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2017

[No.419] 26世紀青年(Idiocracy) <74点>

CATEGORYコメディ




キャッチコピー:『世界が終ろうとしています。“ばかたち”によって―。』

 世の中には3種類の人間がいる。
 数を数えられる者と数えられない者だ。

三文あらすじ:2005年、アメリカ軍が極秘裏に行う人間冬眠実験の被験者に選ばれた平均的な能力の軍人ジョー・バウアーズ(ルーク・ウィルソン)と売春婦のリタ(マーヤ・ルドルフ)。1年間の冬眠計画だったはずがひょんなことから忘れ去られ、なんと500年後に目覚めてしまった2人。彼らは、人類の知能指数が低下し荒廃した未来社会で"世界一の天才"として祭り上げられるのだが・・・


~*~*~*~


 アメリカでは2006年9月1日に公開されたSFコメディの秀作。雑誌「映画秘宝」のアート・ディレクターであり悪魔主義者でもある映画ライターの高橋ヨシキ氏は、本作を絶賛し、同時に日本での劇場未公開を憂いていた。

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 筆者は高橋氏のファンであり、彼の出版した書籍「悪魔が憐れむ歌」もしっかり購入して熟読しているのだが(最近その続編「続・悪魔が憐れむ歌」も購入した。)、本作に関しては、まぁ確かにちゃんと作られたコメディだなぁ、という程度の感想であった。おもしろくなかったわけではもちろんなく、ただ筆者の琴線にガチはまりしなかったというだけのことである。とはいえ、これくらいのクオリティの作品が劇場未公開というのは、やっぱり日本の映画水準の低さを物語っているようで、映画ファンとしてはそこはかとなく悲しい。

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 ほんでまた、DVD化されたときの邦題がひどい。『26世紀青年』って…。もうこれはいくらなんでも映画を舐めていると言わざるを得ないだろう。確かに、なんでもかんでも原題通りにすれば良いというわけじゃない。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』あたりから“原題そのままカタカナ表記”の流れが始まって、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でそのムーブメントが決定的になったように記憶しているが、『スターウォーズ』のプリクエルなんかは、エピソード1で『ファントム・メナス』とした副題を次作でしれっと『クローンの攻撃』にした。まったく、変にイキッたりせず、『幻影の脅威』とか、『見えざる脅威』とかにしておけば良かったものを…。

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 他方で、原題を越えるナイス邦題というのも、たまに出現する。例えば、主人公の名前そのままの『HITCH』をオシャレに改変した『最後の恋の始め方』だったり、物語の舞台であるレストランの名前そのままの『The Spitfire Grill』を叙情豊かに変更した『この森で、天使はバスを降りた』だったり。

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 これまたその一方、最近増えているのが、詐欺カタカナ邦題だ。例えば『ノーカントリー』だったり、例えば『ゼロ・グラビティ』だったり。この手の邦題は本当にたちが悪い。というのも、カタカナ表記なだけに、あたかも原題通りであるかのような印象を観客に与えてしまうからである。加えて、上述の2作が良くないのは、原題(ひいては作品自体)の意図をも台無しにしてしまうから。前者『ノーカントリー』の原題は『No Country For Old Men』なのであって、本来は、老いた者たちの居場所はもう無いというニュアンスである。また、後者の『ゼロ・グラビティ』にしても原題は単に『Gravity』。勝手に無重力だけを強調してしまうと、"過去のトラウマ=重力"と向き合うというサンドラ・ブロックの決断が台無しになってしまう。

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 では、本作『26世紀青年』はどうかと言うと、これは上述した『ノーカントリー』や『ゼロ・グラビティ』ほどはひどくない。我が国の大人気コミックにして3部作での映画化も記憶に新しい『20世紀少年』をパロっているのだから、原題そのままなのかしら?なんていぶかしむバカはいないだろう。とはいえ、原題や作品の意図をしっかり変換できているかと言えば、決してそんなことはない。本作の原題は『IDIOCRACY』といって、これはつまり"Idiot(バカ)""Democracy(民主主義)"を掛け合わせた造語である。市井の民衆たちが知恵を寄せ集めてより良い未来を目指していくのが民主主義ならば、バカな未来人たちが精一杯頑張ってさらにその先の未来を良くしていく、という本作に『馬鹿主義』なるタイトルを付けた製作者の意図も理解できよう。

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 ところが、邦題の『26世紀青年』からは、そんな意図など微塵も感じられない。まぁ、もちろん上述した"本作の意図"は、筆者が勝手にそう解釈しただけなのだし、本作が有する"温故知新"のようなテーマは、確かに『20世紀少年』にも共通の要素ではあるのだが。とはいえ、個人的にはやはりそのまま『イディオクラシー』で良かったのではないかと思ってしまう。あるいは、もう一歩踏み込んで『25世紀青年』とか。数え間違えてるやん!タイトルからしてバカやん!みたいなさ。その方がまだ盛り上がった気もするのだが。

点数:74/100点
 内容についてほとんど述べなかったが、本当に何の心配もせず観賞できるハイ・クオリティなSFコメディ。まぁ、胸踊るアクションもほぼ無ければ、恐れおののくべきモンスターも登場しない作品なので、筆者としてはそこまでテンションが上がらなかった。個人的には、今月末に控えた『キング・コング』公開までのあと11日を指折り数えて待ち望んでいるところである。あれ、あと10日だったっけかな?

(鑑賞日[初]:2017.3.11)










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Tag:ヘンテコ邦題

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