02
2016

[No.378] フィフス・ウェイブ(The 5th Wave) <60点>

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キャッチコピー:『WAVE1 暗黒 WAVE2 崩壊 WAVE3 感染 WAVE4 侵略 人類を滅亡に導く最後のWAVEとは―』

 第6のWAVEは、“愛”が呼ぶ波紋。

三文あらすじ:突如飛来した異星人“アザーズ”の4度にわたる攻撃により、地球は壊滅状態に追い込まれていた。そんな中、高校生の少女キャシー・サリヴァン(クロエ・グレース・モレッツ)は、幼い弟のサミー(ザッカリー・アーサー)と生き別れてしまう。果たしてキャシーは、“アザーズ”が人類滅亡のための“第5波(The 5th Wave)”を実行するまでに、弟を救うことができるのか・・・

※以下、ネタバレあり。


~*~*~*~


 「モレッツちゃんを全力で応援します!」と言いながら特に何もしていない当ブログであるが、彼女の最新作『フィフス・ウェイブ』を劇場鑑賞してきたので、感想を書く。SF映画としてこんなにもおもしろくなさそうな作品のためにわざわざ映画館に足を運んだのだから、曲がりなりにも“モレッツ・ファン”を自称してよかろう。

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 実際、本作はおもしろくなかった。ありきたりな題材。欠伸が出そうな展開。モレッツちゃん以外に魅力的なキャストはいないし、目新しいSFガジェットも皆無だ。中でも決定的に良くないのは、せわしないストーリーテリングである。聞いた話では、原作は3巻にわたる長編らしいので、それを映画1本にまとめようとするなら駆け足になって当然ではある。でも、だからと言って、原作の要素をただ詰め込んだ作品が名作というわけではない。

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 本作のウリの一つに“「第5波」とはいったいどんな攻撃なのだ?”というサスペンス的な“引き”がある。“暗黒(停電)”、“崩壊”、“感染”、“侵略”と極めて順序立てて攻撃を仕掛けてきた“アザーズ”が最後の最後に企てる最終手段。結果としてそれは、“異星人殲滅のための訓練を受けてきた若年兵たちは、実は生き残った人類を根絶やしにするための片棒を担がされていた”というものだった。つまり、みなし子たちを保護して訓練していた軍隊こそが既に“アザーズ”に寄生されていて、みなし子兵士たちはずっと騙されていたわけだ。他の作品で例えるなら、トム・クルーズ主演の『オブリビオン』みたいな仕掛けである。

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 これ自体は、まぁ仰け反って驚愕するほどのどんでん返しではないとはいえ、結構おもしろいギミックであろう。だからこそ、原作はヒットしたのだと思う。しかし、本作では、この種明かしの衝撃が極めて薄い。そして、それは偏に、少年兵たちのパートの描写が薄いからである。

 本作は、もっと少年兵たちのドラマに尺を割いて良かった。純粋無垢な少年たちが、異星人の侵略といういわれのない非常事態によって無理やり兵士としての訓練を受けさせられる。それは一義的にはやはり異星人襲来が引き起こした状況だとしても、対象の分析や対話も不十分なまま、それを顧みることもせず“敵の排除”のみを盲信する“大人たち”が、彼らの自由と青春を奪うのである。戦争映画なんかだとこういったテーマは割と良くあるが、これをエイリアン侵略SFという枠組みの中でもっと丁寧に描くべきだった。その描写があればこそ、実は軍が既に“アザーズ”の支配下にあったと判明した後の少年たちの反抗が、より意味を持ったと思うのである。

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 しかし、本作には、少年たちが悩むという描写がほとんど無い。主人公キャシーの弟である幼いサミーだったり、“ティーポット”だか“ティーカップ”だか、そんなあだ名の幼い少女がいるにも関わらず、「どうしてこんなことをしなくちゃならないの…。ママに会いたいよ…。」といった少年少女ゆえの“争いに対する疑問”が皆無である。仕舞いにゃ、まるでミシェル・ロドリゲスみたいな好戦的で男勝りな少女まで登場して、すごくベタな軍隊ものの訓練風景が子供たちによって繰り広げられていく。

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 で、少年兵たちの描写がなぜおろそかになっているのかと言うと、たぶんモレッツちゃんのパートにも尺を割いているからだと思う。っていうか、モレッツちゃんは主役なんだから、これは当たり前の話ではある。しかしながら、先述の少年兵パートとこのモレッツちゃんパートは、互いの尺の取り合いの中で、結局双方のテーマを殺してしまったように感じる。『スパイダーマン3』みたいに、どっちも詰め込むからすごくせわしないのである。

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 モレッツちゃんのパートとは、つまり、ムキムキイケメン異星人との破廉恥珍道中である。本来的には、モレッツちゃんが生き別れの弟を探す過程を通じてポスト・アポカリプティックな終末世界を描写するという機能と、異星人の中にだって“味方”はいるという事実を伝える役割を併せ持ったパートなのかなと予想するが、本作では後者の部分が甚だ杜撰なのである。

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 このエヴァンなるイケメン異星人(まぁ、元々は人間らしいが。)は、負傷したモレッツちゃんをなぜだか親身に助けてくれ、弟探しに同行までしてくれる。そして、明かされるのは、彼がモレッツちゃんに一目ぼれしていたという事実。彼は盛んに「我々には本来“愛”という概念は無い。でも、君を一目見たとき、それが分かったんだ…。」みたいなことを連呼するが、これがもう、思いっきり浮いている。いや、もちろん、モレッツちゃんに一目ぼれしたこと自体は責めない。我々だって、彼女を銀幕で初めて見たとき、瞬時にしてそのブサカワの虜になったのだから。むしろ、このモレッツちゃんと異星人のパートで強調すべきは、まさにこの“「愛」という概念の共有”と言っていいだろう。イケメン異星人からモレッツへの愛。モレッツから弟への愛。惚れた腫れたではなく、もっと抽象的な“愛”という概念をかすがいとすれば、星を超えて理解し合える可能性だってある。このテーマをここで示した後、実は騙されていたと気付いた少年兵たちが、解決の道を模索し、しかし、侵略しか頭に無い軍に成りすました異星人上層部に対して、自らの“生存をかけて”反旗を翻す。これならある程度筋が通っていたのではないだろうか。

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 ところが、モレッツちゃんのパートで実際に描かれるのは、ゴリマッチョなイケメンとカーセックスしてしまったモレッツちゃんの痴態異星人からの唐突な愛の告白のみ。我らが愛しのモレッツちゃんがただの尻軽女にしか見えないし、異星人はただの馬鹿としか映らない。クライマックスでモレッツちゃんが弟とベンと逃げるくだりで異星人はもう一度登場するが、ここもなんだか馬鹿っぽかった。どかーん!といきなり登場したかと思えば、「基地に爆弾を仕掛けた。僕は君を選ぶよ。(*´ε`*)チュ。じゃっ!」って感じで、颯爽とどこかへ消えていく。この異星人とは当然初対面のベンが「な…なんじゃコイツ…。」みたいな顔で呆然とするカットまで入れてしまうもんだから、劇場ではやや失笑が沸いたほど。別にもうちょっとしっかり描けば良かったのに。やっぱり全体的に大切な部分の描写が浅く、せわしないのである。

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 結局、筆者としては、モレッツちゃんと異星人との道中なんか、大胆に削ってしまえば良かったのに、と思っている。弟は“アザーズ”に攫われたことにして、モレッツちゃんが軍隊に入れば良かった。で、訓練に励むくだりをもっとしっかり描いて、最終的にはモレッツをリーダーとした若者たちが自由のために奮起するというストーリーにすれば、もっとすっきりしたのではないか。そうすれば、『ハンガーゲーム』とか『メイズ・ランナー』みたいな、今流行りの“若者反抗系SF”になって、もっとヒットしたかもしれないのに。

点数:60/100点
 まぁ、色々と文句を書いたけれど、なんだかんだ、全編を通してモレッツちゃんの魅力を堪能できる作品ではある。作品としてはクソな展開だとしても、モレッツちゃんが行きずりのイケメン異星人とカーセックスしちゃうんだぜ?いやはや、これはパッケージ化されたらやっぱりもう一度観てしまうのだろうな。つまるところ、我々“モレッツ・ファン”に対してのみ効力を有する“第6波”は、モレッツちゃんへの“愛”ということになるのであろう。

(鑑賞日[初]:2016.5.1)
(劇場:なんばパークスシネマ)










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Tag:エイリアン侵略系SF モレッツちゃん

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