09
2016

[No.386] インデペンデンス・デイ:リサージェンス(Independence Day:Resurgence) <49点>

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キャッチコピー:『あの日から20年。決戦に備えていたのは、人類だけではない。』

 帰る空を無くした“漢”たちは。

三文あらすじ:人類が恐るべき侵略者を撃退し、宇宙における“独立”を宣言したあの日から20年。来るべきエイリアンの復讐に備え、彼らの技術を用いて地球防衛システムを構築した人類の防御態勢は万全のはずだった。しかし、再び襲来した侵略者は、人類の想像を遥かに超えた巨大な敵だった・・・


~*~*~*~


 これは…ダメでしょうね…。前作『インデペンデンス・デイ』のあの“漢気”は、いったいどこに行ってしまったのだろう。あの日から20年。世界では色々な出来事があった。筆者個人の人生も、あの頃には想像だにしていなかった紆余曲折を経て今に至っている。だから、もしかしたらただ単に、筆者が年を取ってしまっただけなのかもしれない。おっさんになり、懐古主義者になり、粗探しばかりする“大人”になってしまったのかもしれない。そうなのかな。やっぱり、そうなんだろうか。教えてくれよ…ホイットモア大統領…。

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 というわけで、20年前、少年心を熱く熱くたぎらせた一人のおっさんの鑑賞後第一報は、本当にがっかり、ということになる。本作には、葉巻が登場しない。そして、(ちゃんとした)演説もない。これだけで、往年のファンたちは、本作のダメさ加減をありありと実感できることだろう。

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 もちろん、筆者は、形式的なギミックの不在ばかりを嘆いているわけではない。『インデペンデンス・デイ』の続編として、本作は、本質的な部分でもグズグズのボロボロだ。では、前作の本質は、どういった部分にあったのか。『2001年宇宙の旅』のような革新的な映像美や深遠なテーマではない。『ブレードランナー』のような独創的な世界観やカルトなアイテムでもない。前作『インデペンデンス・デイ』は、ベタの詰め合わせだった。つまり、奇抜さや目新しさは無かったけれど、非常に丁寧に作られた作品だったのである。

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 前作で活躍する登場人物、すなわち、ケーブルテレビ局職員デイヴィッド・レヴィンソン(ジェフ・ゴールドブラム)や、アメリカ大統領トーマス・J・ホイットモア(ビル・プルマン)、アメリカ海兵隊大尉スティーブン・ヒラー、そして、アブダクションを主張する飲んだくれ親父ラッセル・ケイスらを始めとする“漢”たちの物語は、ひとつひとつとしてはめちゃくちゃにベタだった。思い切って、陳腐、と言ってしまってもいいだろう。本当は才能があるのにくすぶっている男とキャリアウーマンな元妻がなんやかんやの末に互いの良さを再認識する?勇敢なアメリカ大統領が国家の危機に際して国民を鼓舞し、なんやかんやと自分も奮闘する?海兵隊のエースパイロットがストリップ嬢とデキちゃって思い悩むけど、なんやかんやあって覚悟を決める?周囲から変質者呼ばわりされ、子供たちからも疎まれている飲んだくれ親父が奮起し、子供たちと親子の絆を確かめ合う?…は…どれもこれも、どこかで聞いたような話ばかりだ。

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 しかし、そんな各々は大したことのないストーリーが、“エイリアン侵略”というフレームの中で、全て適材適所にビタッとはまっていたのが、前作だった。7月2日のエイリアン襲来時にはそれぞれが全く別々の場所にいた彼らの運命は徐々に交差していって、独立記念日たる7月4日に収束する。陳腐なベタでも、きちんと丁寧に盛り上げていって、そして、クライマックスでは全てのベタがあるべき場所に収まる。だからよかったんだ。ひとつひとつはせいぜい10点満点程度の良くあるスキームで丁寧に確実に10点を取り、それらをきっちりと積み上げていった結果、総合的に100点を叩きだす作品。『インデペンデンス・デイ』っていうのは、そういう映画だったのである(まぁ、現実に同作が非の打ちどころのない100点満点の超傑作だったかと言うとそうではないから、正確には、各エピソードでコンスタントに9点ぐらい取っていって、最終的には合計で90点オーバーをマークする作品、かな。)。

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 しかし、本作では、この部分が本当にダメダメ。それぞれのエピソードの描き方がすぎて、どれもせいぜい4~5点ぐらいの出来でしかない。かつて訓練中にいちびったせいであの英雄スティーブン・ヒラー大尉を事故死させてしまった(!)戦闘機乗りジェイク・モリソン(リアム・ヘムズワース)とそんな彼がいまだに許せないヒラー大尉の息子ディラン(ジェシー・アッシャー)のドラマは、もっとジェイクの苦悩、ディランの怒りをベタに深堀りしてくれ。そして、もっとベタに仲直りしようぜ。冗長になったっていいんだ。古臭くったっていいんだ。もっと丁寧に、しっかりと描いて欲しい。

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 それに、どう考えても、こいつらに“葉巻”を使うべきだろう?ジェイクとディランのかつての仲良さも、ヒラー大尉の死を切っ掛けとする確執も、そして何より、戦友であり親友でもあるヒラー大尉のことを誰よりも知っているデイヴィッドが、2人に葉巻を託す。ラスト・バトルでドラマチックに仲直りした2人が、漢気全開で葉巻をふかす大団円。それを、どんっ!って感じで演出すれば、それだけで筆者は目ん玉取れるほど号泣していたのに。

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 それから、あろうことか、ホイットモア米大統領の扱いが酷すぎる。ホイットモア大統領と言えば、『インデペンデンス・デイ』の代名詞と謳っても決して間違いではないキャラクター。事実、当ブログのアクセス解析におけるここ最近の検索ワードでも、“インデペンデンス・デイ 大統領”とか“インデペンデンス・デイ 演説”とかが急増している。それなのに、あの世紀の演説から20年、本作登場時の彼は、完全なるキ○ガイ。「エ…エイリアンが…また…来る…ガタガタブルブル。」と怯えながら日々を過ごす変態親父に成り下がっている。

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 まぁ、いったん落として最後に上げるというのはベタの常套手段であるから、この時点で目くじらを立てるのは早計というものではあるだろう。しかし、彼が華々しく散る場面は、かつての大統領を愚弄する本当に酷いものだった。要は、彼の死は無駄死である。エイリアンの女王を倒せば一件落着だ!という話になり、片道切符の特攻役に立候補する“元戦闘機乗り”。確かに、この立候補シーンは少しだけ格好良かったが、しかし、無いのである。「I Belong In The Air. 」が無いのである。なぜだ…!

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 いざ特攻を成功させ、大爆発の末、自らの命と引き換えにエイリアン・クイーンの乗る宇宙船を大破させたホイットモア。しかし、この時点ではまだ上映時間の7~8割程度しか経過していない。当然、クイーンは生きているわけである。20年前、世界中の“漢”たちを鼓舞し、空へと帰って行ったあの英雄の最期は、犬死以外の何ものでもない。

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 ここも、もっとベタなやり方があったはずだろう。ホイットモアをエイリアンに怯える弱気じじいにして、かつ、彼の成長した娘パトリシア(マイカ・モンロー)をヒロインに据えているのなら、やることは一つしかない。娘はホイットモアを嫌っているっていう設定にしようぜ…。周りは自分の父を“かつての英雄”として持ち上げる、でも、彼女は、「今の父は…ただの臆病者よ。」とか言って素っ気ない。しかし、想像だにしていなかった侵略者の逆襲に人類が絶望したとき、老兵は、再び説く。人種や文化の違いからではない。圧制や弾圧から逃れるためではない。人類の生存を賭けた“独立”のための戦いについて、再び演説するのである。もちろん、パトリシアにとっては、彼の演説を直接聞く初めての機会。魂の演説は羨望を招来し、羨望は強がりを霧散させる。

 「すまなかったな、パトリシア。私は、皆が言うような“英雄”ではない。恐怖から逃げ、娘と向き合うことからも逃げた、駄目な父親だ。でも、愛している。」

 「No…No, Dad…. 」

 飛び立つ元大統領、いや、一人の“父親”。無線で誘導するのは、かつての“独立戦争”を共に戦った戦友デイヴィッドである。20年来の友人が交わす、最後の軽口。

 「勘が鈍っているんじゃないのかい、ホイットモア“大統領”。」

 「教えておくが、私はこう見えても“元戦闘機乗り”だ。…空へ、“帰る”のさ。」

 心なしか若返ったようにも見える老戦闘機乗りは、敵の親玉に特攻をかける。

 「20年ぶりだな、クソ野郎!“帰ってきた”ぜ!」

 …ってゆう感じで良かったんちゃうの。それぐらい“ベタベタ”で良かったんちゃうの…!要は、ラッセル・ケイスをもう一度ベタにやってくれれば、それだけで筆者は瞼引きちぎれるほど号泣していたのに。

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 まぁ、“過去キャラ”にそこまで見せ場を作ってしまうと、次世代へのバトンタッチができない、というデメリットはあるだろう。本作には、当初二部作で構想されていたものの、まずは一本公開してそのヒット具合でその後を考えるという20世紀フォックスの方針から、単品になったという経緯がある。当然、続編の展開を見越して、老いたキャストは順次退場させ、若い世代に見せ場を譲っていきたいという思惑はあるはずだ。実際、スティーブン・ヒラー大尉の嫁にしてディランの母でもある元ストリッパー(本作では、医者になっている)、ジャスミン(ヴィヴィカ・A・フォックス)なんかは、あまりにもあっさり殺される。

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 でも、それだったら、やっぱり若い奴らのドラマをもっと丁寧に描けよっていう話になる。全部浅すぎるんだ。本作に登場するキャラクターたちのドラマは、どれも浅すぎる。デイヴィッドの父ジュリアス(ジャド・ハーシュ)に引率されるあのガキんちょ集団とかに至っては、もはや登場の必然性すら疑問といったレベルである。

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 というか、実は筆者は、本作のクリエーターたちが狙っているのは、“続編”とかに留まらず、“ユニバース”なのではないかな、と邪推している。“ユニバース”というのは、もちろん昨今大流行りの“シネマティック・ユニバース”である。本作がそれなりにヒットしたら、すぐさまスピンオフだったりアニメだったりドラマだったりを展開していくつもりだったんじゃあないだろうか。そんなことを思ってしまうほど、本作は、大きく風呂敷を広げた。それはもう、一辺が4,800kmはあろうかというほど巨大な風呂敷である。

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 本作では、遂に、侵略者以外のエイリアンが登場する。白くて丸っこい、なんだか『銀河ヒッチハイクガイド』のあのロボットの頭だけ引っこ抜いたような形状の異星人。この一族は既に何千年にも渡って本シリーズの侵略者と戦ってきたのだが、結局ふるさとの星を破壊され、あげく殲滅され、本作で地球に来た個体は最後の生き残りらしい。はるか昔に肉体を捨て去り“情報生命体”に進化したという、そんな科学力を持った種族が、なぜアル中のおっさんとか弱腰の元大統領ごときにもやられる宇宙人に勝てないのかがいまいちよく分からないが、重要なのは、こいつの発言。このまん丸エイリアンは、中盤あたりで「私は様々な星で同志を募り、“秘密の惑星”で侵略者を打倒するための武器を作っている」と語るのである。また、侵略者の撃退方法に関して、「確かにクイーンを殺せば、奴らは地球から撤退する。ただし、“他のクイーン”が黙っちゃいない。」みたいな趣旨の発言をする。さらに、ラストでは、クイーンを殲滅した人類の奮闘に感銘を受け、「ぜひ私たちの指揮を執っていただきたい」と依頼してくるのである。こりゃあ、シリーズ化された暁には、色んなエイリアンが右往左往する銀河を股にかけ、侵略と搾取を繰り返す悪のエイリアンを打倒する、みたいな話になっていきそうだぞ。でも、そらもう『スター・ウォーズ』やろ。

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 個人的には、この風呂敷広げがすごく嫌だった。月並みな意見だが、それは『インデペンデンス・デイ』でやることじゃない。前作は、あくまでも“SF”という枠組みの中でではあるが、“リアル路線”だった。SFチックなキャラクターやガジェットや舞台設定を楽しむのではなく、既存の、現実の世界の中で行われるエイリアンとの戦いを通して、“漢たちのドラマ”を楽しむ作品だった。でも、今後続編が作られていくなら、もうそういったコンテンツではなくなってしまうのだろう。仕方ないのかな。時代の流れなのかな。教えてくれよ、大統領…。

点数:49/100点
 まぁ、悪口ばっかり書いてしまったが、2016年の“夏のブロックバスター”として観るなら、決して不満足なわけではない。映像面は、本当にすごい。要は、前作にリアルタイムで熱狂した筆者のような世代は、思い出補正も手伝って、思い入れが強すぎるのであろう。しかし、ホイットモア大統領がその身を以て教えてくれたように、老兵はただ去るのみ。あの頃に帰ることができる場所がまた一つ減ったと嘆くより、今後飛び回る空が広がったことを、今は素直に喜んでおくべきなのかもしれない。

(鑑賞日[初]:2016.7.8)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)










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Tag:劇場鑑賞作品 エイリアン侵略系SF ダメな続編 予告編最強説

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