25
2012

[No.45] 交渉人(The Negotiator) <76点>

CATEGORYサスペンス




キャッチコピー:『IQ180の駆け引き』

 行動力こそが、知能を計る本当のものさしである。

三文あらすじ:シカゴ警察東分署でトップの手腕を誇る人質交渉人ダニー・ローマン(サミュエル・L・ジャクソン)は、相棒のネイサン・ローニック(ポール・ギルフォイル)から、署内で警察障害年金基金の横領が行われていることを知らされる。その直後、ネイサンは何者かによって殺害され、ローマンはネイサン殺害及び年金横領の濡れ衣を着せられることに。自身の潔白を証明し妻カレン(レジーナ・テイラー)との生活を守るため、連邦政府ビル20階の内務捜査局に事件の関係者テレンス・ニーバウム(J・T・ウォルシュ)やその秘書ら4人の人質をとって立て籠もったローマンは、人質交渉人として、西地区で5年間死傷者ゼロというトップの成績を誇る凄腕交渉人クリス・セイビアン(ケヴィン・スペイシー)を指名する・・・


~*~*~*~

 
 ”IQ180の駆け引き”なんて言うと、『デス・ノート』みたいな知的な攻防戦を想像してしまうが、本作はそこまでインテリな映画ではない。一応”サスペンス”にカテゴライズしたが、”アクション”に分類しても差し支えないだろう。
 
 さて、凄腕の人質交渉人が逆に人質をとって立て籠もり、もう一人の凄腕交渉人と攻防を繰り広げる。本作は、このとてつもなくワクワクするプロットが考え出された時点で、ある程度のおもしろさは保障されたようなものだ。しかも、2人の交渉人を演じるのは、サミュエル・L・ジャクソンケヴィン・スペイシー。これがおもしろくならないはずがない。あとは、変に奇をてらわず、しっかりと脚本を練り映像化するだけで、傑作アクションサスペンスが誕生する。

 そして、本作は、このような期待を裏切ることなく、ちゃんとエンターテイメント指向のアクションサスペンスに仕上がった。交渉人2人の緊迫したやり取り、2時間を超える尺の長さを感じさせないテンポのいい展開、2人の名優による味のある演技、勧善懲悪の気持ちいいラスト。本作は、胸を張って万人にお勧めできる良質のエンターテイメント作品だ。

 しかし、前回紹介した『ピッチ・ブラック』同様、本作も”設定が勝ちすぎた作品”と言っていいかもしれない。
 本作は、90年代ハリウッドアクションの悪しき特徴の一つである”全体の荒削り感”が否めない作品だ。別に荒削りでバカバカしいアクション超大作を批判しているのではない。筆者は、マイケル・ベイをこよなく愛しているし、映画はすべからくエンターテイメントであるべき。しかし、本作に関しては、もっと”IQ180の駆け引き”と呼ぶにふさわしいサスペンスの傑作になる可能性があっただけに残念だ、という話である。

 まず、冒頭でローマンの凄腕さを披露するシーン。ここはもっとローマンの論理的な喋りで犯人の牙城を崩すべきだった。
 ローマンは、籠城する犯人の部屋のドア前でペラペラと犬の話をまくし立てる。サミュエル・L・ジャクソンの持ち味であるマシンガントークだ。この時点ではまだ悪くない。しかし、結局サミュエルのトークは功を奏さず、部隊は突入の姿勢をとる。サミュエルは、引き延ばしを進言し、自ら犯人の部屋に入ることで狙撃の隙を作ることに成功するのだが、これではただお喋りで勇敢な捜査員でしかない。

 また、突入した2人の隊員のうち1人をローマンが殺したと思いきや、実は死んでいなかったという展開がバレバレ。まぁ、これは製作者もバレバレを前提としているのかもしれないが、結構この展開を引っ張って終盤で”実は・・・”的に種明かしをするので、なんだか白けてしまう。
 バレバレということで言えば、ラストでセイビアンがローマンを撃ち殺したように見せかけ、黒幕であるグラント・フロスト(ロン・リフキン)の自白を得るシーン。セイビアンの銃弾は明らかにローマンの急所を捕らえていない。一応フロストは、倒れたローマンからの流血を確認し彼の死亡を確信するのだが、フロスト、詰めが甘すぎるぞ。ここも観ているほうは、あまりハラハラしない。ラストなのに。

 さらに、これは設定自体の問題で”そもそも論”なのだが、自らの潔白を証明するために人質を4人もとって立て籠もるというのは、あまりにも合理性を欠く。殺人と横領を免れたとしても、監禁罪・傷害罪等の罪に問われることは免れないだろう。緊急避難は無理だろうなぁ。

 とはいえ、先ほども言ったように、この程度の突っ込みどころは当時のアクション大作のお約束だから、そんなに目くじらを立てることでもない。やはり本作は”アクション”として観るのが正解だろう。

 アクションファンにとってうれしいのは、ジョン・スペンサーデヴィッド・モースが出演していることだ。
 この2人は『ザ・ロック』でも共演していて、前者はメイソン幽閉の張本人ジェームズ・ウォマックFBI長官、後者はハメル准将の腹心の部下トム・バクスター少佐を好演している。さらに、本作で使用される楽曲の中には、どこか『ザ・ロック』に似ているものもあり、この2人とケヴィン・スペイシーが突入の是非を巡って争う場面などで流れている。このシーンなんかは、まるで『ザ・ロック』を観ているかのようだ。
 それと、音楽で言えば、本作の音楽担当は、グレーム・レヴェルという人なのだが、この人は、前回紹介した『ピッチ・ブラック』の音楽も担当している。そういえば、『ピッチ・ブラック』の楽曲は、どこか『ターミネーター』のそれに似ており、もしかするとこの音楽家は人の楽曲をパクってばかりなのかもしれない。

点数:76/100点
 本作も『ピッチ・ブラック』同様、緻密な脚本さえあれば大化けした可能性があるだけに少し残念な作品。もっとも、普通のエンターテイメント作品として鑑賞するならば、十二分に楽しめる良作だ。

(鑑賞日:2012.2.25)










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Tag:バディ・ムービー サミュエル・L・ジャクソン

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