[No.47] GODZILLA(GODZILLA) <82点>





キャッチコピー:『人類に打つ手は無い』

 イグアナにモンスターパニックの真髄を見た!

三文あらすじ:南太平洋を航行中の日本漁船が正体不明の巨大な”何か”に襲われ沈没する。奇跡的に救助された乗組員は、うわごとのように「ゴジラ(Godzilla)…」と繰り返すばかり。放射能による生物への影響を研究するニック・タトプロス(マシュー・ブロデリック)は、アメリカ軍に徴集され、漁船襲撃犯の正体について、フランスの核実験によって突然変異を起こした新種の生物であるとの推測を打ち立てるが、そんな中、大怪獣ゴジラは遂に大都会ニューヨークに上陸する・・・


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 『インデペンデンス・デイ』で人類とエイリアンとの熱い死闘、そして、大統領のあの熱い演説を描いた男気監督ローランド・エメリッヒが、『ID4』の次に監督した本作。当時はまだ日本のコンテンツのハリウッドリメイクがめずらしく、日本でも大いに盛り上がった。しかし、蓋を開けてみると、そこにはあの雄々しいゴジラの姿はなく、魚をむさぼりながらマンハッタンをちょろちょろ逃げ回る巨大イグアナの姿が。

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 これね。このナヨナヨした大怪獣の立ち姿を前にした日本のゴジラファンは怪獣のように怒りの雄叫びを上げ、アメリカのゴジラファンも激怒した。もちろん筆者もゴジラは大好きだ。筆者が一番好きなのは『ゴジラVSビオランテ』で、公開当時まだ子供だった筆者は、ガチャガチャでビオランテのソフビ人形を当て歓喜したのを覚えている。また、”ゴジラ死す”とのキャッチコピーが衝撃的だった『ゴジラVSデストロイア』公開時には、劇場に足を運び、メルトダウンしていくゴジラの最後の雄姿に涙したものだ。

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 したがって、往年のゴジラファンが本作の巨大イグアナに憤るのは分かる。しかし、ちょっと待ってくれ。本作のゴジラは”ハリウッド版”だぞ?そもそも、日本版ゴジラのあの直立不動・勇猛果敢なフォルムは、建築物の高さが押し並べて低い日本の町並みでこそ映える。マンハッタンの超高層ビル郡の中にゴジラが立っている様を想像してみて欲しい。ゴジラは相対的に随分小さくなり、いくらか滑稽に見えてしまうはずだ。

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 さらに、アメリカには日本のような”怪獣文化”がない。アメリカにおいて人々を襲う人外の生命体は、すべからく”モンスター”か”エイリアン”である。一方の日本には、ゴジラを筆頭に、ガメラ、ベムラー、ギララなど数多の”怪獣”がひしめき合っている。"怪獣”と一口に言っても様々だが、その特徴の一つには、出生経緯が明らかでないということが挙げられるだろう。例えば、ガメラは理屈抜きで始めからガメラとして存在している。ゴジラに関しては、一応放射能の影響でゴジラになったという理由があるが、そもそもゴジラの前身は”ゴジラザウルス”というよく分からない恐竜だから、やはりその出生は謎に包まれていると言ってよい。

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 これに対して”モンスター”は、その出生が理屈で説明できるという点に特徴がある。有名なモンスター、フランケンシュタインの怪物は、科学によって人工的に生み出された。また、巨大鮫、巨大ワニ、巨大蜘蛛などのモンスターは、だいたい化学薬品か科学実験によって巨大化・凶暴化するか、もしくはそもそも人を食べ得る生き物で特に巨大な個体が登場する。そして、彼らには通常兵器が効く。フランケンシュタインの怪物は人間サイズだから、ミサイルを撃ち込めば木っ端みじんだろうし、巨大鮫ジョーズはタンクの爆発で撃退できた。

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 このような日米の文化の違いは、本作制作前から既に分かっていたことであり、今更「ゴジラがただのハ虫類に成り下がっている!」などと目くじらを立てるのは、よくよく考えればお門違いなのである。もっとも、「それならリメイクなどしてくれるな!」という意見は傾聴に値すると言えるが、往年のゴジラファンも、まぁいったん怒りと固定観念を捨てて、本作を普通のモンスターパニックとして鑑賞してもらいたい。そういう観点で本作を観るなら、その出来は本当に素晴らしいものである。まず、冒頭では、漁船が巨大な”何か”に襲われる。その後も太平洋の島で巨大な”何か”の足跡が発見されたり、小型漁船が三隻一辺に沈められたりといった”モンスター襲来の兆候”が描かれるのだが、ここがワクワクする!モンスターパニック映画の醍醐味は、“モンスターによる被害を小出しにしていく導入部”にあると言っても過言ではない。

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 そして、ゴジラがニューヨークに上陸してからは、出し惜しみなくゴジラを暴れさせてくれる。まぁ、やっていることは、『クローバーフィールド』を“神の視点”から描きなおした(もちろん、本当はその逆のコンセプトで『クローバーフィールド』が作られているのだが。)ようなものだ。モンスターパニック映画において観客が求めるものは、巨大モンスターという”非現実”が、人々の住む街という”現実”に侵入してくる様である。そして、その意味で、超高層ビルが密集しているマンハッタン島は、巨大イグアナを暴れさせる舞台として申し分ない。ゴジラの身長を軽く超えるビル郡を有する街は、平面的にも立体的にもゴジラを包んでいて、まさにゴジラがそこにいるかのような臨場感。ゴジラを描き出すCGも素晴らしい出来だ。中でも圧巻なのは、軍の戦闘ヘリとゴジラのチェイスシーン。ヘリのコクピットからの目線で撮ることで、巨大なゴジラも通りを曲がればすぐ見失い得るというマンハッタンのダンジョン感が活きている。本作公開の前年に公開された『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』では、T-REXがロサンゼルスで大暴れする展開があり、これが”『GODZILLA』潰し”と言われていたが、”街闊歩シーン対決”では、本作の圧勝であろう。

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 筆者が思う本作の一番ダメなところは、なんと言ってもマリア・ピティロ演じるオードリー・ティモンズのキャラクターである。この女がもう一から十までイライラさせる!

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 学生時代の恋人ニックのプロポーズを蹴り、キャスターになることを目指してニューヨークへ来るが、何年も下働き。ゴジラ騒動が起こりテレビにニックの姿を見つけるや否や、特ダネ欲しさにニックとの接触を図る。別れてから8年も経ってるのに。しかも、ニックに「まだ私のこと、怒ってる?」と聞き、彼が殊勝にも「少しはね。」と答えると、何故かへそを曲げる始末。いやいや、お前自分の立場分かってんのか?さらに、優しいニックがお茶に誘うと、軍が設営した彼のテントに上がり込み、彼が席をはずした隙に極秘テープを盗み出す。既に犯罪者である。

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 特ダネゲットに有頂天のオードリーは、早速そのテープをニュースで無断放映、ニックは責任を取って軍の役職を解かれることに。街を去ろうとするニックの下へ現れたオードリーは、謝るどころか自己正当化に必死。「思ったより現実は厳しくて、どうしても特ダネが欲しかったの…。」 …ふざけるなぁ!さすがのニックもこれには怒り、嫌みを一つ吐いてその場を立ち去る。いや、ニック、お前ももっと怒れ。お前の甘さにもこっちはイライラしてるぞ!ニックに怒られたオードリーは、親友の家に上がり込み、メソメソ泣き出す始末。しかも、慰めに来た親友の夫に再び自己正当化を始める。「いつからこんな私になってしまったのかしら…。」 なんじゃ?その”今の私は本当の私じゃない”的なニュアンスは!

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 ニックの名誉を回復するため、彼が主張していたゴジラの巣探しに行こうと建設的な意見を言う親友夫。「でも、私何もかもメチャクチャにしちゃうから…シクシク」 むむ…怪しいぞ。オードリーはそんな簡単に自分のダメなところを認める女ではない。「確かに、君は全部メチャクチャにする。」と親友夫。この瞬間、”信じらんない!”という表情で彼を睨み付けるオードリー!そらみたことか!!やっぱり全然反省してない!

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 ふー…。この典型的に悪い意味で女性らしいオードリーの存在によって、本来ターゲットにしているはずの男性層が本作に対して悪い心証を抱いている可能性は、大いにあると思われる。あとまぁ、ギャグシーンがどれも寒いという欠点もあるのだが、怒りすぎて長くなってしまったので、ここでは省略する。

点数:82/100点
 『インデペンデンス・デイ』では、壮大なスペクタクルと熱い男のドラマで観客を魅了したローランド・エメリッヒ。何故本作では「自称”私頑張ってるでしょ?”系女子」の物語にかなりの尺を裂いてしまったのか。断っておくが、筆者は別に女性のドラマ自体が嫌いな訳ではない。逃避行の中で粋な女の心意気を描き出した『テルマ&ルイーズ』などは筆者のオールタイムベストだ。しかし、オードリーみたいな女性の葛藤と成長は『セックス・アンド・ザ・シティ』や『プラダを着た悪魔』でやるべきであって、本作のような巨大モンスター好きのロマンが詰まった作品でやることではない。

(鑑賞日:2012.2.26)

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