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2012

[No.43] コーヒー&シガレッツ(Coffee And Cigarettes) <72点>

CATEGORYドラマ
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キャッチコピー:『コーヒーを一杯 タバコを一服 会話を楽しむ 人生を楽しむ』

 コーヒーとタバコと粋な音楽があれば、どこでだってドラマは生まれる。

三文あらすじ:「変な出会い」(STRANGE TO MEET YOU)、「カリフォルニアのどこかで」(SOMEWHERE IN CALIFORNIA)、「幻覚」(DELIRIUM)など11個のストーリーが織りなすオムニバス。それぞれの時間、それぞれの場所、それぞれの会話、それぞれの人生。オシャレで可笑しく、ちょっと不思議な彼らには、コーヒーとタバコ(Coffee And Cigarettes)が良く似合う・・・


~*~*~*~

 
 本作の監督は、ジム・ジャームッシュ。風変わりと言うか、奇才と言うか。なんだか不思議な感じの映画をよく撮る監督だ。

 本作も派手なアクションや緊迫したサスペンスとはほど遠い、ちょっとオシャレでかなりファニーなオムニバス。レストラン、喫茶店、武器庫の休憩所と場所は違えど、登場人物がコーヒーを飲み、タバコを吸いながらダラダラ会話するだけ。ただそれだけの映画だ。
 事前の宣伝のせいで、よくあるフランス映画みたいな洒落た映画なのかと思った人も多いと思われるが、実は飛び抜けてオシャレという訳でもない。本作の登場人物たちは、もっと等身大だ。とにかく、互いにあまり親しくない2人ないし3人が共にコーヒーとタバコを飲み、なんだか噛み合わなかったり気まずかったりといった会話を繰り広げる。要するに、「ライク・ア・ヴァージン」の会話や”フット・マッサージ”の会話のようなタランティーノ映画によくあるシーンを11組の登場人物に全編やらせているという映画である。

 11組の会話の中で、筆者が特に気に入っているのは「いとこ同士」(COUSINS)「いとこ同士?」(COUSINS ?)の2つである。両者は別に繋がった話ではないが、前者が本当にいとこ同士の2人の会話であるのに対して、後者は遠縁過ぎていとこと言えるかどうか怪しいというところがおもしろい会話であるから、タイトル的に前者が後者のフリになっているという関係にある。

 まず「いとこ同士」(COUSINS)では、いとこ同士である2人の女性がホテルの喫茶スペースで会話する。1人は世界を飛び回る超有名映画女優ケイト。1人はヘヴィメタルを愛好するヤンキー風の女性シェリー。ケイトは明るく上品で、いとこのシェリーを気遣っている。他方シェリーはどちらかというと下品な感じで、大金持ちのケイトをどこか妬んでいる。こんな2人のなんだか気まずい会話が繰り広げられる。
 このチャプターで素晴らしいのは、なんと言ってもケイトとシェリーの2役を1人で演じるケイト・ブランシェットである。ケイト・ブランシェットと言えば、『アビエイター』でのキャサリン・ヘップバーン役でアカデミー助演女優賞を受賞し、その他に何回もアカデミー賞にノミネートされている演技派女優だ。そんな彼女だから、好対照なケイトとシェリーを実に巧みに演じ分けている。この演技が素晴らしい。また、本作はモノクロ映画なのだが、白黒の画面に、彼女の色白で綺麗な顔立ちが実に良く映えている。筆者は常々、彼女の美人だが浮世離れした顔立ちは、市井の人を演じるとなんだかハマっていない感じがしていた。唯一バシッとハマったのは、『ロード・オブ・ザ・リング』におけるエルフ、ガラドリエルぐらいではないだろうか。しかし、本作の彼女は実に魅力的だ。

 次に「いとこ同士?」(COUSINS ?)は、話の展開がおもしろい。登場するのは、アルフレッド・モリーナスティーヴ・クーガン。両者とも自分自身を演じている。アルフレッド・モリーナと言えば、最近では『スパイダーマン2』におけるドック・オクが印象的。スティーブ・クーガンについては、筆者はあまり印象がなかったのだが、イギリスの俳優でありコメディアンらしい。それぞれの代表作『ブギーナイツ』と『24アワー・パーティ・ピープル』もばっちり会話に登場し、映画好きは楽しめる。
 設定としては、クーガンの大ファンであるモリーナが、ロサンゼルスに立ち寄ったクーガンを喫茶店に呼びつけるというものだ。前半はモリーナがグイグイ会話を進め、クーガンはちょっと引いているという構図。そして、中盤、家系図を調べるのが趣味だというモリーナが、2人が実は曾々おじいちゃんあたりの代で繋がっており、遠い遠いいとこに当たると言い出す。ここのモリーナは、痛さ爆発。いい加減うんざりしたクーガンは、携帯番号を教えてくれとテンションマックスで言うモリーナを当然拒絶する。ここからがおもしろい。クーガンはもう帰ろうとするが、モリーナに着信がありストップ。なんとなしにモリーナの会話を聞いていると、どうやら「スパイク」なる人物と親しげに電話をしている。電話を終えたモリーナにクーガンが”スパイク”とはスパイク・リーのことか?と尋ねると、スパイク・ジョーンズだとモリーナ。クーガンは仰天する。彼はスパイク・ジョーンズの大ファンだったのだ。自分がお近づきになりたい人物とモリーナが親しいことを知ったクーガンは、やっぱり番号を教えるとモリーナに提案するが、既にへそを曲げたモリーナの機嫌を回復することはできず、結局モリーナは立ち去ってしまう。
 まぁ、文章にすると何てことはないプロットなのだが、2人の演技が秀逸で、非常にユーモラスかつアイロニックな小話に仕上がっている。ちなみに、スパイク・リーは、古くは『ドゥ・ザ・ライト・シング』や『マルコムX』、最近では『インサイド・マン』などを撮った名監督。一方のスパイク・ジョーンズは『マルコヴィッチの穴』で鮮烈な映画監督デビューを果たした奇才である。またスパイク・ジョーンズは、大の大人が下品で度を超えたイタズラをしまくるテレビ番組『ジャッカス』の総監督であり、その映画版である『ジャッカス・ザ・ムービー』シリーズの制作総指揮も務めている。コメディアンであるクーガンは、おそらく『ジャッカス』が大好きなのだろう。

点数:72/100点
 ここで述べたチャプターは割としっかりストーリーラインがあるし、その他にもビル・マーレイが登場する「幻覚」(DELIRIUM)などは結構楽しめる。しかし、中には「変な出会い」(STRANGE TO MEET YOU)、「双子」(TWINS)、「それは命取り」(THOSE THINGS'LL KILL YA)など、本当にただただ登場人物が普通のお喋りをしているだけというものもあるので、映画にスリルと興奮を求めるなら、鑑賞する価値の無い作品だ。まぁとにかく、コーヒーを飲みたくなり、タバコを吸いたくなる映画ではある。

(鑑賞日:2012.2.22)




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Tag:ダラダラ会話 紫煙をくゆらせて オムニバス

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