0 Comments
death_note.jpg



キャッチコピー
・英語版:unknown
・日本語版:unknown

 ワイは"新世界"の神になんねん。

三文あらすじ:冴えない高校生ライト・ターナー(ナット・ウルフ)は、ある日、空から落ちてきた一冊のノートを拾う。それは、名前を記した者を殺害することができる死神のアイテム“デスノート(Death Note)”。ライトは、この秘密を共有する恋人ミア・サットン(マーガレット・クアリー)とともに犯罪者の処刑を開始するが、そんな彼に謎の天才探偵“L”(キース・スタンフィールド)の捜査の手が伸びていた・・・

※以下、ネタバレあり。


~*~*~*~


 去る8月25日から配信がスタートしたNetflixオリジナル作品『DEATH NOTE』。原作はご存じの通り、大場つぐみと小畑健の手による同名の大ヒット少年漫画である。もう何度目だろうな、実写化されるのは。藤原竜也のやつがあって…Lのスピンオフがあって…ついこないだまたやって…。しかして、本作は、『DEATH NOTE』史上初めての海外版実写化というところがポイントである。日本の少年少女を熱狂させた物語は、海の向こうの新しい世界でどのように生まれ変わったのか。

dn9_20170904191255238.jpg


 個人的に思う決定的な変更点は、夜神月をスクール・カーストの底辺に置いた、というところだ。物語というのは、基本的に誰かの成長や変化を描くのだから、そのスタートはできるだけ"平凡"な方が良い。こと学園ものに限って言えば、そのほとんどが"持たざる凡人が何らかの能力を得て活躍する話"になるんじゃないだろうか。そのフレームの中で、仮にヒーロー譚を描くなら『スパイダーマン』、仮に悲劇を描くなら『クロニクル』って感じで、作品は細分化されていく。したがって、そういう意味で本作は、むしろストーリー・テリングの基本に忠実な設定を採用したと言ってもよさそうだ。

dn7_201709041910136c3.jpg


 しかし、『DEATH NOTE』という物語に限って言えば、これは異例の事態である。原作漫画における夜神月という青年は、本作の主人公であるライト・ターナーとは正反対にスクール・カーストの頂点に君臨する存在だった。勉強、スポーツ、ルックス、その他あらゆる点において、彼は、完全無欠のキャラクターだったのである。筆者の素人考えによると、これはあくまでも"デスノート"というガジェットに焦点を絞るための設定である。名前を書くだけで人を殺すことができるノートを手にした青年がどんな顛末を辿るか、が主題なのではなく、あくまでもそんなノートの効果でありルールこそがおもしろい、という作品。だからこそ、主人公ライトは人間的に成長の余地がない、言い換えれば、私生活上のドラマの生じる余地がない完全無欠なキャラとして設定されていたのだと思う。彼のライバルであるLにしたって同様だ。つまるところ、ライトもLも、"デスノート"というガジェットの潜在能力を最大限に引き出す役割のみを負わされていたのである。

dn1_2017090419100565c.jpg


 対する本作のキャラ設定は、先述の通りストーリー・テリングの基本には忠実だが、『DEATH NOTE』としてはトリッキーだ。つまり、ライト・ターナーのダメさ、未熟さ、いけてなさ。一言で言えば、童貞感。これがまず全面に押し出される。もちろん、その方がより多くの人々の共感を得やすくはあろう。しかし、筆者は"何も分かっちゃいない"と思ってしまった。なぜなら、筆者も原作漫画に夢中になった少年少女と同じく、"デスノート"を用いたマインド・ゲームにこそ惹かれた者の一人だからである。

dn6_2017090419101268e.jpg


 では、本作ではライトの未熟さによって肝心の頭脳戦が疎かになっているかと言えば、その通り!…まぁ頑張ってはいるけど。という感じ。一応クライマックスでは、ライトとミア(原作でいうところのミサミサ)の騙し合いに重点を置いた脚本作りがなされている。まぁでも、それも原作に比べれば全然ショボい。本作でのライトはいけてないキャラだが、頭の良さについては原作版ライトと同様という設定。にも関わらず、そこまでの切れ者という説得力が全然ない。逆に考えれば、この点が原作のスゴいところでもあった。原作では、ライトとLの知的攻防の論理を正々堂々と描き、その上で、あぁ!これはかしこいわ!と思わせることに成功していたと思う。過程をすっ飛ばし大袈裟な結果だけを見せることで"天才"を演出するような姑息な手(まぁ大抵のクリエーターはそうするしかないのだが)を使わなかったこと、そして、それで勝負できるだけの技量(知量)を備えていたことが、原作の偉かったところである。

dn2_20170904191008c5f.jpg


 とはいえ、実は本作も、姑息な手を使わずきちんと論理展開で以て見せていこうとする姿勢がないわけではない。だからこそ、"頑張ってはいる"という感想が生まれてくる。特にクライマックスの騙し合いでは、ライトとミアの双方がどのような論理で攻撃をしかけているのかをちゃんと描くため、好感度大だ。原作のスゴかったポイントを正しく理解している辺り、本作のクリエーターを素直に褒める余地があるだろう。しかし、如何せんショボい。クライマックスで用いられる理屈は、全て"あぁ、それ俺でも思い付くわ"というレベル。原作にはあった"天才キャラが天才である説得力"を感じることはできない。要は、キャラクターの"天才設定"にクリエーターの能力が追い付いていないというわけである。これじゃあ、"新世界の神"になんか到底なれないぞ。ライトがなれるとしたら"(大阪の)新世界の神"くらいなもんだろう。"キラの登場により、浪速のソース二度付け率は低下の一途を辿っている…"ってか。ばかやろう。

dn3_201709041910084fc.jpg


 あとは、リューク(ウィレム・デフォー)を能動的なキャラに設定した点もまずかったように思う。原作でのリュークは、あくまでも"デスノート"という超現実的なガジェットの存在を根拠付けるための"物語上の理由"に留まっていた。ときにはルール解説をしてくれたり、"死神の目"等の新規アイテムを授けてくれたりはするが、基本的にはライトとLの頭脳戦に手出し口出しはしない、という線引きがしっかりできたキャラクターだった。しかし、本作のリュークはもっと能動的だ。彼はライトがノートの使用を控えようとすると、途端に「ノートは没収だ。新しい所有者にお前の名前を書かせよう。ケケケ」なんて言って、ライトをけしかけるのである。これはあまりよくない。死神というトリック・スターがストーリーに干渉しうるとなった時点で、ルールに沿った頭脳戦の要素がブレるからである。一応終盤までの彼の前向きな振る舞いは、FBIの捜査員を殺したのがミアであるというプチどんでん返しを隠すための陽動なのだろうが、やはり死神の存在が介入したマインド・ゲームには、原作のようなハラハラ感が感じられない。

dn4_20170904191009235.jpg


 あとはやっぱりLのキャラクターが全然魅力的じゃない。こいつもライト同様、全然"天才"に見えないのである。クライマックスに至り、ワタリの死に狼狽えまくった彼は、結局ライトを探して闇雲に夜の町を走り回るというおよそ世界一の天才探偵とは思えない泥臭さを披露するほど。まぁ、これは騙し合いを原作ほど完璧に描けない以上、致し方ない部分ではあるような気もするが。クライマックスでの騙し合いの相手がミアでなくLだったら、論理の稚拙さがもっと滑稽になっていたことだろう。

dn5_201709041910102a3.jpg


 一方、個人的に良かったのは、グロ表現の真剣さである。特にライトが初めてノートの力を知る際の犠牲者、つまり、原作で言うところのシブタクに相当するキャラクターが死ぬところは、まるで『ファイナル・デスティネーション』のような爽快なグロシーン。彼は飛んできた脚立に頭部を切断されるのだが、接続部たる首から上が無くなる、というのではなく、人体を"五体"として捉えた場合には構造上のジョイント部分とは思えない上顎から上を吹き飛ばされる。これが中々フレッシュなビジュアルで、筆者は大変に満足した。

点数:55/100点
 総じて、論理の攻防にせよ、グロ表現にせよ、決して不真面目でなくきちんと正面から向き合った作品であることは間違いない。ただ、やはり頭脳戦の部分は、いささか力量不足だと言わざるを得ないだろう。もちろん、フィクションの中で"天才の天才性"を脚本上表現することは至難の技であろうから、それだけでただちに本作を駄作と断ずることはできない。あぁ、でも、原作において筆者を含めた多くのファンが一気に心を奪われたあの"キラの居住範囲を特定していくシークエンス"は、本作では論理が酷く省略されていて、その点はとても残念だった。ってゆーか、本作のキラならきっとすぐ見つかりまっせ、通天閣の下を探せば。

(鑑賞日[初]:2017.9.3)


DEATH NOTE コミック 全12巻完結 13巻セット (ジャンプ・コミックス)

新品価格
¥5,754から
(2017/9/4 18:54時点)


DEATH NOTE デスノート (スペシャルプライス版) [Blu-ray]

新品価格
¥1,750から
(2017/9/4 18:55時点)


L change the WorLd (スペシャルプライス版) [Blu-ray]

新品価格
¥1,633から
(2017/9/4 18:55時点)


デスノート Light up the NEW world [Blu-ray]

新品価格
¥3,712から
(2017/9/4 18:56時点)


関連記事
スポンサーサイト
Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

Comments 0

There are no comments yet.

Leave a reply