[No.400] シャークネード カテゴリー2(SHARKNADO 2:THE SECOND ONE) <78点>





キャッチコピー:『人喰い鮫200%増量!!凶暴すぎる竜巻、再び日本上陸!!』

 この愛はより“フカ”く。

三文あらすじ:ロサンゼルスを襲った巨大竜巻から生き延び、家族の絆を取り戻したフィン(イアン・ジーリング)。妻エイプリル(タラ・リード)と共に故郷であるニューヨークへ飛び立つ彼を再びあの悪夢が襲う。命からがらニューヨークに降り立ったフィンは、妹であるエレン(カリ・ウーラー)、その夫で幼馴染のマーティン(マーク・マクグラス)、彼らの子供モーラ(コートニー・バックスター)とボーン(ダンテ・パルミンテリ)、そして、高校の同級生にして元カノでもあるスカイ(ヴィヴィカ・A・フォックス)を救うため、人喰い鮫が乱舞する嵐との再戦に挑む・・・


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 サメと竜巻を組み合わせるという奇想天外、奇妙奇天烈、摩訶不思議な趣向が一部の“バカ映画好き”に大うけしたTV映画『シャークネード』。2013年の第一作から一年の幕間を経て放映されたのが、本作『シャークネード カテゴリー2』である。キャッチコピーが既にバカバカしいよな。人喰い鮫を200%増量したということは、前作の3倍になっているわけだが、そのあたりは別にいいのだろうか。

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 さて、映画というものは、基本的に“続編は駄作”というのがお決まりとされている。しかし、実はこの“常識”は、街談巷説の域を出ない“エセ映画あるある”なのであって、実際のところ続編が前編を超えるという事態がまま発生する。例えば『ゴッドファーザー PartⅡ』であったり、例えば『ターミネーター2』であったり。『死霊のはらわたⅡ』旧『スパイダーマン2』だっていずれも第一作よりおもしろかったし、『ガメラ2』も個人的には一作目を超えていたと思う。つまり、我々映画ファンにとっての“続編”は、殊更に忌むべき存在などではない。ときとして前作以上の期待を持って臨むことも、決して間違いではないのである。そして、これは本シリーズにおいても変わらない。本作『シャークネードカテゴリー2』は、“前作を超えた傑作”だ。

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 では、第一作に満足した者が続編に期待することは何か。それはもちろん、頼むから前作の“延長”であってくれ!である。そりゃあ、スケールアップだったり、また違う角度からのストーリーを見てみたい気持ちはある。しかし、世界観の拡大に固執するあまり前作とは“別物”になってしまう映画は巷に多く、その都度、我々の胸中では酷い落胆の嵐が渦巻くのである。

 その点、本作は、我々が心奪われた前作の魅力をことごとく踏襲しており素晴らしい。“サメ×トルネード”という組み合わせは前作そのまま。そこには何の不純物も混入しない(逆に混入しかけた(?)ワニが「テメーの出番はねぇんだよ!」とばかりにサメに食い殺されるシーンがあって、少し笑ってしまう。)。また、主人公とその妻も前作同様の俳優が続投。大混乱の中を主人公が四苦八苦しながら鮫竜巻と対決する、という大まかなプロットも全くブレていない。総じて、本作は前作と全く同じ方向性の作品なのである。

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 そして、本作が続編として傑作たる所以は、前作と比較しておおよそあらゆる要素がパワーアップしている、という点である。パワーアップばかりを追い求め前作の土台をないがしろにするのは“ダメな続編”だが、前作の趣をしっかり踏襲した上でパワーアップさせるのは、“前作を超えた傑作”だ。先述したいくつかの傑作続編たちも、すべからく前作の要素を踏襲しつつ各々のパワーアップを成功させている。

 本作において、特に目覚ましく増強されたのが映像クオリティ。より具体的にはCGの質が格段に改善されている。ちょっと調べ切れていないのだけれど、おそらくバジェットが跳ね上がったのだろうな。本作のCGには、(あくまで前作と比較するなら)安さなど微塵も感じられない。

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 また、主人公のヒーロー具合。前作では頼まれてもいないのに勝手に七転八倒し、バカバカしいノリの中でいつの間にやらロサンゼルスを救っていた主人公のフィン。前作でよりを戻した妻(まだ再入籍はしてないっぽいが。)のエレンが執筆した体験談がヒットしたため、今では有名人となっている。本作のクライマックスでは、そんな彼がなぜかニューヨーク市長直々の出動要請を受け、仲間と共に巨大鮫竜巻に立ち向かっていく。なぜ警察や消防や軍隊で対応せず、素人におまかせするのだ、という疑問からスタートする本作のクライマックスは、本当にバカ。しかして、最高にヒロイックでもある。

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 まず、フィンがニューヨーカーを鼓舞するシーン。なんかずーっと謙虚なおっさんだったはずなのに、ニューヨーク市長におだてられたフィンは、なぜだか車の上に飛び乗り、周囲の市民たちに対してホイットモアばりの“男気溢れる演説”をぶちかますのである。ここはもうやりすぎなくらいにベタな“ヒーロー”。まともな作品であれば、それこそ『ID4』くらいコテコテな積み上げがないと浮いてしまうシーンだが、こと“バカ映画”においてはそのような土台など必要ない。一応のストーリーラインさえあれば、唐突な熱血もオールオッケー。むしろ、突然の演説とサメの“スローモーション切り”を目の当たりにした我々は、待ってましたとばかりに手を打つのである。

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 その一方で、世の中には打ちたくても打つ手の無い人だっている。これは比喩ではない。序盤でサメに左手を食いちぎられた本作のヒロインにして主人公の妻でもあるエイプリルもその一人。ヒロインが身体の一部を欠損するというのは、映画開始直後にして中々衝撃的な展開である。とはいえ、我々“バカ映画好き”は、この時点で既におぼろげな期待を抱いている。そして、その期待が確信へと変わるのは、病院で目覚めたエイプリルが左手の喪失にショックを受ける描写が無い、という不自然な演出を見たとき。つまり、エイプリルの左手欠損は、別に登場人物が乗り越えるべき悲劇として描かれているわけではないということだ。案の定、フィンがエンパイア・ステート・ビルディング上であわやサメに食べられそうになった瞬間、彼女は颯爽と登場する。失った左手に電動丸ノコを装着して。この雄姿を前にした我々“バカ映画好き”は、エイプリルの無事な右手とがっちり握手を交わす。オッケー、やっぱり『死霊のはらわたⅡ』だったんだな!

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 それから、フィンがサメに丸飲みにされる、という展開も前作同様。加えて、フィンの引きの強さも健在である。すなわち、前作では空中で無数に乱舞するサメの一匹にノヴァが食べられてしまうのだが、その後フィンがたまたま、偶然、思いがけずその同じサメに丸飲みにされ、内側から腹をかっさばいてノヴァを救出する。本作でも、冒頭でエイプリルの左手を食いちぎったサメを図らずも、ゆくりなく、奇跡的にフィンが倒し、彼はその口の中から愛妻の左手を救出するのである。

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 “左手を救出”とは一体全体どういうことなのだ、という感じだが、妻の左手というのは、まぁたいてい薬指に結婚指輪を装着しているもの。つまり、フィンは、憎きサメに奪い取られた妻の指輪を救出したということである。当然、勢いそのまま跪いたフィンは、愛する妻にもう一度プロポーズをするわけだが、ここは中々巧い。喧々諤々の前作があって、よりを戻した本作があって、というフィンとエイプリルのドラマ部分が上手にギミックと融合しているため、最高のカタルシスを感じることができる。

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 一方、先述したエイプリル電動丸ノコシーンは、そのようなドラマ部分との連結が無く、少し残念ではある。もちろん、これまた先述の通り、“バカ映画”なんてのはストーリー的な積み上げの無いままギミックをぶち込んでも十分成立するものであるから、我々は女版アシュリー・ウィリアムズと化したエイプリルの雄姿に惜しみない歓声を送ることができる。とはいえ、やはりここは、まず病院で目覚めたエイプリルの絶望を序盤でしっかり前ふりしておかないとダメだったよな。自身の勇気と夫への愛でその悲劇を乗り越えてこそ、電動丸ノコシーンは、ドラマ上のカタルシスとギミック上のカタルシスがバチッと合わさった真の名シーン足り得るのだと思う。アッシュだってクライマックスに至るまでほとんどずーっといたぶられ続けたからこそ、我々は「Groovy…!」にあんなにも興奮したのである。

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 それから、本作の演者について少し。ヒーローとヒロインは前作からそのまま続投の本作であるが、本作特有の“ゲスト”として2名ほど割と有名な人物が登場する。一人は、気の良いおとぼけタクシー運転手ベンを演じたジャド・ハーシュ。もう一人は、フィンの高校時代の同級生であり、元カノでもある勇敢な女性スカイを演じたヴィヴィカ・A・フォックスである。この2人、“バカ映画好き”はピンと来るだろう。何かと建造物を破壊したがるSFアクションものの大家ローランド・エメリッヒの出世作『インデペンデンス・デイ』だ。同作において、ジャド・ハーシュはデイヴィッドの父を、ヴィヴィカ・A・フォックスはヒラー大尉の妻を好演していた(あと、ヴィヴィカについては、『キル・ビル vol.1』の"コッパーヘッド"ことヴァニータ・グリーンも印象的。)。まぁ、バジェット的には“超大作”である『ID4』だって、その本質は紛うことなき“バカ映画”であるから、“バカ映画好き”にとっては、この両者の出演も極めて嬉しい見どころということになるだろう。

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 最後に、本作のオマージュについて。前作にも多く登場していた『ジョーズ』へのオマージュは、本作でも垣間見ることができる。決定的なのは、フィンの妹とその旦那の名前。旦那の方がマーティン・ブロディ、妹の方がエレン・ブロディというのだが、これはそのまま『ジョーズ』の主人公である警察署長マーティン・ブロディとその妻エレン・ブロディへのオマージュである。また、彼らの息子はボーンという名前だが、これも『ジョーズ』の舞台アミティの市長の名前を拝借している。まぁ、ちょっと露骨すぎる気もするけれど、オッケー!お前たちもやっぱ『ジョーズ』好きなんだな!って感じで、“バカ映画好き”は盛り上がることができるだろう。

点数:78/100点
 前作の本質はそのままにあらゆるギミックをパワーアップさせた傑作続編。前作の虜になった者の愛をより深いものにしてくれる上質な作品である。そろそろ本格的に台風シーズンに突入する時期だが、外出の際にはくれぐれも傘とチェーンソーを忘れないように注意しよう。

 さて、時にはプライベートな話を。2016年9月6日の本日は、筆者にとって中々にメモリアルな一日であった。まぁ、別に筆者自身が何かを成し遂げたわけでは全くないのだが。それでも、あたかも“前作を超えた傑作”であるかのように過去の己を乗り越えていった旧友を目の当たりにして、筆者は我が事のように嬉しかったわけである。もちろん、第一作を超えた第二作が意外と巷に多いように、一度の失敗を次で挽回するということはそう困難ではないのかもしれない。しかし、これが三作、四作と作数を重ねるなら話はまた変わってくる。こと映画に限って言うなら、三作目、四作目まで当初の軸を一切ブラさなかったのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズと『リーサル・ウェポン』シリーズだけではないかと思うし、五作目以降まで続くシリーズものとなると、これはもう当初の志を貫徹できた作品など皆無なのではないかと思える。そんな中、本日筆者の界隈を駆け巡ったニュースは、この世には四度ダメでも五度目でいけることがある、という真実をまざまざと詳(つまび)らかにしてくれた。とにかく、長年の忍辱を乗り越えた彼の見上げた根性には“深く(フカく)”感服である。そして、こっそり、かつ、大っぴらに「いやぁ、四回アカンかったけど五回目でいけるってことはこの世に存在せぇへんやろ」なんていじっていた自身の“不覚(フカく)”を恥じたいと思う。

(鑑賞日[初]:2016.8.24)

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