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2017

[No.421] キング・コング ~髑髏島の巨神~(Kong:Skull Island) <85点>

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キャッチコピー:『この島で、人類は最弱』

 神〈コング〉に抗う覚悟はあるか。

三文あらすじ:1973年、アメリカがベトナム戦争からの撤退を宣言した日、地球観測衛星ランドサットが発見した未知の島"髑髏島"への地質調査の件でウィリス上院議員(リチャード・ジェンキンス)を説き伏せた特務研究機関MONARCH(モナーク)のウィリアム・"ビル"・ランダ(ジョン・グッドマン)は、護衛の部隊を派遣するよう要請し、ベトナムから帰還予定だったプレストン・パッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)の部隊が同行することになる。島の案内役として元特殊空挺部隊隊員のジェームズ・コンラッド(トム・ヒドルストン)、及び戦場カメラマンのメイソン・ウィーバー( ブリー・ラーソン)を雇い入れ、髑髏島に乗り込む一行。彼らはそこで人智を越えた神の巨人“キング・コング”を目の当たりにする・・・


~*~*~*~


 2017年のモンスター・パニックシーン開幕を高らかに宣言する期待のブロック・バスター。既に周知の通り、本作を以て本格的に動き出した"モンスターバース"(分かりやすく言えば"ゴジラ・シネマティック・ユニバース"ということ。)の第二弾作品でもある(第一弾は2014年公開の『GODZILLA』、第三弾は2019年公開予定の『Godzilla:King of Monsters』、第四弾は2020年公開予定の『Godzilla vs. Kong』。)。本作のエンドロール後には、ちゃんと次作の前ふりとしてゴジラとキングギドラの壁画(あとモスラとラドンも映っていたらしいが、筆者は分からなかった。)が出てくるから、本編が終わったからといって軽率に席を立たず、しっかり確認しておきたいところだ。

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 さて、これまで何作もの『キング・コング』が制作されてきたが、本作が特異なのは、先述の通り"モンスターバース"の一環である、という点。つまり、本作は、これまでのキング・コング作品のような"恋愛映画"ではなく、徹頭徹尾天元を往くモンスター・パニック映画であり、怪獣映画なのである。本当に最高のコンセプトだなぁ。神たる巨大猿はもちろんのこと、巨大蜘蛛、巨大水牛、巨大ナナフシ、巨大蛸、そして、巨大トカゲなどなど、巨大モンスター好きの琴線を万力で引きちぎらんばかりの魅力的なモンスターたちが、本作にはひしめき合っている。

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 そんな本作のコンセプトを他作品に例えるなら、『ONE PIECE』の劇場版『STRONG WORLD』ではないだろうか。人智の及ばぬ秘境でのガチンコ・モンスター・バトルロワイアルは、主人公一味がただの一般人(とただの軍人)である本作において、よりシンプルかつ高密度に強調されている。「この島で、人類は最弱」、あるいは「人類よ、立ち向かうな」という日本版のキャッチコピーも、その辺を端的に表現できており、大変好ましい。また、いかにもな日本版ポスターも素晴らしい。我が家のクイーン・コングの許可さえ下りれば、ぜひリビングに飾りたい珠玉の完成度だ。

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 ストーリーも極めてシンプルで好感度大。傲慢でか弱き人類が手付かずの秘境を訪れ、無垢で雄々しきモンスターに追い回される。言ってみれば『ジュラシック・パーク』シリーズや『アナコンダ』系の伝統的プロットだ。ストーリー上の一工夫として第二次大戦中に行方不明になった兵士のドラマを添えたところも良いだろう。決してモンスターの活躍を阻害せず、それでいて髑髏島の情報を極めて自然にお伝えできる。『キャスト・アウェイ』的なラストも泣ける(まぁ、あのラストが厳密な意味で『キャスト・アウェイ』的だったかは、別途議論の余地があるだろうが。)。

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 そして、やっぱりなんと言ってもモンスターのビジュアルである。正直、巨大トカゲ"スカル・クローラー"のデザインは、やや月並みだ。コングとのバトル・シーンも、たいていは2005年版の『キング・コング』で見たような感じ。しかし、モンスター・パニックにおいて最も重要な人類とモンスターとの初邂逅。本作で言えば、主人公を含む調査隊とコングが初めて出会うシーンだが、ここはシビれる。

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 モンスター・パニックの本質は、非日常による日常の侵食だ。したがって、人類がモンスターを初めて目にする瞬間、それは、我々一般人の日常、すなわち"常識"が音をたてて崩れさる瞬間でなければならない。この点、例えば『シン・ゴジラ』なんかだと、その瞬間が、ゴジラを肉眼で見たり、テレビで見たり、あるいはネットで知ったりした官僚や市井の人々の様々なリアクションで以て表現されていた。

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 一方の本作は、一点凝縮。髑髏島に乗り込んだ一パーティが、神の化身たるコングと正面から相対する。ポイントは、隊員のひとりが呟く、

 「Is that a monkey?」

というフレーズ。我々の日常が崩れさる瞬間の第一声というのは、きっと万国共通で「え…?」という疑問詞なんだと思う。日常と非日常の境界。この世と異世界の間(はざま)。そんな局面で人は、否定と肯定と、放棄と享受と、抗いと諦めと、あっちゃこっちゃと刹那の内に考えたあげく、「え?」と呟くのである。

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 初邂逅時のシチュエーションがまた良い。人類側はヘリに乗っていて、コングの背後には夕焼けが広がっている。ここで隊員は、明確にコングを目撃する。赤々と地平線を焦がす夕日に照らされて、"それ"は確かにそこにいる。しかし、あり得ない。あり得ない大きさなのである。突如として"日常"を奪われた哀れな彼は、"こちら側"に戻り得るだろうか。可能かもしれない。彼がコングを見ているのはヘリの上からなのだし、夕焼けの視覚効果である種の錯視を起こしているのかもしれない。でも、彼は既に知っている。"それ"は確かにそこにいる、と。しかし、認められない。そんな大きさの生物がこの世に存在するなんて。煮えくり返った彼の脳細胞は無駄と知りながら、唇へ、舌へ、信号を送る。まだ自分が"日常"の住人でありたい、そんな無意味な希望を託して。

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「Is that a monkey?」


と、まぁこんな感じなんじゃないかしら。こんなもんは、モンスター・パニックにおけるモンスターの初登場シーンとして、ほぼほぼ100点の出来であろう。

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 あとはまぁ、キャスト面なんかも見どころのひとつ。先日、最新作『ラグナロク』の予告編が公開されるや否や、ディズニー映画史上最高視聴回数を叩き出した『マイティ・ソー』シリーズのロキでお馴染み、トム・ヒドルストンは相変わらずカッコいいし、2015年の『ルーム』でアカデミー主演女優賞をかっさらった実力派女優ブリー・ラーソンも強くてセクシー。

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 中でも最高なのは、やっぱり我らがサミュエル・L・ジャクソンだ。彼が演じるパッカード大佐の本質は、狂気。ベトナムという戦地に、あるいは、戦争という呪縛に囚われてしまった"狂人"であり、言ってみれば『ハート・ロッカー』のウィリアム・ジェームズ一等軍曹みたいなキャラクターである。カッコいい、強そう、狂気じみている、でもどこか愛嬌もある。そんなキャラを演じさせたら、サミュエルの右に出る者はいない。今後のシリーズにも、ぜひコング退治に取りつかれた執念の男(老人)として、そう、『ゴジラvsビオランテ』の結城少佐みたいな感じで登場してくれることを筆者は切に願っている。

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点数:85/100点
 純度100%で怪獣の魅力のみを堪能できるモンスターパニック好き大歓喜の超大作。そういえば、今日から『グレート・ウォール』も公開されているし、なにやら今年度のスタートはモンスターパニックづいている感じだ。ってゆうか、まずは1週間も放置した『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観なければ。なんとも忙しい春である。

(鑑賞日[初]:2017.3.25)
(劇場:TOHOシネマズ梅田)










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Tag:劇場鑑賞作品 モンスターバース

2 Comments

yaman  

人類よ,我が家のクイーン・コングには立ち向かうな!

2017/04/15 (Sat) 00:08 | EDIT | REPLY |   

Mr.Alan Smithee  

Re: タイトルなし

結果として、『キング・コング』に関してはクイーン・コングの承諾を得られませんでした。
しかしながら、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.2』のポスターは許可されています。

2017/08/06 (Sun) 05:13 | EDIT | REPLY |   

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