バカバカしい“いかにも”な宣伝の方が、逆に鑑賞者を楽しませることがあったりするのである。

点数:73/100点
 まぁ、本作の正統的な評し方というのは、また違うんだろう。母の悲しみ、子の悲しみ、誰を責めることもできないが、誰を許すこともできない。もしかしたら、そんな無情こそが本作の本質なのかもしれないな。とはいえ、個人的には、どうしたって母親の方が可哀想だと思ってしまうのだけれど。まぁ、考え方なんて人それぞれ。自分が選んだひとつのことが、お前の宇宙の"真実"だ。

(鑑賞日[初]:2016.4.17)






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Tag:衝撃のラスト! 拷問系

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