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2012

[No.46] ダークマン(Darkman) <82点>

CATEGORYアメコミ
Dark Man



キャッチコピー:『WHO IS DARKMAN』

 ”ダークヒーロー”の原典がここに。

三文あらすじ:医療用人工皮膚の研究をしている科学者ペイトン・ウェストレイク(リーアム・ニーソン)は、恋人の弁護士ジュリー・ヘイスティングス(フランシス・マクドーマンド)のクライアントである不動産業界の大立者ルイス・ストラック・Jr(コリン・フリールズ)の汚職書類を誤って研究所に持ち込んでしまう。ルイスの命令でロバート・G・デュラント(ラリー・ドレイク)率いるマフィアに襲撃されたペイトンは、化学薬品を浴びせられ、研究所の爆破に巻き込まれたことで全身に見るも無惨な大火傷を負うが、奇跡的に一命を取り留める。復讐に燃えるペイトンは、自らが研究していた人工皮膚を身に纏い、暗闇に紛れてロバート一味を次々と血祭りに上げる孤高のダークヒーロー”ダークマン(DARKMAN)”として生まれ変わる・・・


~*~*~*~

 
 本作は別にアメコミが原作という訳ではないのだが、アメコミ大好き監督サム・ライミの趣味が爆発しているアメコミ風ヒーローものなので”アメコミ”にカテゴライズする。

 『死霊のはらわた』及び『Ⅱ』で世界を恐怖と興奮の渦に巻き込んだサム・ライミが自身のアメコミ好きを爆発させ、監督・脚本・原案を務める意欲作。
 音楽は『シザーハンズ』『ミッション・インポッシブル』『ビッグフィッシュ』から近年ではアカデミー作品賞にノミネートされた『ミルク』まで幅広く活躍するダニー・エルフマン。彼は『バットマン』『ハルク』『ヘル・ボーイ2』など、本家アメコミ作品も数多く手がけており、『スパイダーマン』シリーズでは再びサム・ライミとタッグを組んでいる。

 本作は、まさに映画版『スパイダーマン』の原典と言っていいだろう。特に、火傷後のペイトンが人工皮膚の研究に苦心するシーンで使われる演出などは、同作でも同様に使用されていた。

 とはいえ、ダークマンは、ホラー映画の巨匠サム・ライミが自ら生み出したキャラクター。お気楽ヒーロー、スパイダーマンとは違って、一癖も二癖もある味わい深いヒーローである。

 まず、ペイトンが受けるリンチが相当ハード。
 訳も分からないままボコボコにされ、苦労を分かち合ったたった一人の助手ヤナギモトを目の前で射殺され、煮え立つ化学薬品に浸されることで全身の皮膚をボロボロにされ、最後は最大の財産である研究所を爆破されてしまう。奇跡的に生き延びたものの、その姿はまるで『ダークナイト』のトゥー・フェイス。そのまま『死霊のはらわた』に出演できそうなグロテスクな見た目だ。
 ちなみに、本作と『ダークナイト』の類似点は他にもあって、”建設途中のビルでの夜の戦い”は両作で共通しているし、逆さまに宙ぶらりんの敵の命を主人公が握っているという構図は、両作で酷似している。もっとも、バットマンが宙ぶらりんのジョーカーを結局助けるのに対して、ダークマンは容赦なくルイスを落下させるという違いがあり、ダークナイトよりもダークマンの方がよりダークである。

 さて、自身の肉体・精神・財産とその人生の全てを奪われたペイトンは、ロバート一味への復讐を誓う。ここで役立つのが、彼が研究していた人工皮膚だ。人工皮膚を加工してロバートの手下のマスクを作りその者になりすますことで、ペイトンは次々と血の復讐を実行していく。
 しかし、このマスクには一つ欠点がある。序盤の研究シーンで、彼と助手が何回やっても人工皮膚の形状を99分以上維持させることができないということが説明され、その原因が”光”にあることが判明する。つまり、ペイトンは、加工した人工皮膚を纏うことでどんな人物にでも変身できるのだが、光の下では99分間しか活動できないのである。闇の中でしか自由に生きることができないヒーロー。ゆえに”ダークマン”。ウルトラマンしかり姫ちゃんしかり、活動時間に制限のあるヒーロー又はヒロインというのは、古からのロングセラーである。

 ダークマンの特殊能力は、人工皮膚による変身だけではない。
 ペイトンは、大火傷の後遺症として、全身の感覚が麻痺している。その結果、痛みを感じることのない超人になったのだが、同時に刺激を渇望する彼の精神は、ペイトンを以前より怒りっぽい性格にし、一度キレるとアドレナリンの大量放出で人外のパワーを発揮するという体質に変貌させた。この”事故の後遺症で全身の感覚を失ったヒーロー”という設定は『キック・アス』と共通している。カリカリ男ペイトンは、再会した恋人ジュリーとのデート中も怒りを爆発させる。遊園地の射的屋さんで見事的に当てるも、テキ屋はいちゃもんをつけて賞品であるピンクの象のぬいぐるみを渡そうとしない。ペイトン、ブチ切れ。テキ屋を吹っ飛ばし、なだめようとするジュリーにも切れる。

 「TAKE THE FUCKIN' ELEPHANT!」

 めっちゃコワイ。

 ちなみに、恋人ジュリーを演じるのは、『ファーゴ』のマージ・ガンダーソン役でアカデミー主演女優賞に輝いた名女優フランシス・マクドーマンド
 また、ダークマンを演じるリーアム・ニーソンは、『シンドラーのリスト』のオスカー・シンドラー役でアカデミー主演男優賞にノミネートされた実力派俳優。近年では『スターウォーズ』新三部作でのクワイ=ガン・ジンや『バットマン・ビギンズ』でのラーズ・アル・グールなどが印象的。その他にも、『ラブ・アクチュアリー』では、妻に先立たれ悲しみに暮れる中子育てに奮闘する父親ダニエルを好演していた。
 本作が設定自体荒唐無稽なアメコミ風ヒーローものでありながら、ダークマンの苦悩をも良く描き出せているのは、彼らの名演に寄るところが大きいと思われる。

 そして、ダークマンの苦悩をしっかり描くことでバランスを取りながら、本作にはあらん限りのエンターテイメント要素が盛り込まれている。

 圧巻なのは特にアクションシーン。
 ダークマンの根城にロバート一味が攻め込んでくる終盤は、これでもか!というくらい爆発を起こす。その一方で、ダークマンが武装した下っ端達を闇の中から一人また一人とさらっていく演出は、本来ホラー映画で主人公達が襲われる際に使われるものだ。この辺の演出は、サム・ライミにとってお手の物で闇から闇へと移動するダークマンの見えざる恐怖がひしひしと伝わってくる。やっぱりダークマンめっちゃコワイ。この”ヒーローが敵を倒す際にホラー映画の演出を取り入れる”という手法は、『バットマン・ビギンズ』でも使われていた。新バットマンシリーズの監督クリストファー・ノーランは、『ダークナイト』制作の際マイケル・マンの『ヒート』を参考にしたと言っていたが、シリーズ全体を通して実は本作にも影響を受けているのではないだろうか。
 さて、根城に攻め込まれたダークマンは、以前自分にされたのと同じ方法で大爆発を起こし、ロバートの部下を葬り去る。そして、ヘリで逃げるロバートを血祭りにあげるため、ヘリから垂れ下がったロープにつかまり空へ舞い上がっていく。ここからのアクションシーンも斬新で見応えたっぷり。ヘリが高く飛ぶとビルにぶつかりそうになり、低く飛ぶと走る車をよけていく。
 そして、クライマックスは、黒幕ルイスと建設中のビルでピーターパンさながらのハラハラアクションを繰り広げる。地上200メートル、足場は細い鉄骨のみ。インテリホワイトカラー風のルイスにダークマンと互角かそれ以上の戦闘をさせるため、「昔親父に高所作業員をやらされたことがあってね。上で走り回れたのは、俺とインディアンだけだったよ。」という台詞を言わせるきめ細やかさがニクい。

 ルイスを躊躇無く転落死させ、ジュリー救出に成功したからと言って、単純なハッピーエンドにはならない。ダークマンは、一癖も二癖もあるヒーローだ。ペイトンの変わり果てた姿を間近で見て、ちょっと引きながらも彼に対する気持ちを変えないジュリー。しかし、ペイトンは、我が身の中に巣くった闇に自分は耐えられてもジュリーは耐えられないと言い残し、彼女の下を去る。闇の中でしか生きられず、自らの闇に怯えるヒーロー。それが”ダークマン”だ。

 ジュリーに別れを告げ、雑踏の中に消えていくペイトン。ジュリーは後を追うが、人工皮膚のマスクを被り雑踏に紛れたダークマンを彼女は見つけることができない。ここでペイトンのモノローグ。

 「I'm everyone, and no one. Everywhere, nowhere. Call Me "DARKMAN".」

 ダークマン、めっちゃカッコイイ!

 このラストシーンでは『死霊のはらわた』ファンにはうれしいサプライズが用意されている。変装したダークマンが雑踏の中でふり返ると、その顔がブルース・キャンベル!! 『死霊のはらわた』シリーズで不屈のやりすぎヒーロー”アッシュ”を演じた怪優である。サム・ライミとブルース・キャンベルは、学生時代から一緒に自主制作映画を撮っていた親友で、ライミ監督作品にはほぼ全作に何らかの形でキャンベルが出演している。ハリウッド超大作『スパイダーマン』シリーズにも3作全てに出演しているので、彼を探しながら鑑賞するのも楽しいだろう。

点数:82/100点
 本作は、痛快娯楽ヒーローものであって、気兼ねなく万人にお勧めできる良作である。まぁでも、直接描写は無いものの残虐なリンチシーンがあるし、設定自体かなり陰湿だから子供にはお勧めできない。象のぬいぐるみがトラウマになる可能性も否めないし。大人のためのダークヒーロー。それが、ダークマンだ。

(鑑賞日[初]:2012.2.25)










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Tag:男には自分の世界がある 後天的ヒーロー

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