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2016

[No.407] ボーン・スプレマシー(The Bourne Supremacy) <72点>

CATEGORYアクション




キャッチコピー:『愛の終わりは、戦いの始まり。』

 Bourne was born to TELL THE TRUTH.

三文あらすじ:ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が姿を消してから2年後。CIAのパメラ・ランディ(ジョアン・アレン)は、ベルリンでのある事件の調査中に何者かの襲撃を受ける。時を同じくして、謎の刺客に恋人であるマリー・クルーツ(フランカ・ポテンテ)を殺害されたボーンは、敵の正体を突き止めるため、“トレッドストーン計画”の真実に迫っていく・・・


~*~*~*~


 ボーン・シリーズ“旧3部作”の第2作目。前作の監督ダグ・リーマンは今回から製作総指揮に回り、新たに監督として抜擢されたのが、本作と続く第3作で本シリーズの方向性を決定付け、来月日本公開の最新作『ジェイソン・ボーン』でも監督を務めるポール・グリーングラス。本シリーズで一気にアクション映画監督というイメージが定着したが、そもそもジャーナリストから映画監督に転身したというだけあって、『ユナイテッド93』や『キャプテン・フィリップス』のような“社会派”な作品もいくつか手掛けている。

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 さて、本作は、1作目の趣をガラッと変えた作品だと個人的に思う。というか、個人的にこのボーン・シリーズは、むしろ“蛇足”の方がハネたシリーズだと考えている。ジェイソン・ボーンという一人の男の物語は、第1作で綺麗に終わっているんだよな。自分の“アイデンティティー”というのは、別に過去の事実にのみ固執しなくたっていいんだよ、自分はこういう人間だ!と胸を張って言えるものがあれば、それこそが君の“アイデンティティー”なんだよ、というテーマは、前作できちんと完結していた。しかし、本作では、その終わった物語を蒸し返し、ボーンの過去の事実の方を深堀りしていく。一見殺人マシーンの過去を探っていくと見せかけて現在の“愛”に着地させたところが良かったのになぁ。

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 とはいえ、そんなボーンの過去の掘り下げこそが世間に受けた。だからこそ、“旧3部作”は人気シリーズとなり、失敗作の番外編と少しの幕間後の第4作が製作されたわけである。実際、本作はおもしろい。何より、テンポがすごく良い。“良い”というのは語弊があるか。とにかくテンポが早い。むっちゃ早い。このテンポの早さに最も大きく寄与しているのは、やっぱりポール・グリーングラスの売りであるカット割りの細かさであろう。公開当時は、ワン・カット平均○秒!なんて騒がれていたが、確かに、高速カットによる彼のアクションは、新しい。まぁ、筆者のようなおっさん映画ファンは映画中盤辺りで、あああああ、ちょっと待てちょっと待て!と発狂してしまうのであるが。

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 ストーリーの方向転換とかアクションのせわしなさとかは別にいいとして、筆者が個人的に憤った展開は、ラストでジェイソン・ボーンがターゲットの娘に面会する場面である。ボーンはかつて自分が殺したターゲットであるネスキーの娘イレーナ(オクサナ・アキンシナ)に会いに行って、実はお前の父親は俺が殺したんだよ、と伝えるのだが、これって良いことなのか?仮に良いこと、必要なことだとしたら、誰のために?ボーンのためか?だったらそれはエゴイズム以外の何ものでもないだろう。あるいは、ボーンが「なぜ親が殺されたか知りたくはないか?俺なら知りたい。」と発言していたように、これはあくまでもイレーナのための面会だったのだろうか。それなら、てんでお門違いなんじゃないかな。

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 イレーナは、一言でも「両親の死の真相を私に教えて!」と懇願しただろうか。そんな描写は無い。今の彼女は一人でしっかりと生活している。きっと彼女は両親の死に自分なりの決着を付け、自分の足で歩いているのだろう。そんなところに突然怪しげなおっさんがズカズカと入って行って、いきなり「お前の親の死について俺が教えてやるうう!」なんて偽善を押し付けてくるとは言語道断だ。だいたい、一人暮らしの女の子の家に勝手に侵入しているのだから、まずは帰宅したイレーナに「大丈夫!俺は真実を伝えに来ただけ!日記は読んでないし、下着には触れてない!」と真摯に述べて安心させてあげるのが紳士というものであろう。少なくとも、イレーナはいまだに両親の死を咀嚼できずに引きずっている、ということが分かる描写を入れておくべきだったと思う。家族の写真だけじゃあ、ちょっと弱すぎる。

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 この展開は、きっとボーンの自分探しを再開させるという本作の方向転換に元凶があるんだ。過去の事実の探究者になってしまったボーンは、自分なら知りたいからという理由でイレーナに両親の死の真相を語った。しかし、前作のテーマというのは、過去の事実ではなく現在の真実こそが“アイデンティティー”だろう?というものだったのだから、きっと前作のボーンなら、そんな押しつけがましいことはしなかったはずだ。このような“蛇足”を生んでしまったという意味においても、やっぱり個人的にジェイソン・ボーンの物語は前作で終わっておいた方が綺麗だったように思う。

点数:72/100点
 あと、ちなみに、本作ではジェンソン・ボーンの本名がデイヴィッド・ウェッブだと判明するが、これも方向転換の如実な表れだよな。過去なんてどうでもいいんだ。本名なんてどうでもいいんだ。前作のテーマであれば、マリーと出会い、マリーを愛した“ジェイソン・ボーン”のまま終わっていく方が綺麗だった。とはいえ、我々がボーンの活躍をまだまだ観ていたいと思ってしまうのもまた真実。やっぱりマット・デイモンは良いな。特にジェイソン・ボーンのマット・デイモンはとても良い。そんなわけで、方向転換に対する不満はあれど、最新作のための復習を楽しく続けたいと思う。

(鑑賞日:2016.9.20)






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