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30
2016

[No.410] プライドと偏見(Pride & Prejudice) <68点>

CATEGORY恋愛




キャッチコピー:『「恋に落ちたシェイクスピア」から7年― 「ラブ・アクチュアリー」の製作者が贈る感動のラブストーリー』

 高慢と偏見と…?

三文あらすじ:18世紀末、イギリスの田舎町で五人姉妹を抱えるベネット家の母親(ブレンダ・ブレッシン)は、なんとか娘たちを資産家と結婚させようと躍起になっていた。そんなある日、近所に独身の大富豪ピングリー(サイモン・ウッズ)が引っ越して来る。舞踏会の夜、ピングリーの親友フィッツウィリアム・ダーシー(マシュー・マクファディン)の高慢な態度に強い反感を抱いた次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、あらぬ誤解から彼への嫌悪感を募らせていくのだが・・・


~*~*~*~


 本国イギリスでは2005年の秋、日本では明けて2006年に公開された純恋愛映画。原作は言わずと知れたジェーン・オースティンの古典的名作『高慢と偏見』である。本編についての感想を述べる前に、まず、本作のキャッチコピー。いやいや、そこまで他作品の威を借りなくても…と擁護してやりたくなるおもしろいコピーだ。その一方、本作の予告編については、若干擁護しかねる気もする。いくら『ラブ・アクチュアリー』のスタッフが再結集したからと言って、『ラブ・アクチュアリー』の楽曲をそのまま使っちゃあダメだろう。本作の宣伝に携わった人たちは、もうちょっと作品自体の魅力にプライドを持っても良かったんじゃないか。

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 さて、本作の筋を大雑把に言ってしまうと、男の高慢さに辟易としていた女が自身の偏見を恥じ男と結ばれる話。ここに、当時の“階級(格差?)社会”だったり、それを女側から見た“結婚への憧れ”や“結婚の必要性”、ひいては、“本当に人を愛するとはどういうことか”みたいな味付けがされている。もちろん、映画的には、エリザベスを演じたキーラ・ナイトレイやその姉であるジェーンを演じたロザムンド・パイクを始めとする美女たちの共演も見どころだし、ドナルド・サザーランド、ブレンダ・ブレッシン、そして、ジュディ・デンチと脇を固める名優たちのいぶし銀も特筆に値する。

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 実際、本作は、非常に素敵な作品だった。古から数多作られてきたこの手の“身分不相応恋愛もの”のお決まりである、好きなんやろ?お前らホンマは両想いなんやろ?というハラハラやヤキモキが心地良いし、やっぱり主人公2人が晴れて結ばれるラストでは、お前らはホンマにお似合いやで…と優しい安堵の中で気持ちよく涙を流すことができる。衣装や小道具や建物や風景なども素晴らしく、すっかり18世紀イギリスを堪能した気分になれるし、ときおり挿入されるコメディシーンも小気味良い(特に、ベネット嬢とベネット嬢と…ベネット嬢です。のくだりはおもしろかった。)。何度か使われるズーム・アップを始め、カメラワークやカット割りも退屈ではなく、ゴリゴリの時代ものでありながら眠気に襲われる心配も無い。

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 ただ、この手の作品の完全なる門外漢としての筆者には、いくつか釈然としない部分もあった。これは別に不満を持ったということではなく、筆者の無知ゆえあまりよく分からなかったという類の話である。まず、本作は、ガチガチの“身分不相応恋愛映画”でありながら、それゆえのヤキモキ感がけっこう薄め。先ほどは、主人公2人の煮え切らない態度にハラハラヤキモキできると述べたが、厳密には、筆者のようなバカ映画好きでも苦しくならない程度の“心地よいヤキモキ”なのである。ドロドロ系恋愛映画が好きな人なら物足りなさすら感じかねないこの一種“カラッとしたすれ違い”の元凶は、おそらく主人公たるエリザベスのキャラクターにあるのだろう。より具体的に言えば、エリザベスが他の男のところへ行きそうにならないという点がデカいのだと思う。まぁ、一応一回だけあの“イケメンクソ歩兵”(ルパート・フレンド)に惚れかけるが、それはまだエリザベスとダーシーの恋が本格化する前の話。そして、その後は、哀れなるコリンズ(トム・ホランダー)の求婚をバッサリ断ったりと、エリザベスは一切ブレないのである。

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 まぁ、要は、エリザベスとダーシーの恋路を阻む障害は、恋敵による妨害などではなく、あくまでも貧富・家柄の格差やそこからくる高慢、そして、偏見であるということなのだろう。ただ、本作が標榜しているこの高慢と偏見も、個人的にはちょっと薄いんじゃないかなと思った。もちろん、筆者は原作も読んでいないし、殺人鬼やゾンビの出てこない純粋なるドラマ作品に疎いからあまり偉そうなことは言えないのだが、そもそも、ダーシーってそこまで“高慢”か?との疑問を持った。そして、その逆として、エリザベスは“偏見”っていうかちょっと“誤解”していた程度じゃあないのか?とも思った。まぁ、筆者は過剰にヤキモキさせられるのが嫌いなたちなので、別に不満に思ったわけではないのだが、ちょっとダーシーをいいヤツにし過ぎたため、テーマが弱くなっているのではないかと感じる。

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 それから、カットが切り替わってしばらくは何が起こっているか分からないというシーンがけっこうあった。筆者などは、あぁこれは夢とか妄想の描写なんだな(フムフム)、と数か所で訳知り顔をしていたのだが、結果的にそれらは全て的外れだったのである。当然、主たる原因は筆者の無知にあるだろう。特に、友人宅に宿泊しているエリザベスの部屋にダーシーが突然入ってきて手紙を渡すシーン。ここなんかは、ええ!いくら金持ちだからって、人の領域を無断で二重に侵犯することが許されるのか?!と戸惑ったのだが、ひょっとしたら当時の事情を知っていれば即座に納得できるのかもしれない。

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 ただ、この“何が起こっているか分からない現象”の主たる原因は、たぶん字幕の不備にあるんだと思う。筆者の語学力では役者たちがしゃべるイギリス英語をあまり聞き取れないし、ちょっとした説明不足とか若干の大胆カッティングなども一応の原因としてあるのだろうが、決定的なのは絶対に字幕だ。具体的に指摘はできないけれど、映画を観ていてこういう気分になるときというのは、たいてい字幕がダメなのである。そう、つまり、本作はご多聞に漏れず“戸田奈津子映画”なのである。ちょっと今回鑑賞したDVD版の字幕担当者を特定できていないのだが、少なくとも、本作が劇場公開された時点での字幕は戸田奈津子氏によるものだったらしい。DVDもこれだけよく分からなくなっているということは、きっと“奈津子翻訳”をベースにしているのだろう。きっとそうに違いない。

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 ちなみに、本作のDVDには特典映像として“アメリカ版エンディング”なるものが付いている。エリザベスの父であるベネット氏の極めて粋でいぶし銀な様をラストカットに据え、エリザベスとダーシーのその後のイチャイチャを観客の想像に委ねた本国版の余韻ある幕切りとは異なり、アメリカ版ではまさにそのイチャイチャを親切にもしっかり見せてくれるのである。まぁ、一言で言ってしまえば“ミス・ダーシー連呼シーン”なのだが、2人のヤキモキを見守ってきた観客への“ご褒美”として一見の価値が無いわけではないだろう。ってゆーか、ダーシーがエリザベスに向かって“ミス・ダーシー”を連呼することには一応意味があると思うんだよな。「わたしを“ミス・ダーシー”と呼ぶのは、あなたが最高に幸せなときよ。」というエリザベスのフリを受けて“ミス・ダーシー連呼”が始まるわけだが、ここには“名前”に象徴される“家”とかなんか色々な本作のテーマが乗っかっている気がする。なのに、その連呼の一つを「最高に幸せだ。」に勝手に変えてしまう字幕のダメさ。一見ダサくても、「ミス・ダーシー、ミス・ダーシー、ミス・ダーシー、ミス・ダーシー…」の繰り返しでいいんだよ。それで観客は分かるから。まったく、観客を舐めた高慢な字幕である。

点数:68/100点
 美しい情景、美しい女性たち、そして、美しいラブストーリーを堪能できる良作であることは間違いないと思う。ただ、もうちょっと“高慢”や“偏見”というテーマを際立たせて、しっかりした字幕を乗せて、それから…例えばだけど、ゾンビなんかを登場させたら、もっと楽しめる作品になったと思うのだが、これは偏見だろうか。

(鑑賞日[初]:2016.9.29)










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