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2012

[No.4] パルプ・フィクション(Pulp Fiction) <100点>

Pulp Fiction(1)



キャッチコピー:『時代にとどめをさす。』

 タランティーノ最高傑作!
 分かる奴だけついて来い!!

三文あらすじ:Pulp/pulp/n: 1. A soft, moist, shapeless mass of matter. 2. A magazine or book containing lurid subject matter and being characteristically printed on rough, unfinished paper. レストランを襲うカップル強盗(ティム・ロス、アマンダ・プラマー)、マフィアの殺し屋2人組(ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン)、彼らのボスとその妻(ヴィング・レイムス、ユマ・サーマン)、落ち目のボクサー(ブルース・ウィリス)等が織りなす4つのストーリーが、交錯しながらまるでパルプ・フィクション(Pulp Fiction)のように綴られていく・・・

 
~*~*~*~

   
<はじめに>
 これも筆者のオールタイム・ベスト。ミーハーだと笑われるかもしれない。『レザボア・ドッグス』こそが一番だと言う人もいるだろう。いやいや『ジャッキー・ブラウン』だというタランティーノ通もいると思う。しかし、筆者はそのような全てのタランティーノファンとがっちり握手を交わしつつ、やはり『パルプ・フィション』こそがタランティーノのベストワークだと宣言したい。

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 筆者が考えるタランティーノ映画の最大の魅力は、極めて”作り物感”が強いということだ。全ての映画は作り物なのだから、最も映画らしい映画と言い換えることもできる。全体をクールに構築するために、ストーリーを分解し時系列をバラし最も効果的な音楽を配置する。筆者は、映画というものはすべからくエンターテイメントであるべきだと考えているので、タランティーノのこの手法とスタンスには深く心酔している次第である。そして、そのようなタランティーノイズムが最も輝いているのがこの『パルプ・フィション』。内容は無い、メッセージもない。だが、登場人物が織りなす会話は全て最高にクールで、大胆な演出手法は素晴らしくファッキンだ。

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 もっとも”センス”というのは人それぞれで、最高だ!と感じる人がいる一方で全くはまらないという人もいる。タランティーノフリークたちがその他の映画ファンからときおり少々煙たく見られるのは、まさにこの点に原因があるのだろう。映画の素晴らしさを説得的に伝えるには、やはり何らかの深いテーマ性が必要なのであって、それはタランティーノ映画には基本的に欠落しているものである。よって、ものすごく熱を帯びて、いかにセリフがクールで演出手法がファッキンだと語っても、ふーん、で、結局何を伝えたい映画なの?などという全く的外れな批判を向けられることになる。やはり、本作は“わかる奴だけついて来い!”というスタイルの傑作なのであるから、安直なお涙ちょうだいや辛気臭いテーマに酔いたいマザーファッカーたちなど放っておいて、俺たちだけで楽しむ映画なのである。実際、タランティーノ自身も本作について、「ただ熱中して見ればいい。のめり込むんだよ。いい加減な客のために映画を作る気はない。」と語っている。

<プロローグ>
 パンプキンとハニー・バニー。2人の強盗の会話からこの映画は幕を開ける。時系列的には、ボニーの一件の後の出来事。注意して見ているとちゃんとTシャツ短パン姿のヴィンセントがトイレに立つ後ろ姿が映っている。ちなみに、このレストランのトイレとこの後ブッチのアパートメントのトイレで彼が呼んでいる書籍は、『淑女スパイ モデスティ・ブレーズ』。国籍不明の謎の美女スパイが大活躍する60年代を代表するパルプ小説である。

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 酒屋よりレストランを襲うほうが楽だと説明するパンプキン。ハニー・バニーとキスを交わす。「Any of you fucking pricks move, and I'll execute every motherfucking last one of you!」というハニー・バニーの怒声が店内に響き渡り、オープニングタイトルに『ミザルー』。人目をはばからぬロマンス直後の美しいまでの暴力性、そして、淀みなき軽快さ。この流れは文句のつけようがない。このシーンはエピローグでももう一度繰り返されるが、その際のハニー・バニーのセリフがプロローグと違う(エピローグでは「Any of you fucking pricks move, and I'll execute every one of you motherfuckers!」となっている)のは、タランティーノの“意図した矛盾”らしい。

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 筆者は、映画において最も重要な演出はオープニングタイトルの出し方だと考えている。この点、タランティーノ映画は毎回アヴァンタイトルからの流れが秀逸だ。配給会社のクレジット後すぐにタイトルを出したり、始まって間もなくのなんでもないシーンでタイトルを出したりする映画も多いが、そんなときは毎回一旦がっかりし、また新たに気持ちを入れ直さなければならない。しかし、本作では、タランティーノが復活させた60年代サーフ・ロックに誘われるまま、まさに波乗りの感覚でオープニングからエンディングまで一気に駆け抜けることができる。

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 『ミザルー』が『Jungle Boogie』に切り替わり、場面変わってヴィンセントとジュールス。2人の車中の会話は最高にくだらない。しかし、最高にクールである。2人の無駄話は標的のアパートに着いてからも続く続く。なぜフットマッサージの話がこんなにも魅力的なのか。それは分からない。説明できない。でも、最高にファッキンなのである。ちなみに、2人が回収するアタッシュケースは、いわゆる”マクガフィン”である。長くなりそうなので、マクガフィンのうんちくはまたの機会に譲ることにする。

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 ちなみに、ヴィンセントとともにブレットを撃ち殺した際、ジュールスの拳銃“Star Model B”はオープン・ポジションになっているが、『ボニーの一件』で同じシーンが再現されるときにはまだ残弾がある。これも先述のハニー・バニーのセリフ同様、タランティーノの“意図した矛盾”であるらしい。まぁ、矛盾を生じさせてどうなるのか、はっきりとは分からないのだけれど。

<ヴィンセント・ヴェガとマーセルス・ウォレスの妻>
 フットマッサージの話で出てきたボスの妻をヴィンセントが一晩エスコートする。この2人のジャック・ラビット・スリムズでのデートもまた最高にクール。CUTの「最高の恋愛映画ベスト30」だったかなんかそんな特集でも、「最高のデート」という部門の上位にランクインしていた。確かに、ヴィンセントとミアが踊るツイストダンスは、『サタデー・ナイト・フィーバー』のブレイクが終わり落ち目だったジョン・トラボルタを再びブレイクさせたことも十分納得できるほど、最高にセクシーだ。

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 このチャプターでは、ヴィンセントの他にもセクシーな男性キャラクターが登場する。それが、麻薬の売人ランス。この“ランス”という名前は、無名時代のタランティーノがバイトしていたレンタル・ビデオ店“ビデオ・アーカイブス”の経営者ランス・ローソンにちなんでいる。

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 演じるのは、『キリング・ゾーイ』で主人公ゼッドを演じたエリック・ストルツ。髭も髪もボサボサ、ユルユルの部屋着でノソノソと活動するゼッドは、いわゆる“ロスの低層に暮らす住民”を端的に反映したキャラクターだ。このシークエンスでヴィンセントが「俺のマリブに傷をつけたクソ野郎が~…」という話をするが、本作で使われたシボレー・マリブ・コンバーチブルタランティーノの私物であり、しかも、撮影中に盗まれた、しかし、なんと19年後、奇跡的に発見されたという事実は、比較的有名であろう。

 もう一つ、このシークエンスでのトリビアは、ヴィンセントがランスから買い受けた麻薬の名前である。“バーバ”(または“ババ”)というのがその名であるが、これは、イタリアのホラー映画監督マリオ・バーヴァに対する敬意の表れだ。犯罪者たちのオムニバスという本作の発想の原点は、ホラー映画のオムニバスであるマリオ・バーヴァの『ブラック・サバス』なのである。

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 ちなみに、ミア・ウォレスというキャラクターは、タランティーノ作品では極めて珍しい“モデル不在のキャラクター”である。タランティーノが生み出すキャラクターたちは、通常、過去の作品にモデルがいたり、特定の俳優・女優が念頭に置かれていることがほとんど。例えば、本作で言えばパンプキンとハニー・バニーなんかは、完全にティム・ロスとアマンダ・プラマーの二人に演じてもらうつもりで創作されたらしい。したがって、ヴィンセント・ヴェガ役をマイケル・マドセンが断った際、じゃあティム・ロスにヴィンセントをやってもらうか、という話が一度持ち上がったそうだが、いや、やっぱりパンプキンはティム・ロスじゃないとダメだから、彼の配役は動かせない!となったのだとか。

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 そんな中、ミア・ウォレスに関しては100%、タランティーノが一から作り出したキャラクターであり、ユマ・サーマンが演じることになったのは、彼女と食事した際、タランティーノがそのルックスに一目ぼれしたからである。もっとも、『恋におちたら…』というロバート・デ・ニーロ主演のラブ・コメに出演した後ひどく落ち込んでいたユマは、始めこのオファーを断る(どうも、『恋におちたら…』の撮影中、スタッフにヌードをじろじろ見られて傷ついていたため、タランティーノみたいな“何するか分からんやつ”と仕事をするのが怖かったようだ。)。この拒否によってバーサーカー・モードに入ったタランティーノがお得意のマシンガン・トークで口説き落とし、出演に至ったらしい。

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 それと、最近知って驚いたのだが、ジャック・ラビット・スリムズのウェイター役をスティーヴ・ブシェミが演じている。「あのバディ・ホリーはのろまだ」と言われていた彼である。

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<金時計>
 クリストファー・ウォーケン演じるクーンツ大尉の演技にまず引き込まれる。タランティーノ映画の登場人物は、みんな悪いことをしていてもどこかすっとぼけていて(まぁ、クーンツ大尉は悪いことはしてないから、ただのオトボケだが。)、そこが魅力的だ。このシークエンスでヴィンセントはブッチに殺されるが、後のボニーの一件にもエピローグにも登場するヴィンセントが死ぬシーンを先に見せてしまう、というところにタランティーノの才能が光っている。

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 あとは、なんといってもブッチが日本刀を手に取るシーンだろう。カナヅチではない。バットでもない。チェーンソーですらないのである。いやいや、絶対チェーンソーのほうが強いから。でも、そうじゃない。実利を優先するのなら、物語なんて必要ない。タランティーノは、このシーンについて、こう言っている。「どの武器を選ぶかで“ヒーロー像”が決まるんだ。」

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 つまり、彼に言わせれば、バットを持つなら『ウォーキング・トール 怒りの街』の元プロレスラー、ビュフォード。チェーンソーを持つなら『悪魔のいけにえ』の殺人鬼レザーフェイス。そして、日本刀を持つなら『ザ・ヤクザ』の暴力団幹部、田中健というわけだ。

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 ちなみに、ブッチがゼッドから奪うバイクには“グレース”という名前がついているが、タランティーノは“グレース”という名前の女性と実際に付き合っていたことがある(本作制作時に付き合っていたのだったかもしれない。)。公私混同甚だしいようにも思えるが、“神の恵み”をその名に関するバイクでブッチが走り去るラストは、本チャプターがテーマとする(そして同時に作品全体のテーマでもある)“贖罪”に対応した、綺麗なオチにもなっている。

<ボニーの一件>
 このシークエンスは、ミスター・ウルフを演じるハーヴェイ・カイテルのスマートな演技とタランティーノ自身の魅力溢れる演技が全てだ。

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 「俺の家の前に”ニガーの死体預かります”って看板が出てたか?出てないよな?何で俺の家の前に”ニガーの死体預かります”って看板が出てなかったと思う?俺の家じゃ、ニガーの死体は預からねえからだ!!

 (Did you notice a sign out in front of my house that said "Dead Nigger Storage"? You know WHY you didn't see that sign? 'Cause it ain't there, 'cause storing dead niggers ain't my fucking business, that's why!)



 正直、外国映画を観ていて“おかしくて笑う”ということはあまりないのだが、このくだらない台詞をあの剣幕でまくしたてるタランティーノがあまりにも馬鹿馬鹿しくて、いつも吹き出してしまう。ハーヴェイ・カイテルも相変わらず渋い。特に最後に敬意を表したヴィンセントとジュールスに対し「ウィンストンと呼んでくれ。」というシーンは最高にカッコイイ。なんという紳士だろう。

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 ただ難点を1つ挙げるとすると、ミスター・ウルフがジミー宅に到着するときのテロップで「きっかり9分と37秒後」と表示するのは少し寒い演出だと感じる。

<エピローグ>
 プロローグでハニー・バニーが怒号を飛ばしたその続きがこのエピローグ。モンスター・ジョーの車解体屋からマーセルスのいるバーまでの道すがら、朝飯を食べにレストランへと立ち寄ったヴィンセントとジュールスが、パンプキンとハニー・バニーのレストラン強盗に巻き込まれるというシークエンスである。

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 結局、本作の時系列を正しく並べなおすと、まず、≪タイトル・ロール後のエピソード≫(朝一でヴィンセントとジュールスがブレットの部屋にブリーフケースを取りに行く話) ⇒ ≪ボニーの一件≫(ロスの街中でマーヴィンの頭が吹っ飛び、ジミー宅に避難した2人が掃除屋ウィンストンを呼ぶ話) ⇒ ≪アヴァン・タイトル及びエピローグ≫(帰りがけにレストランに立ち寄った2人がパンプキンとハニー・バニーの強盗に遭遇する話) ⇒ ≪ヴィンセント・ベガとマーセルス・ウォレスの妻≫(ヴィンセントがマーセルスの妻ミアとデートする話) ⇒ ≪金時計≫(八百長ボクサーがマーセルスから逃げるが、男色レイプ魔から彼を救ったため見逃される話)、ということになるだろう。改めてタランティーノの構成力には目が回る。

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 やみくもに時間軸を切り刻んだのではない。時系列をバラすことによって、ある種の“哀愁”を感じることもできる。例えば、本エピソードでジュールスは足を洗って世界を放浪する決意を固めるが、もうちょっと待ってくれたら、せめて「金時計」まではギャングを続けていてくれたら、ヴィンセントはおそらく死なずに済んだのである。

 それにしても、この2人はやっぱり最高にカッコいい。放浪中のジュールスがヴィンセント死亡を聞きつけ、ヴィンセントの兄であるヴィックとともに復讐の旅路を往くっていうスピンオフやってくれないかなぁ。一応、タランティーノは、彼の頭の中だけで『続 ヴィンセントとジュールスの冒険』というスピンオフを構想しそうにはなっていたらしい。でも、それはあくまでもタランティーノの頭の中だけの未遂企画であって、彼は本作の続編やスピンオフを作る気はないようだ。たぶん、『キル・ビル』以外で続編はやらないんだろうな。

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 さて、パンプキンに“説法”をぶちかまし返り討ちにしたジュールス。ヴィンセントがずらかった方がいい旨提案し、2人揃って退場していく。ここもシビれるくらいカッコいい。Tシャツ、短パンというとてもギャングには見えない“ダサい”出で立ちの彼らは、出口で左右一度ずつ店内に一瞥をくれ、拳銃を短パンにしまい颯爽と、しかし、どこかしらノソノソと店を後にする。バカバカしく、滑稽で、でもめちゃくちゃにカッコいい。なぜだかは説明できない。とにかく、分かる奴だけ、この興奮に浸れば良いのである。

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点数:100/100点
 変態オタク監督クエンティン・タランティーノの才能が爆発した紛うこと無き“傑作エンターテイメント”。身につまされる恋の物語ではなく、壮大な歴史スペクタクルでもなく、手に汗握るアクション大作でもない。しかし、カッコいい。おもしろい。クールであり、ファッキンである。それが、名も無き映画鑑賞者Mr. Alan Smitheeが胸を張って100点だと公言する傑作『パルプ・フィクション』なのである。

(鑑賞日:A long time ago...)










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3 Comments

ケント  

パルプ・フィクション僕も好きです\(^o^)/
ジュールスはホームレスになってるシーンってあったの?

2012/10/28 (Sun) 09:54 | EDIT | REPLY |   

Mr.Alan Smithee  

Re:

あ、ジュールスがホームレスになるのは、彼の発言だけで実際にシーンがある訳ではありません。願望を込めた僕の想像です♪もしかしたら、ヴィンセントの死を切っ掛けにギャング家業を続けるかもしれませんね。

2012/10/31 (Wed) 20:39 | EDIT | REPLY |   

-  

なるほど、セリフにありましたね。ありがとうございました。
私もパルプ・フィクションが大好きです。

2012/11/02 (Fri) 19:57 | EDIT | REPLY |   

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