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・英語版:Kick some ass, get the girl, and try to look dope while you're doing it.
・日本語版:極限世界《 xXx》を体感せよ

 Dope & Furious!

三文あらすじ:世界の命運を左右する恐ろしいハイテク兵器"パンドラの箱"が、政府の手から強奪された。奪い返すことができるのは、エクストリーム・スポーツ界のカリスマにして、かつて伝説のスパイだった"トリプルX(xXx)"ことザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)しかいない。再びNSAにリクルートされたザンダーは、アドレナリン・ジャンキーたちを率いて、世界を救うための危険なミッションに挑んでいく・・・


~*~*~*~


 2002年に公開されたスパイ映画『トリプルX』は、まぁ、秀作とまでは言えなくとも、この手のジャンルにおいてはそこそこの良作と言ってよかったのではないだろうか。少なくとも、今や押しも押されぬアクション・スターとなったヴィン・ディーゼルの初期代表作のひとつであることは間違いない。確か興行的にもそれなりのスマッシュヒットを飛ばしたのではなかったかな。

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 これには、当時のコロンビアピクチャーズも気を良くしたことだろう。元々は007の映画化権を取得できないコロンビアが、それなら俺たちでオリジナルのスパイ映画を作ってやる!と意気込んだのが一作目。で、そんな作品がヒットしたのだから、当然すぐさま続編の話が進行したわけだが、ここで今や"ハリウッドの暴れん坊"として有名なヴィン・ディーゼルがその片鱗を覗かせ、監督とケンカしたりなんやかんやの大騒動。コロンビアとしては、なんとか一作目の印象が冷めやらぬ内に次の手を打ちたいということで、ラッパーのアイス・キューブを主役に据えた二作目を作ったのだが、これがまぁ、ストーリー、主役ともに"もっちゃり"とした失敗作となったため、やんちゃスパイのエクストリームな冒険譚は本格的に封印されることになった。

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 時は過ぎ、一作目公開から15年、二作目公開からは12年後の今年、再びヴィン・ディーゼルのザンダー・ケイジが満を持して大活躍する三作目が公開された。それが本作『トリプルX:再起動』である。まぁ、みんなが思っている通り、15年というのは幕間として極めて長い期間だ。当然、一作目にあった"チンピラがスパイになる"という設定の新鮮さは失われている。往年のスパイらしからぬチンピラのキャラクターをスパイ映画の世界に放り込む、というアイデアで言うと、『キングスマン』なんてのもあったわけだし。というわけで、ザンダー・ケイジの復活に際しては、何かしら新しい、あるいは、今どきの仕掛けが必要だ。では、本作はどのような仕掛けで以て、『トリプルX』を現代的にブラッシュ・アップしたか。既に本作をご覧になった方には周知の通り、それはもちろん『ワイルド・スピード』スタイルである。

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 2001年の一作目以降、様々な変遷を辿りつつも、今や21世紀のアクション映画史を語る上では避けて通れないほどのメガ・ヒット・シリーズとなった『Fast & Furious』こと『ワイルド・スピード』。一作目のこじんまりしたプロットはどこへやら、今では巨大なファミリーが世界を股にかけ強大な敵と戦うアクション超大作になっている。そして、そんな『ワイスピ』のやり口を本シリーズにスライドさせるという発想は、決して間違いじゃないと筆者は思う。確かに、『ワイスピ』のような"ファミリー感"というのは、本来的に本シリーズとかけ離れたものにも思える。しかし、よくよく思い起こしてみれば、ザンダー・ケイジという男は、一作目から既に"気の良いアニキ"だったのだから、実は取り立ててキャラの性質がブレたわけではない。むしろ、15年という幕間の割にはきちんと原点回帰した、とも言い得るだろう。

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 また、この"原点回帰"という意味において、本作のクライマックスたるジャン(ドニー・イェン)との"障害物競走"のシークエンスは、本当に素晴らしい。違法なエクストリーム・スポーツの達人であり、だからこそ"普通のスパイ"には成し得ないインポッシブルなミッションを達成できるんだ!という(設定の)ザンダー・ケイジ。そんな彼と元"トリプルX"である敵に"目的のビルまで街中をパルクールで競争させる"というアイデアは、全く以て正しい。もちろん、具体的な設定や演出はいささかショボい。特に、徒歩で向かうはめになる理由が"渋滞"ってのは、曲がりなりにも"スパイ映画"である本作の品位をズタボロにしている気もする。まぁ、いやいや…かつてのスパイ映画にあった品位こそ、本シリーズが忌むべきものなのだよ、と言われれば、まぁそうかもね、と納得する余地もないではないが。

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 それから、本作が本当に偉いのは、過去の失敗作をちゃんと"再利用"したというところだ。ヴィン・ディーゼルの大好きな"ファミリー"の理屈で言い換えるなら、アイス・キューブ!もっちゃりしてても、お前は家族だ!俺は家族を見捨てない!って感じだろうか。つまり、ザンダーがヒロインであるセレーナ・アンガー(ディーピカー・パードゥコーン)に携帯を渡し、「本当にピンチのときは "9番 "にかけろ。ギボンズ(サミュエル・L・ジャクソン)の "秘密兵器 "だ。」と仰々しく前ふったその秘密兵器が、実は二作目の主人公ダリアス・ストーンだった、という展開。これは上手いよな。同じく自身の初期代表作であり、同じく失敗作の二作目を経てリブートした『ピッチ・ブラック』シリーズの三作目『リディック:ギャラクシー・バトル』でも、ヴィン・ディーゼルは二作目を"黒歴史"にはしなかった。おい!失敗作だって立派な"シリーズ"だろ!無視すんなよ!というこの度量。『ワイスピ』の共演者たちからウザがられているとはいえ、彼の"男気"はある意味で本物なんだろう。

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 ただ、本作に関しては、やっぱり余りにも『ワイスピ』だったんだと思う。特に本国アメリカでは、ヴィン・ディーゼルが『ワイスピ』を私物化し、メンバーから疎まれているという事実をみんなが知っている。日本人が『踊る大捜査線』シリーズにおける織田裕二のウザさを知っているように。だから、露骨に『ワイスピ』に持っていくと、ははぁ、あっちで"はみご"にされたから、こっちでやり直したいわけね…。と思われても仕方ない。一応、ギボンズという存在を残したことで、本作は"スパイ映画"という軸をギリギリ保ったまま終幕するが、やはりボスを倒した後のあの異常に長い"家族団欒"のシークエンスを見せられると、結局"『ワイスピ』の焼き直し"だったなぁ…。という読後感を抱く観客は多いだろう。

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 最後に、本作の楽しい"お遊び"について少し。まぁ、"お遊び"というか"オマージュ"というか。広く"スパイ映画"を意識したギミックだったり、それとは関係なくいっちょふざけてみました!というものだったり、本作にはいくつか仕込まれているように思う。

 まずは、"スパイ映画"へのオマージュ。先述の通り、本シリーズは元々"007フォロワー"として生み出されているから、大まかなプロットとか、ザンダーの本質とかは、ジェームズ・ボンドと共通している。特に本作では、一作目で「これも祖国のためか…」と言いながらザンダーが美女をいただいてしまった展開がパワーアップ。一作目ではひとりのロシア美女だったのに、本作ではゾロゾロと雪崩れ込んでくる1ダースほどもの美女軍団をお相手する。ザンダーには抱かれないが、ここで登場するスーパーハッカーのエインズレー(ハーマイオニー・コーフィールド)がむちゃくちゃ可愛い…。

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 007といえば"秘密兵器"であり、秘密兵器といえばMI6の科学技術主任であるQだ。一作目でもそれっぽいおっさんからザンダーは車とか銃とかを受けとるが、本作でその役目を担うのは、おっさんではなく美女。ニーナ・ドブレフ演じるベッキー・クリアリッジである。これがまたむちゃくちゃはちゃめちゃ可愛いのである。あどけないオタク感とセクシーでハスキーな声が絶妙の化学反応を生み出している。しかも、なにやらこのニーナ・ドブレフという女優は、私生活でもスリル大好き女なんだそうで、本作の撮影中も監督に対し「私もアクションしたい!」と直談判しまくっていたらしい。その結果追加されたのが、彼女がへっぴり腰でマシンガンを連射するあのシーン。現場で急遽追加したもんだから、当然ニーナさんは射撃訓練なぞ受けておらず、したがってあのようなシーンになったのであろう。しかし、その割には、しっかりキャラの性質と矛盾せず、それでいておもしろい秀逸なシーンに仕上がっていたように思う。

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 それから、007と双璧をなすスパイ映画といえばやはり『ミッション・インポッシブル』シリーズであるが、本作の主要メンバーが"ファミリー化"し始める前の段階は、どことなくイーサン・ハントのスパイ・チームを彷彿とさせる。超人的なスパイがたったひとりで七転八倒するのではなく、適材適所にその道のプロフェッショナルがあてがわれたザンダー・チームの"ローグ感"。中々良かったと思う。

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 さらに、"スパイ映画"というものをより"リアル"に解釈し、新たなるサーガを確立したボーン・シリーズ。このオマージュも本作には盛り込まれているように思う。すなわち、ジャン率いる元トリプルX部隊のホーク(マイケル・ビスピン)が序盤でNSAの局員と"文房具バトル"を繰り広げるシークエンスである。ジェイソン・ボーンといえば、手近なアイテムをなんでも武器にしてしまうというジャッキー・チェン、あるいは、宮本武蔵スタイルでお馴染みだが、そんな彼のスタイルの白眉ともいえるのが、文房具を用いたアクションであった。例えば、一作目では青色のボールペン、三作目では本を用いている。本作に登場するのは、ボーンの三作目と同じく"本"。おまけに「本は読むもんだ!」なんて言わせたりして、中々ハイ・テンションで楽しい"お遊び"となっている。

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 一方、これはちょっとやり過ぎたのでは?と思うのが、サミュエル・L・ジャクソン関係のお遊びだ。より具体的に言えば、ニック・フューリーいじり。サミュエル演じるオーガスタス・ギボンズが、本作冒頭で実在のサッカー選手であるネイマールをスカウトしている、というお遊びは、まだ悪くはないと思う。サッカーに興味のない筆者は、なんじゃそりゃ、しょーもな!と思ったが、作品の作り方として間違っているとは、決して言えないだろう。しかしながら、ネイマールの情報を表示するテロップで"アベンジャーズに勧誘されていると勘違いしている"とするのはマズい。その直後死んだと思われていたギボンズが、ラストでやっぱり生きていた、しかも、片目に眼帯を装着して現れるというのも、あまりにも露骨にニック・フューリーに被せすぎていてよろしくない。

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 何がよろしくないのかというと、要は、ギボンズの存在だけメタフィクショナルで浮いてしまっているのである。ネイマールという実在の選手が本人役でそのまま登場する。これは別に良い。我々が住むこの世界、この現実の"ユニバース"にトリプルXという存在も実在していて、本当にサッカー選手をスカウトしているのだ、という設定は、十分に成り立つ。しかし、ここに"アベンジャーズ"が出てくると話は別だ。そうしてしまった以上、この『トリプルX』という世界が"マーベル・シネマティック・ユニバース"に属していないと筋が通らなくなる。でも、それはあり得ない。そんなことを天下のディズニーが許すはずもなかろう。仮に、『トリプルX』側から一方的に"マーベル・シネマティック・ユニバース"に飛び込んだのだとしてもやはり矛盾が生じる。なぜなら、サミュエル・L・ジャクソンその人がギボンズを演じているからである。あるいは、これを更に押し進め、実は『トリプルX』シリーズは"アベンジャーズ:エピソード0"なのだ!とやれば、まだ辻褄は合うか。すなわち、元々NSAに所属していたギボンズは、本シリーズでの出来事を通して隻眼となり、その後ニック・フューリーと名を変えてS.H.I.E.L.D.の長官になったのである…とするのである。

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 まぁ、作り手としては、そんな辻褄とかじゃなくて、純粋な"お遊び"として楽しんでよ!という気持ちなのだろうが。シリーズが休眠している間に同じ俳優が似たような役柄でブレイクしてしまったため、むしろ本家なのに頭を悩ませるはめになっているわけだしな。ごちゃごちゃ余計な揚げ足取りをしていると、「おい!もっと"DOPE(ドープ)"に行こうぜ!」とギボンズに恫喝されそうだ。

点数:80/100点
 痛々しいハリウッド・スターがぬるま湯の中で古くさい家族ごっこに興じるパチもんの駄作。そんな風に思う人がいてもおかしくはない。しかし、個人的には、しっかりとキャラクターと向き合い、過去の失態すらもきちんと織り込んだ上で"今何ができるか"を考えた非常に秀逸なリブートだと思う。例え自分勝手な暴れん坊だとしても、ヴィン・ディーゼルのリブートに向き合う姿勢、これは間違いなく本物だし、リブート!リブート!と血眼になっている昨今の全てのクリエーターが見習うべきものだろう。あくまでも、これまでの紆余曲折ありきの三作目という意味では、本作は本当に"DOPE!"な作品だと思う。

(鑑賞日:2017.10.1)

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Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

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