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27
2016

[No.396] ゾンビスクール!(Cooties) <72点>

CATEGORYゾンビ




キャッチコピー:『レッツ給食タイム!』

 少年よ、乳歯を磨け。

三文あらすじ:小説家を目指してニューヨークに出たものの、夢破れ、母校の小学校で臨時教員として働き始めたクリント(イライジャ・ウッド)。勤務初日から子供たちに見くびられ、クセモノぞろいの同僚教師に面食らい、彼は早くも自信を失いそうになっていた。そんな中、給食のチキンナゲットを食べた女生徒が血に飢えたゾンビへと変貌、校内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す・・・


~*~*~*~


 日本では2016年の2月から劇場公開されていた“学園ゾンビコメディ”。スタッフで注目すべきは、今や指輪を廃棄するため千里の冒険を繰り広げるホビットとしてお馴染みのイライジャ・ウッドが製作に名を連ねているという点と、先ごろ第8作目から始まる新章のスタートが発表された傑作スリラー『SAW』の脚本家リー・ワネルが脚本を担当している、という点だろうか。この2人は、共に演者として本作に出演もしている。イライジャ・ウッドは主人公であるクリント、リー・ワネルはオタクっぽい理科の先生ダグを演じている。

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 さて、本作の何が素晴らしいかと言うと、それは当然その設定であろう。すなわち、ゾンビと化した生徒たちと教師が血みどろの死闘を繰り広げる、というプロットだ。“聖職者”なんて呼ばれていたのは過去の話。モンスターペアレント?このクソガキどもこそが“モンスター”だろうがよ!という本作のノリノリな展開は、まるで現代の行き過ぎた“子供崇拝”を揶揄しているようでもあり、ある意味で大変爽快である。1976年製作の『ザ・チャイルド』というスペイン映画では、例え子供に殺されそうになったとしても子供を殺すことなどできようか(いや、できない)、というテーマが描かれていたが、そんな大人びた主張を笑い飛ばすかのような痛快さこそが、本作の売りだ。特に、筆者は、故あって今どきの窮屈な教育現場というものを身近な人から聞いたことがあったため、本作後半で繰り広げられる怒涛の“児童虐殺”に熱い声援を送っていたのであった。

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 もちろん、PTAから惜しみないクレームを贈呈されそうな上記プロットは、本作が有するコメディという枠組みの中で上手にぼかされている。最も秀逸なのは、ゾンビ・チルドレンたちと敵対する教師のキャラクター設定であろう。本作で登場する教師には、まともな人が一人もいない。主人公のクリントは見栄っ張りの陰キャラだし、理科教師のダグは神経質な変態野郎、体育教師のウェイド(レイン・ウィルソン)が横暴なでくの坊なら、社会科教師のレベッカ(ナシム・ペドラド)は自意識過剰ばばぁで、美術教師のトレイシー(ジャック・マクブレイヤー)はゲイである。唯一まともそうに見えていたクリントの元同級生にしてウェイドの恋人でもあるルーシー(アリソン・ピル)も、後半でどす黒い秘めた胸中を暴露する。

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 つまり、彼ら"非現実的な教師"の存在によって、子供たちが血祭りにあげられていく終盤の展開もある種の"ファンタジー"として受け入れ得るものになっているのだが、そもそも、よく考えてみれば、本作のプロットは別に不謹慎でもなんでもない。確かに、大の大人が子供たちを殺害してく様は驚愕に値するが、その子供たちは大の大人をズタズタに引き裂いて食べてしまうというモンスターである。ゾンビと化した子供たちと大人とのバトルは、もはや対等な戦いと言って良い。

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 そして、本作を観る上でとても大事なポイントは、そのようなぶっとんだ展開を決して“ファンタジー”として笑い飛ばしてはならない、ということである。我々の実生活だって、実はあまり変わらない。子供は弱く、大人は強いか?大人が偉くて、子供は劣っているのか?絶対にそんなことはない。それは大人の自惚れだ。子供だって立派な“人間”であり、独立した“個人”なのである。わけの分からん名前を付けたり、教師にいちゃもんを付けるような親は、一見して我が子を可愛がっているように見えるが、実態は、子供を舐めているに違いない。毛も生えそろっていない、歯も生え変わっていない貧弱な存在。そんな風に決めつけていると、奴らに食い殺されてしまうぜ。決して子供を侮らず、彼らと常に対等に、真剣に相対するというのが、本物の大人ってもんだろう。

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 先述のように、本作の教師たちはみな普通の大人としては変は人物ばかりなのだが、そんな彼らは、子供たちとの真剣勝負を通して、徐々に本物の大人へと成長していく。中でも、横暴なクソ野郎だったウェイドがラストで見せるいぶし銀は、筆舌に尽くしがたいカッコよさ。『マッドマックス』のメル・ギブソンがごとき立ち姿でガキどもに火を放つシーンは、軟弱な大人たちが正座して直視すべき最高のクライマックスである。ちなみに、ウェイドを演じたレイン・ウィルソンは、やりすぎ素人ヒーローの悲哀を描く良作『スーパー!』で主人公たるクリムゾン・ボルトを好演した俳優である。

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 筆者が少しだけ釈然としなかったのは、恋愛面なんだよな。本作では、主人公たるクリント、その元同級生で15年ぶりの再会を果たしたルーシー、そして、ルーシーと現在付き合っている恋人のウェイドという三者の三角関係が、教師たちのサバイバルと並行して描かれていく。まぁ、三角関係と言ったって、終盤までのウェイドは心技体揃ったクソ野郎だから、事実上はクリントとルーシーの恋を引き立てる薬味にすぎない。実際、クリントと楽し気に会話するルーシーにやきもちを焼いてブチ切れたウェイドは、昨日婚約指輪を買ったんだ…という女々しい告白をするも、最終的にはルーシーに愛想を尽かされてしまう。さらに、遂に小学校から脱出する際には、自らの身を挺してみなを逃がすという堂々たる脇役ぶりを披露。横暴な邪魔者は死んだことだし、後は、大団円で披露されるであろうクリントとルーシーの熱いキスを待つばかりである。

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 ところが、ガキどもの“毒乳歯”に掛かったはずのウェイドは実は生きていて、先述のように本作ラストシーンをこれ以上なくバシッとカッコよく締めてしまう。物語はそこで終了するので、もはや我々は、結局ルーシーはクリントを選んだのか、はたまたウェイドとよりを戻すのか、という三角関係の行く末を知ることができずモヤモヤすることになる。

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 もちろん、このラストによって本作の評価が下がるということは無いだろうが、個人的にはクリントかウェイドかどっちかはっきりさせて終わってほしかった。まぁ、逆に言えば、観客が自由に妄想できる余地があるということでもあるのだが。筆者としては、あれだけ人間的に成長し、ラストでは男性ですら惚れるくらいのいぶし銀を見せつけた男が、まるで抜け落ちた乳歯のようにあっさり捨てられるなんて信じられないので、ルーシーはやはりウェイドに惚れ直し結婚する、という見解を採りたいと思う。主人公以外の男とヒロインとのカップリングを支持できるなんて、いやはや、筆者もずいぶん大人になったものである。

点数:72/100点
 “大人が子供をしばき倒す”という残酷なプロットを嬉々として鑑賞できる“バカ映画好き”、まぁ、つまりは、“大人になりきれない大人”にこそ観てほしい良作。冒頭から鶏の気持ち悪い解体シーンをアップで描写したり、ゾンビ映画では外せない定番の“はらわたシーン”が数か所でしっかり描かれたりするから、グロを求める映画ファンも満足できるはずだ。もっとも、夏休み最後の思い出として我が子と仲良く鑑賞する、というのは、あまりオススメできない。

(鑑賞日[初]:2016.8.17)










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Tag:グロ注意 バカ映画 悪趣味映画 走るゾンビ

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