[No.430] ワンダーウーマン(Wonder Woman) <68点>

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キャッチコピー
・英語版:Wonder
・日本語版:美しく、ぶっ飛ばす。

 あ~、女に生まれりゃ…良かった!

三文あらすじ:女性だけが住む島“セミッシラ”で育ったアマゾン族の王女ダイアナ(ガル・ガドット)は、幼い頃から戦士になることを夢見ていた。そんなある日、彼女は、偶然“外の世界”から迷い込み海岸で墜落事故を起こしたアメリカ陸軍航空部隊長スティーブ・トレバー(クリス・パイン)を救出する。トレバーから“外の世界”の悲惨さを教えられ、戦いの神“アレス”の関与を確信したダイアナは、戦争を終わらせるため、トレバーとともにロンドンへ向かうのだが・・・


~*~*~*~


 アメリカでは6月頭から、日本では先週末から公開されている本作『ワンダーウーマン』。ご存知の通り、何かと酷評されがちな"DCエクステンデッド・ユニバース"の最新作であるが、意外にも、現在のところこれが"2017年を代表する一本"と言えるくらい爆発的にヒットしている。なんとあの傑作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOL.2』が抜かれてしまったのだから、心底ワンダーである。

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 この世界的な盛り上がりを受けて、日本でもバシバシ宣伝が打たれているわけだが、まぁこれはこれで悪くない感じ。ワンダーウーマンと乃木坂さんにはイメージギャップが無いではないが、それでも、例えば滝沢カレンとか、例えばブルゾンちえみとか、そんな安直な"おふざけ"に逃げず、真面目に"女"を打ち出してみせた点は、好感に値する。『ホムカミ』の宣伝とは大違いだ。

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 さて、個人的に本作で良かったところは、次の一点に尽きる。すなわち、ガル・ガドットが可愛い。もう本当にこれだけ。イスラエル女性には美人が多いと聞いてはいたし、実際、彼女が初登場した前作『バットマン vs スーパーマン』でも、作品自体が滅多うちの酷評を受ける中、彼女だけ絶賛されていたのだが、それでも。およそ女性に必要とされる全て、つまり、強さ可愛らしさをここまで完璧に体現できるとは、本当にワンダーな女優である。

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 ただ、その一点を除けば、個人的に本作は駄作だと思った。まぁ、筆者が思う本作のダメなところは、基本的にことごとく前作『バットマン vs スーパーマン』のダメなところと酷似しているので、もしかしたら、それは作品の出来不出来とはまた違う次元で語られるべき"DCの味"なのかもしれないが。

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 まずは、リアリティ・ラインのあやふやさが、個人的には気にくわなかった。端的に言えば、ワンダーウーマンという非現実的な超人を現実世界に落とし込みきれていない。エイリアンであるスーパーマンを抽象的・概念的な存在としての"神"として扱ったこれまでのシリーズはまだ良かったと思う。しかし、ワンダーウーマンはマジの神(デミ・ゴッド)だ。そんな彼女が、人間の人間臭さが結晶したと言ってもいい"戦争"に参加するのだから、両者を違和感なく融合されるには、それはもう尋常ならざる緻密で精密な調整が必要なわけである。

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 この点、同じように超人を戦争に参加させたマーベルの『キャプテン・アメリカ』は、極めて上手かった。史実としての戦争の中でも、キャプテンはきちんと実在感を持っていたのである。一方のワンダーウーマンは、まるでチグハグ。ここがこーで、そこがそーで、と細かく解説はできないんだけれど、やっぱり史実としての戦争に具体的存在としての神を放り込んだのはマズかったんじゃないかな。

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 戦神アレスが全ての元凶だと言われても、これは実際にあった戦争なんだから、我々は既に知っている。違うよ、人が人を殺したんだよ。もしこのお話でアレスを倒せても、その後の戦争がまた山のようにあるんだよ。だから、そんな"楽しげ"なギミックで茶化さないでくれよ…。"不謹慎"なんて言葉は口が避けても使いたくないが、それでも、終盤に至るまで本作のストーリーを引っ張る"打倒アレス"の原理は、現実を生きる我々にとってあまりにも滑稽だ。

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 で、クライマックスでは、当然のように"元凶はアレスじゃない。人が人を殺すんだ。"という主張が展開されるのだが、前述の通り、それは我々が既に思っていたこと。しかも、だからといって"うんうん、そうだね、よかったよかった。"と安心する類(たぐい)のお約束じゃない。"え、だから言ってたやん!"という感じの怒りすら湧いてきそうなオチである。

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 アレスが提起する"愚かな人間など救うに値せぬ!"という主張も、この手の作品ではもう耳にタコな陳腐さだし、これに対してダイアナが導きだした「私は…"愛"を信じる!」という解答も、え…いや…女子~…って感じの退屈さ。まぁ、一応本作のテーマは、"MAN[男]"を知らない女の子がすったもんだの挙げ句に世界と自分と、そして、"MAN(KIND)[人間]"の真の姿を知り成長する、ということだろうから、ある程度の未熟さ、稚拙さは織り込みずみなんだろうけど、それでも、やっぱりマーベルと比較すると分かりづらく、上手くないんじゃないかなぁ、なんてワンダーしてしまう。

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 その他、細かな点にも不満はいっぱいある。ダイアナたちが住んでいる神が作った島は、あんな霧のみのカモフラージュでよく今まで見つからんかったな?!とか。たぶんその当時の技術では容易に到達できない海域にあるという設定なんだろうけど、本作の描写ではロンドンから小舟で一晩の位置にあるとしか思えない。

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 そもそも、ダイアナのお母さんが言っていた「一度この島を出たらもう二度と戻っては来られないのよ…」も意味分からんし(一晩で戻れるやん。)、おそらく『ローグ・ワン』のローグ中隊を意識したであろう主人公チームも魅力不足だし(悪くはなかったけど。)、クリス・パインとのセックスも完全には納得できないし(嫉妬してるだけかもしれないけれど。)、アレスがなんのためにダイアナたちを前線に送る手助けをしたのかもよく分からないし(人間の愚かさを知らしめるために前線行きは必須かしら?)、気が狂うほどの良曲『ワンダーウーマンのテーマ』はもっっっと仰々しく使って欲しかったし(ダイアナが塹壕の梯子を登って出てくるとこで流せばよかったのに…)、いい加減マーベルを見習ってクライマックス・バトルは白昼堂々やろうぜ!という不満も隠せないし(何やってるか分からん!)、『スーサイド・スクワッド』から引き続き"ポーズ"がダサいのよ…という落胆もある(ダイアナ覚醒の瞬間とか、アレスがダイアナに向かって飛んでいくシーンとか。)。

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 そんなこんなで、筆者としては、本作が『ガーディアンズ2』を抜いて今年2番目だか3番目だかの特大ヒットになった理由が、いまいち分からないのである。きっとハリウッドセレブたちが「私は女としてこの作品を支持するわ!」って、インスタなんとかでやったんじゃないかな。本作の監督パティ・ジェンキンスが女性だということも相まって、そういうムーブメントが生まれたんだろう。そういや、現時点で興業収入1位の『美女と野獣』もいわば"女の子映画"だし、今年はウーマン・パワーが盛り上がっているみたいだ。したがって、結局のところ、筆者同様この盛り上がりに乗り損ねた男性諸君は、やみくもな批判を控え、あ~…女に生まれりゃ良かったなぁ…なんて羨ましがるしかないのである。

点数:68/100点
 ……この秋までは。今年の秋以降は、"男映画"が盛りだくさんだ。まずは、日本では9月15日に封切られる『エイリアン:コヴェナント』。先に公開されている本国での評価は決して高くないものの、シリーズファンとしてワクワクを禁じ得ない。あ、でも厳密に言えば『エイリアン』シリーズは、"女最強映画"だな。やっぱり、女性っていうのはワンダーだぜ。

(鑑賞日[初]:2017.8.26)
(劇場:MOVIXあまがさき)

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