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04
2016

[No.379] アイ アム ア ヒーロー(I AM A HERO) <85点>

CATEGORYゾンビ




キャッチコピー:『ようこそ。絶叫のZQN<ゾキュン>パニックへ。』

 それだよ“英雄”、忘れるな。

三文あらすじ:15年前の新人賞獲得以来鳴かず飛ばずの漫画家・鈴木英雄(大泉洋)は、恋人である黒川徹子(片瀬那奈)にも愛想をつかされる冴えない中年男。しかし、そんな彼の日常は、感染者を凶暴な“食人鬼”へと変貌させる奇病の蔓延により一変する。阿鼻叫喚の中逃げ惑う英雄は、早狩比呂美(有村架純)という女子高生と出会い、ネット情報を頼りに富士山を目指すことになるのだが・・・


~*~*~*~


 今春のゴールデンウィークを前に公開され、一部で大変な話題となっていた和製ゾンビ映画が本作『アイ アム ア ヒーロー』。ジャニーズが主演を張っているわけでもないのに、いったいどの辺で話題になっていたのかというと、それはズバリ、宣伝のポップさと実際のグロさとのギャップに騙されてしまった被害者たちの周囲で、である。

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 主演・大泉洋だったり、ショッキング・ピンクのカラフルな意匠だったり、今話題の有村架純がヒロインだったり、“ZQN<ゾキュン>”などというふざけたネーミングだったり、本作の宣伝内容を構成するあらゆる要素は、いずれも極めて“ポップ”であった。しかし、本作は、キモチワルイ。血しぶき飛び散り、肉はじけ飛ぶ。真っ当なグロであり、正統なゴアである。かつて、なんだかオシャレな雰囲気で宣伝しておきながら、その実態は目を背けたくなるほど凄惨な裏社会の実情を描くスリラーだった『悪の法則』という映画があったのだが、本作もこれと同様、多くの“暇つぶし鑑賞者たち”の肝を潰してしまった、というわけだ。

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 とはいえ、それは、なにゆえ休日の昼日中から人の手足がちぎれる映画を観なければならないのか!と憤怒する“健全な映画鑑賞者”の話。筆者を含め、起き抜けに『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』を鑑賞したり、スナック菓子を頬張りながら『サンゲリア』を鑑賞したり、または『死霊のはらわた』シリーズを魂のバイブルと公言してはばからないような輩に通じるものではない。では、我々は、少なくとも筆者は、本作を観てどのような感想を持ったか。それは、あぁ、“普通のゾンビ映画”やったやんか、である。これはつまらなかったとか、退屈だったということでは決してない。むしろ筆者は、邦画である本作が“普通のゾンビ映画”であったことに、ある種の“希望”のようなものを感じ、上映終了後少しばかり涙ぐんでしまったほどである。

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 もちろん、ダメなところもいっぱいある。アウトレットモール立てこもりチームの中で唯一英雄たちの味方をしてくれる頼もしい女性キャラクター“藪”(本名:小田つぐみ)を演じる長澤まさみは、やっぱり抜群に可愛いし色っぽいけれど、蓮っ葉な演技がどこか板についてない。

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 細かな演出についても、んー…そこはこうしてくれた方が素直に盛り上がれるのに…みたいなものが多い。例えば、英雄の妄想描写。序盤でタクシーに乗るシーンでひとつ、アウトレットモールの地下のロッカーから飛び出すところでひとつ登場するのだが、個人的にはどちらも微妙だった。前者では素直にサラリーマンZQNを撃ち殺してくれた方が良かったし、後者ではやっぱり飛び出した後、そこにいるZQNと戦って欲しかった。

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 もちろん、終盤までのそのような“肩透かし演出”は、英雄がクライマックスで大々的に覚醒するための前フリではあるだろう。しかし、ではクライマックスがバシッと極まっているかと言うと、これまた個人的には不完全燃焼。まぁ、決して悪くは無かったけれど。ラストで“陸上選手”が大ボスとして登場する展開も割と良かった。でも、やっぱり「僕が君を守る!」はこのクライマックスで印象的に使って欲しかったかなぁ。それに、全ZQNを掃討し、逆光の中すっくと佇む英雄に対して比呂美が「ヒーロー…」と呟くシーン。ここは「“英雄(ひでお)”くん…」でも良かったんじゃないだろうか。名前負けした中年男というフリがずっとあって、最後で“名”に“実”が伴う鈴木英雄。「ヒーロー…」というセリフはこの“実質”の部分を直接表現しているが、名目たる“英雄(ひでお)”を象徴的に呟き実質の伴ったことを観客に推測させる方が、粋でいなせだった気もする。きっと筆者の弟なら後者を採用するだろう。まぁ、肩書に対してグロ耐性という意味での実質が欠如している彼が本作を最後まで鑑賞できれば、の話であるが。

 ちなみに、主人公たる鈴木英雄と正ヒロインたる早狩比呂美。両者のファーストネーム、すなわち“英雄”“比呂美”には、どちらも“HERO(ヒーロー)”が入っている。これって、『H2』のパク…オマージュなんだろうか。同作では、国見比呂と橘英雄という超高校級の球児2人が甲子園で“比呂と英雄のヒーロー対決”を繰り広げる。まぁ、日本人の名前に“HERO(ヒーロー)”という意味合いを持たせようとすると、必然この二種類になるのかもな。ごちゃごちゃ詮索せずにただ“ツーツーレロレロ”と呟いておけばよろしい。

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 それから、本作の悪いところの最たるものは、やはりZQN化比呂美の設定を説明しないというところだと思う。赤ちゃんZQNに噛まれた比呂美は、半分ZQN、半分人間という仮面ライダー(最近なら進撃の巨人、あるいは、テラフォーマーズだろうか。)みたいな状態になる。つまり、彼女は人間サイドで唯一生身でZQNを圧倒できる存在であり、ストーリー進行上の“ジョーカー”と言ってよい。“ジョーカー”というのは中々やっかいな存在だ。無計画に暴れさせると主人公のお株を奪ってしまうし、考えなしに行動不能とすると主人公の活躍の興を削ぐ。本作では、後者。すなわち、なぜ比呂美が動かないのかをきちんと説明しないため、クライマックスバトルが釈然としないのである。筆者は原作を読んでいないから、もしかしたら何かしらの裏設定を見落としているのかもしれないが、やはり本作内で一言でもいいから説明しておくべきだっただろう。

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 というように、本作には粗削りな部分がたくさんある。しかし、冒頭で述べたように、筆者は本作を鑑賞して希望にも似た魂の燃焼を感じた。それはやはり、本作が“普通のゾンビ映画”だったからである。言い換えれば、“ちゃんとしたゾンビ映画”だ。人気俳優やアイドルを漫然と配置し、やっつけな展開やおざなりなストーリーに終始する。本作は、そんな邦画によくある“2時間ドラマに毛の生えた作品”ではなかった。

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 もちろん、ストーリーや展開に粗さのあることは、前述の通りである。しかし、ゾンビ映画というジャンルにおいて、それらの完璧性は必ずしも必須の要素ではない。ゾンビ映画というジャンルの肝は、“グロさ”“終末感”なのである。

 この点、本作は本当に素晴らしい。少なくとも、生半可な気持ちで作られていないことがうかがえる。特に、オープニングからタクシー横転までのくだり。この一連のシークエンスは完璧なゾンビ映画の導入である。

 何度も言うが、ゾンビ映画の中で群を抜いた新規性がある、というわけではない。顔面のタイプという意味で筆者のどストライク女優、片瀬那奈がZQN化する際の演出なんかはやや斬新さもあったかもしれないが、その他は極めてベタ

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 既に始まっている終末への兆候、しかしそれに気づかない市井の人々、一気に爆発する異常と崩壊する日常、阿鼻叫喚の中を逃げ惑う主人公、常軌を逸してしまった世界。展開自体はすごく普通。しかし、過不足なく、ちゃんとしている。グロも申し分ない。あんなに可愛い片瀬那奈は見るも無残な姿となり、歯がボロボロと抜け落ちる。街中では、突然襲われる人々、突然衝突する車、人が死んではまた死ぬ様を(ちょっと前に流行った)ワン・ショットを用いて描き切る。圧倒的。圧倒的に“ちゃんとしたゾンビ映画”なのである。

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 その後もしっかりベタ。時代を反映してショッピングモールではなくアウトレットモールに立てこもる人間たち。内部での人間同士の確執。危険地帯への遠征と英雄(えいゆう)の覚醒。安息の地は見る影もなくなり、当てもなく去る主人公ら。そんなベタベタの展開が、極めて丁寧に描かれる。前述のように細かな文句は山ほどあるものの、俺たちは“ゾンビ映画”がやりたいんだよ!という製作者の魂の叫びが聞こえてくるようで、筆者は、そんな彼らの融通の利かないバカ正直さに大変感動したのである。

点数:85/100点
 まぁ、筆者が日ごろ邦画をほとんど観ないだけで、実はたいていの邦画はこのレベルに達しているのかもしれない。しかし、『進撃の巨人』や『テラフォーマーズ』が決して高評価を得ていないところを見ると、こと(広い意味での)アクションというジャンルにおいて、邦画はまだまだハリウッドの足元には及んでいなさそうである。そんな中、本作のようにベタな、普通の、ちゃんとした、あるいは、“ストレートど真ん中の”アクションが量産されていけば、いずれ富士山がハリウッド・ヒルズを超える日が来るだろう。今後の邦画界、“暑く”なりそうである。

(劇場鑑賞日:2016.5.28)
(劇場:TOHOシネマズ伊丹)










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Tag:グロ注意 邦画 劇場鑑賞作品 走るゾンビ

1 Comments

グロ不耐性医師  

No title

GWに映画館で観て絶望した。
有村架純の設定不足から片瀬那奈の可愛さまで概ねagree。
凡庸な男のラストバトルとして、腕時計を外してひたすら撃ち続けるという展開はreasonableで熱かった。
2人のヒロインをともに強い設定にすることで、残弾が尽きた後で更に英雄が助けにくる展開を読ませなかったのもgood。

2016/06/05 (Sun) 15:05 | EDIT | REPLY |   

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