[No.429] 地獄の変異(The Cave) <58点>





キャッチコピー
・英語版:Beneath heaven lies hell, beneath hell lies…
・日本語版:地球の底は、底知れない…

 退屈と戦慄を、心の底から。

三文あらすじ:ルーマニア・カルパチア山脈の奥深くで、永きに亘り封印されていた前人未到の巨大洞窟が発見される。そこは、かつてテンプル騎士団を滅ぼした有翼の悪魔が住まうと言われる伝説の洞窟。地質学者のニコライ博士(マーセル・ユーレス)の元に招集されたケーブ・ダイビングの精鋭たちは、地の底の洞窟(The Cave)で未だかつてない恐怖に遭遇する・・・

※以下、ネタバレあり。


~*~*~*~


 以前、何かのDVDの予告編集に本作のものが入っていて、「なんだこのバカバカしい予告編は、いつか観なければ」と思っていた作品。最近加入したNETFLIXにあったので、さっそく鑑賞してみた。

cave5.jpg


 まぁ、要はB級モンスターパニックである。洞窟探検もの、かつ、突然変異したミュータントが地底にいましたものでは、かつて『ディセント』という傑作があったが、それに比べればずいぶんとショボい・・・というか、普通のモンスターパニック。逆に言えば、しっかりとお約束を踏襲した安心安定のモンスターパニックとも言えるわけで、その筋の作品が好きな人なら見て損することは無いだろう。

cave1.jpg


 良かったところは、何といってもロケーションである。洞窟映画の肝は、当然洞窟の洞窟感にあるのだが、本作で登場する洞窟は中々素晴らしいスケール。モンスターに関してはけっこう終盤まで出し惜しみされるし、そのデザインも特に目を引くものではないのだが、洞窟に関してはまさに絶景といった趣。しかも、岩と鍾乳石でできたいわゆる普通の洞窟エリアの他にも、奥へ進んでいくと氷に覆われたエリアや、逆に炎に包まれたエリアなどがあり、そのどれもが全く安っぽさを感じさせない。洞窟映画を撮るから一生懸命ロケハンしたというよりは、むしろすごく良い洞窟を見つけたからその素晴らしさを世に伝えるため映画を作ったと言われても、なるほどそうですか、と納得しかねないくらいだ。

cave3.jpg


 ってゆーか、本当にそうなんじゃないのか?モンパニとして本作を観るなら、陳腐な描写のオンパレード。もちろん、先述の通り、それらの大半は本作を安心して観る上での最良の要素でもあるのだが、筆者が心の底から退屈に感じたのは、メンバーの一人が寄生されるという展開だ。もういい加減、生半可な覚悟で『遊星からの物体X』をなぞるのはやめないか。モンスターパニック好きはモンスターが見たいんだ。『遊星~』のようにがっつりモンスターを描いた上で"寄生サスペンス"をやるならまだしも、モンスターを出し惜しみしている間の“つなぎ”として使い古されたサスペンスギミックを提示されると、お前それはただ単に「予算はないけど、それをカバーするアイデアもないです・・・」って言ってるだけやぞ!と怒鳴り散らしたくなる。

cave2.jpg


 一応、本作はそのオチで、主人公と共に生還したヒロインも実は寄生されていた・・・という(贔屓目に言えば)驚きのどんでん返しを入れてきているのだが、それも「今さらなぁ・・・」って感じ。彼女がモンスターに引っかかれた(あるいは、噛みつかれた)のがどのシーンだったのかを推測できないので、なんだか後出しジャンケンにしか思えない。強いて前フリと言えるのは、主人公の兄が寄生されていた、というその事実だけ。一人寄生されていたというその事実だけでは、もう一人被寄生者が存在することの厳密な前フリにはなり得ないし、何より、これもまた“兄を蔑ろにする映画”の一本だったのか・・・という落胆を筆者は隠せない。

cave4.jpg


 最後に、本作の邦題について。原題『The Cave』に対して『地獄の変異』っていうのは全く以てヘンテコ邦題だし、川口浩探検隊のパロディ風の予告編と併せて考えれば、オフザケ邦題と言ってもいいようにも思える。しかし、少し邪推を広げてみれば、実は中々良いタイトルなのかもしれない。つまり、本作の英語版キャッチコピーは「Beneath heaven lies hell, beneath hell lies・・・」というもので、訳すなら「天国の下には地獄がある、地獄の下には・・・」という感じになるだろう。「・・・」の部分は、地獄よりももっと恐ろしい場所、すなわち、本作の惨劇の舞台たる洞窟を指していると考えるのが妥当。とすれば、地獄はいったいどこだろう。一般的に天国は我々の頭上にある。洞窟は我々の足元にある。つまり、天国の下にあって洞窟の上にある地獄とは、我々が暮らすこの地上だ。そして、本作のオチでは、洞窟内で寄生され、変異しかけのヒロインが地上に解き放たれる。既に“地獄”である地上に“変異”したモンスターがやってきた、と捉えてもいいだろうし、“変異”したモンスターがやってきて地上は“地獄”と化す、と捉えるのも楽しい。そう考えれば、一見ふざけた邦題もある程度は酌量の余地があるのではないだろうか。

点数:58/100点
 モンスターパニックとして悪い作品では決してない。しかし、決して傑作とは言えないのもまた事実。特にダイバーのみなさんは、またしてもトラウマ作品が出現したという事実に心の底から戦慄すべきであろう。

(鑑賞日[初]:2017.8.8)

地獄の変異 [Blu-ray]

新品価格
¥1,391から
(2017/8/17 18:43時点)


洞窟探検入門 (文庫クセジュ)

新品価格
¥1,027から
(2017/8/17 18:44時点)


関連記事
スポンサーサイト

Comment

Leave a Reply





管理者にだけ表示を許可する

Trackback