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キャッチコピー
・英語版:Your every fear - all in one deadly enemy.
・日本語版:unknown

 いつの間にか"はみ出して"しまった大人たちへ。

三文あらすじ:1990年のアメリカ、メイン州デリーで、子供だけを狙った連続殺人事件が発生する。デリーの図書館職員であるマイク・ハンロン(ティム・リイド)は、事件現場近くでそこにあるはずのない古い写真を発見し、子供時代に"IT"と呼んでいた奇怪なピエロ、ペニーワイズ(ティム・カリー)の仕業であると確信する。マイクの呼び掛けでかつての約束を思い出し、デリーに集った"弱虫クラブ"のメンバーたちは、30年の時を経て再び恐怖のピエロに立ち向かうのだが・・・


~*~*~*~


 ヤバい、これはヤバい。誰もが予想だにしなかったリメイク版『IT』の大ヒット、そして、誰もが予想していた『マイティ・ソー:バトルロイヤル』の特大ヒット。こんなにも話題性に富んだ二作が絶賛公開中だと言うのに、劇場に行く時間が無い。まぁ、忙しくなることが分かっていながら独りで"『ストレンジャー・シングス』マラソン"を開催していた自業自得を後悔するしかなかろう。本当に、大人になると後悔の連続だ。後悔など知らぬ子供たちが羨ましい。ホーキンスで異世界のクリーチャーと戦う少年たちや、メイン州はデリーで凶悪なピエロと大立ち回りを繰り広げる彼らは、日々退屈極まりない日常と戦い続ける筆者とは大違いだ。というわけで、今回は、リメイク作が歴史的大ヒット中の本作『IT』の感想を書く。

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 原作は、ホラー小説界の生ける伝説スティーヴン・キングが1986年に出版した同名ホラー小説。その4年後の1990年にTV映画…というか、TVドラマのミニシリーズとして放映されたのが本作である。それを一本にまとめているわけだから、まず以て、本作はめちゃくちゃ長い。この手の"ジャンル映画"では通常ありえない3時間もの超大作。とはいえ、途中で匙を投げてしまうほど退屈なわけではもちろんない。"『スタンド・バイ・ミー』meets ホラー"とでも形容したくなる本作のジュブナイル感、そして、『ロッキー・ホラー・ショー』のフルター博士としてお馴染みの名優ティム・カリーが演じたピエロの恐怖は、十二分に魅力的。おそらく、ちょうど筆者くらいかもう少し上の世代のおっさんたちが"子供の頃に観たトラウマ映画は?"と聞かれたなら、その多くが本作を真っ先にあげることだろう(ちなみに、筆者のトラウマ映画はクローネンバーグの『ザ・フライ』である。)。

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 また、同時に本作は、多くの映画ファンから"オチがぶっ飛んだ映画"の代表作にあげられる珍作でもある。要は、ピエロの亡霊が田舎町を恐怖に陥れるクラシカルなホラーだったはずなのに、ラストでその正体を明かしたピエロは、なんとクモ型のエイリアンだった…という展開。確かに、これはぶっ飛んでいる。まぁ、原作では、ピエロは少年たちの"信じる心"を食べるという設定がちゃんとあるらしく、そうであれば、その正体が"生き物の神経系に干渉できる地球外生命体"だったというオチも、まだギリギリ納得し得るかもしれない。地球にだって獲物をおびき寄せるため擬態する虫はいるのだから、未知のエイリアンがピエロの亡霊を作り出しても、まぁ頭ごなしに不合理だとは言えないだろう。

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 恥ずかしながら今回が本作初鑑賞だった筆者にとって、なんと言ってもびっくらこんの塩昆布だったのは、実はオチではなく、主人公たちの"距離感"であった。本作の主人公チームは、かつてデリーという田舎町でイジめられっ子だった小学生たち。当時倒したはずのピエロの復活に際して大人になった彼らが再結集し、その合間合間で小学校時代の冒険を回想するというのが、本作の大まかな構成である。そんな彼ら"弱虫クラブ"(原作では"はみだしクラブ"だったか。)の面々の中には、紅一点の存在としてベバリー・マーシュ、通称"ベブ"という女性がいる。演じるのは、『スーパーマンⅢ/電子の要塞』で単発ヒロインのラナ・ラングを演じたアネット・オトゥールだ。で、このベブさんとその他男性陣との物理的な距離感が、我々の、少なくとも筆者の感覚からすれば「えっ…?!」というくらい近いのである。

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 子供時代からフラグが立っていて、最終的にはめでたく彼女と結ばれたベン・ハンスコム(ジョン・リッター)については、まぁ、百歩譲って目を瞑ろう。しかし、その他の男性メンバーとひっきりなしにベタつくのは、真っ当な大人の挙動としてどう見ても変。再会を喜ぶハグは、硬派な筆者からすれば"まさぐり合い"にしか見えないし、挨拶代わりのキスは、硬派な筆者からすれば漏れなく"ディープ・キス"である。まぁ、キスのお相手であるビル・デンブロウ(リチャード・トーマス)は、子供時代にベブと両思いだったという一応のフラグがあるが、でも、既に彼はバッチリ結婚しているのだから、そんなことしちゃダメ。その他にも、不必要にパッと手を繋いでみたり、意味もなくスッとしなだれかかってみたりと、とかく彼らの旧交の温め方は常軌を逸しているのである。もう言ってしまおうか。本作の描写を見る限りにおいて、ベブはど淫乱にしか見えない。

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 しかし、筆者同様ピュアなおっさんであるあなたが本当に驚くのはこれからだ。なんとこのベブの淫乱キャラは、ちゃんと原作を踏襲した設定であり、むしろ原作より大幅に硬派な改変が施された結果だと言うのである。つまり、原作におけるベブは、まだ毛も生え揃っていない子供時代のバトル時に、なんと男性メンバー全員とセックスをする。しかも、ストーリー進行に沿って個別に、ではなく、全員集合した状態で順繰りヤッていくらしいのである。これこそが、いまだ多くのファンを困惑させ続ける原作小説最大の"魅力"に他ならない。一応、ピエロは"子供"しか襲うことができないから、"大人"になれば勝てる!(正確には逃げるだけだったかな。)という理屈があるようだが、にしてもねぇ…。お前ら… "(イチモツ)はみだしクラブ "やんけ。

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 あと、ストーリー進行の遅滞も個人的にはやや引っ掛かった。先述の通り、本作は、まず大人時代の"はみだしクラブ"メンバーたちからスタートし、要所要所で小学校編の回想が入る。しかも、回想シーンもきっちり一から彼らの日常を描いていくので、単純に考えれば通常のストーリーの倍を描写していることになる。個人的にこれはあまりよろしくないと思うんだよな。まぁ、『スーサイド・スクワッド』のメンバー紹介シークエンスよりはまだマシだと思うが、それでも、過去編から現代編に戻ってくる度「そうや…まだ集合すらしてないんやった…。」という落胆の繰り返し。

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 この点では、まず子供編を一本公開し、それがヒットしたら大人編に着手するというやり方を採用したリメイク版の方が、"映画"として考えるなら賢かったと言えるだろう。二部作でのリメイクが発表されたときには、みんな「これは失敗する!」としたり顔で騒いでいたが、それこそ『ストレンジャー・シングス』以降の"ジュブナイル・ブーム"(と、『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』以降の"レトロ・フィーチャー・ブーム")に乗って、結果的には大ヒットしているわけだしな。なんでもヤッてみるもんだ。後悔なんて、前もってするもんじゃない。

点数:65/100点
 こと"ホラー映画"に限って言うなら、間違いなく"クラシック"の部類に入るであろう普及の名作。とはいえ、当時の時代性や原作者の変態性をも取り込んだ本作は、今観るとずいぶん変わった"はみだし者"に思える。まぁ、さすがにリメイク版では"淫乱のなごり"は無くなっているのだろうな。なんだか社会の"大人"たちから理不尽な要求が続き、今週も忙しくなりそうだが、後悔するくらいならいっそ"はみだし者"にでもなって、遅ればせながら劇場へ足を運んでみようと思う。

(鑑賞日:2017.11.1)

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Posted byMr.Alan Smithee

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