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キャッチコピー
・英語版:You'll float too.
・日本語版:子供がいる町に、“それ”は現れる。

 今も“信じ続ける”俺たちへ。

三文あらすじ:1988年10月、アメリカ、メイン州の田舎町デリーで児童の行方不明事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビル・デンブロウ(ジェイデン・リーバハー)の幼い弟ジョージー(ジャクソン・ロバート・スコット)が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿を消す。時は経ち、1989年夏、突如現れた“それ(IT)”(ビル・スカルスガルド)を目撃したビルは、恐怖に悩まされることに。彼と同じく“それ”に遭遇した“負け犬クラブ”の面々は、一致団結してその恐怖に立ち向かっていくのだが・・・


~*~*~*~


 前回感想を書いた『IT』のリメイク作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』を極めて遅ればせながら鑑賞してきた。筆者は元来、ホラー映画を劇場鑑賞しない質だ。やはり"恐怖"という感情は可及的孤独な状況でこそ享受し得るものであって、他人とはいえ多くの鑑賞者と空間を共有する劇場では……まぁ、要は恐くて映画館じゃ観れないのである。しかし、本作ばかりは、さすがに勇気を振り絞った。なんてったって、それこそホラー映画の歴史を塗り替えんばかりに世界中で大ヒットしているのだから、一映画ファンとして恐いだなんだと言ってはいられないだろう。『エクソシスト』の記録を抜き去り、『シックス・センス』の記録をぶち破り、貨幣価値の差はあれど、確かホラー映画史上最高の興行収入を叩き出したのではなかったかな(あと、予告編視聴回数も、当時1位だった『ワイルド・スピード/ICE BREAK』をぶち抜いて新記録を樹立したのだったと思う。それと、R指定を受けた作品のオープニング成績も塗り替えた。)。

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 世界から遅れて先週末に公開された日本でも、たぶんそれなりにヒットしているのだろう。実際、筆者が鑑賞した昨日(日付変わって一昨日)18:05のMOVIXあまがさきシアター5には、割と客が入っていた。そして、ここで重要なのは、客のほとんどが男子中高生だったということである。二人のユニットもいれば四人のカルテットもいたが、とにかく、彼らは休日の夕方に友人と連れだって、キャッキャキャッキャと騒ぎつつ、ホラー映画なんかを観に来たというわけだ。そんなわけだから、まぁ、うるさかった。既にワーナーのロゴが登場しているのにおしゃべりを止めない彼ら。ストーリーの真っ只中だというのにコソコソしゃべる彼ら。エンドクレジットが流れ始めるや否や感想を述べ合う彼ら。でも、筆者は全然怒っていない。なぜなら、そこにはあの頃の俺たちがいたからだ。

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 いつの頃からか筆者も数多のおっさん映画ファン同様、一人きりで映画館へ足を運ぶようになった。しかし、そんな筆者にも、友人数名とワッキャワッキャはしゃぎながら、自転車で隣町の劇場へ通った、そんな中高生時代があったのである。真面目だった筆者は、コショコショしゃべろうとする友人たちのたしなめ役になることが多かったのだが、それでもホラー映画のときには、恐怖やエロからくる思春期の気恥ずかしさを隠すため、上映中にも関わらず若干のおしゃべりをした記憶がある(特に覚えているのは『ディープ・ブルー』。)。だから、筆者は大きく安堵した。まだ大丈夫だ。男の子のグループがホラー映画を観に来る内は、映画はまだ大丈夫。少なくとも、筆者はそう信じている。

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 おっと、今回は関西南部の田舎町ではなく、アメリカ東北部の田舎町の話だったな。前置きが長く、くだらなくなってしまったが、本作の感想を一言で言えば、"いえーい!めっちゃ『ストシン』!"、これに尽きるだろう。シーズン1が2016年の7月15日に、シーズン2が去る2017年の10月27日に配信されたNeflixオリジナル・ドラマ『ストレンジャー・シングス』。シーズン1配信直後から世界中で大反響を巻き起こし、今やNetflixを代表する看板人気ドラマとなっている。1980年代、アメリカはインディアナ州にある架空の町ホーキンスを舞台に、少年四人が超能力少女一人と一緒に異世界のクリーチャーと戦う、というこの物語は、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以降の"レトロ・フィーチャー・ブーム"を上手く取り込み、なおかつ、大人たちが常に持っている"ジュブナイル憧れ"に火をつけることで、世界中を虜にした。まぁ、そもそもを言えば、マットとロスのイケメン兄弟ダファー・ブラザーズが『IT』のリメイクを作ろうとしていたのだが(もっと遡れば1990年版の監督キャリー・フクナガが登板する予定だった。)、結局『MAMA』というホラー映画が好評だった新鋭アンディ・ムスキエティに監督の座を奪われたため、じゃあ、アイデア流用してドラマやるかーと作ったのが『ストレンジャー・シングス』。したがって、本作と『ストシン』が似ているのは、ある意味で当たり前なのだが、そんな状況の中、本作は、いったん新参者に奪われた"お家芸"をものの見事に"逆輸入"している。

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 旧『IT』では主人公の"シルバー号"のみフィーチャーされていた"自転車"。この少年にとっての最高の移動手段は、『ストシン』でもそうであったように、メンバー全員のアイテムへと格上げ。上記画像なんかは、まんま『ストシン』なビジュアル・イメージだ。旧『IT』では初期メンバーだった"ベブ"ことベバリー・マーシュ(ソフィア・リリス)は、『ストシン』シーズン1でのイレヴン、または、シーズン2のマックスのように、仲良し男子グループに途中加入する"紅一点"の存在として、特別感が強化されている。また、極めつけは、キャスティング。『ストシン』不動の主人公マイク・ウィーラーを演じるフィン・ヴォルフハルトが、本作ではおしゃべり屋のナイス・ボーイ、リッチー・トージアを好演。そんなわけで、筆者の独断的な分析によると、『ストシン』シーズン1とシーズン2の間隙、すなわち、世界中が"ストロス"の状態にある絶妙の合間を狙って同種の冒険譚をぶちこんだことが、本作が成功した大きな要因のひとつなのである。

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 より具体的なポイントに言及するなら、まずはやっぱりシビアさの強化を称賛すべきであろう。特に、アヴァン・タイトルで繰り広げられるジョージー死亡シーンは、誤解を恐れずに言えば、本当に最高。旧作では側溝からあからさまに顔を覗かせていたペニーワイズが本作では少し影の落ちた怪しげな雰囲気で現れる、という点も時代の移ろいを感じさせる演出上の改変だが、その辺りはまぁ別にいい。素晴らしいのは、ペニーワイズがジョージーの腕を噛み切る場面をそのまま描き切ったというところ。旧作においても、幼いジョージーの直接の死因は腕の切断だった。しかし、それはあくまでも台詞でのみ語られる伝聞的な最期。そこを本作はマジで見せる。バキバキと無数の鋭利な歯を覗かせたペニーワイズがジョージーの腕にカブリと噛みつく!絶叫するジョージー!おびただしい量の血を流しながら、なんとかはって逃げようとする哀れな片腕の五才児!しかして、小さな彼の体は、降りしきる雨の滴と同じように、側溝の暗闇へと引きずり込まれていくのであった…!

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 このアヴァンが持つインパクトは実に絶大である。旧作を知らぬ者にも、ペニーワイズというピエロの残虐性とこの『IT』という作品のだだならぬ意気込みが、一発で叩き込まれる。事実、筆者の左方向に座っていた高校生らしき男子グループは、みな「え?」「え?」とパニックに陥っていた。また、旧作を知るファンにとっても、十二分な掴み。旧作が今やホラー映画の"クラシック"になっていると言っても、どうしたってそこには、当時の"ゆるゆるテイスト"を少しネタ的に愛でるという側面が否めない。そんな愚かな我々に本作は高らかな宣言を突きつける。「自分ら、マジでいきますんで。」 この心意気だけで、我々おっさんホラー映画ファンは、「オッケー!最後まで付き合うぜ!」とノリノリになることができる。

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 物語が始まってからは、非常に丁寧で不穏で洗練された『ストレンジャー・シングス』の世界観。穿って見ればパクりだろうが、少年たちのジュブナイル感と田舎町の魅力は、やはり観る者(特に、おっさん、おばはんたち)を惹き付ける。旧『IT』からの改変もいくつか見受けられるのだが、中でも特筆すべきは、ベブのキャラクターであろう。旧作のベブは、"弱虫クラブ"の一員らしく、非常に"おぼこい"キャラクターだった。見た目もとっても芋っぽい。対する本作のベブは、これはもう絶対的美少女。めちゃくちゃに可愛い。しだがって、彼女のイジメられ方も、"ヤリマンという噂を流される"(まぁ、ウンコぶっかけられたりもしますが。)という、旧作とは異なる美少女特有のものに変更されている(同時に、原作の"ベブ乱行展開"を上手くエッセンス(?)だけ取り込んだのかもしれない。まぁ、もしかしたら原作通りなのかもしれないが。)。

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 あとは何と言ってもクライマックス・バトルの最高さだよなぁ。本作は前作とは違って子供時代のみを描くから、正確にはペニーワイズとのラスト・バトルではなく、彼を再び27年間(旧作の30年間から原作通りに変更。ちなみに、本作は、1990年放映の旧作から数えて27年ごしのリメイクでもある。)の冬眠状態に陥れる"第一バトル"が展開される。旧作における子供時代のバトルは、下水道の中で少年たちがピエロと対峙し、最終的にはベブのパチンコで撃退するというものだった。もちろん、当時の標準に思いを至せば、旧作のこのバトルにケチの付けようなどあろうはずもないのだが、現在の水準から観てしまうと、やはりどうしても全体的なもっちゃり感は拭えない。対する本作は、21世紀の最新ホラーとして、そしてまた、ホラー映画の歴史を塗り替えたエポック・メイキングな傑作として、いくつかの最高に燃えるギミックを我々に提供してくれる。

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 まずひとつは、ベブ関係のサムシング。やはり、旧作とは違う絶対的美少女ヒロインということで、本作のベブには色々な手が行き届いている。些末なことで言えば、彼女のスパッツ。旧作同様、彼女の家庭は決して裕福ではないので、彼女は花柄の白いワンピースを着回しているのだが、クライマックス・バトルに出かけるときには、せめてものオシャレ・バリエーションとして短いスパッツを履いているのである。どうやら彼女を"手込め"にしているのであろうクソ親父が彼女の出掛けに「めかし込んでどこに行くんだ?」なんて絡んで一悶着あるため、我々は、スパッツはやはりベブがせめてものオシャレとして着用しただけ、と思い込む。しかし、それはやや浅はかな考えだ。そのスパッツには、れっきとした機能が備わっていたのである。

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 クライマックス・バトルの舞台は、旧作と同じく下水道内ではあるものの、旧作より遥かに天井が高くバカ広い空間。見上げるとそれまでに囚われた子供たちがフワフワ浮かんでいるというビジュアルに、我々はまず一つの"納得"を得る。旧作でも本作でも、ペニーワイズは口癖のように「You'll float too!」と言うのだが、旧作では子供たちが浮かんでいる描写などどこにも無かったのである。まぁ、"風船と同じように"浮かぼうよ!ということで納得できなくは無かったのだが、やっぱり実際に子供たちが浮かんでいる画を見せてくれた方が、納得感は圧倒的に強い。で、クライマックス・バトル時、ペニーワイズにさらわれたベブも当然浮かべられてしまうわけである。で、当然彼女を助けんと駆けつけた少年たちは、彼女を下ろそうと頑張るのである。当然、こう思うよな? パンツ見えちゃうけど、それは不問にすべきなんだろうな…。 いやいや…違うな? そう、ベブは、ちゃんとスパッツを履いているのである。この行き届いたケア!しょーもないことにも思えるけど、でも、一度自分で脚本を書くって想像してみてくれよ。やっぱりこの繊細さはスゴいと思うんだよな。

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 それから、ベブ関係でもう一つ良かったのは、彼女がペニーワイズに止めを刺すシーン。"恐れない心"で形勢を逆転させ、憎きピエロをタコ殴りにする少年少女。ペニーワイズは彼らが最も恐れる者に変身して抗おうとするのだが、ベブに対しては、彼女の父親に姿を変える。本作では、旧作よりも露骨にベブが父親から何かしら性的な虐待を受けていることが匂わされていて、先述のスパッツを巡る一悶着もその一環。そして、ベブは、その一悶着の末に父を打倒したのである。よって、彼女の父親に変化したことは、ペニーワイズのミスだった。父親は、ベブにとってもはや恐れるべき対象ではない。自らを理不尽に凌辱し続けた憎き敵(かたき)だ。だから、ベブは臆さない。また出てきたか、このクソ野郎が!とばかりに廃材の鉄の棒をその口内に突き刺すのである。

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 ちなみに、このベブの攻撃方法によって、果たしてベブは父親にどこまでのことをされていたのか、という点が明らかになったと考えていいだろう。旧作と比べれば相当露骨になったとはいえ、ベブがブロージョブあたりまでをやらされていたのか、それとももっと進んでセックスを強要されていたのかは、明言されない。あぁぁ、やっぱりヤラれちゃってるのかなぁ…とヤキモキしていたおっさんは、きっと筆者だけではなかろう。しかし、ベブの最後の一撃が、父親の口に棒を突っ込むというものだったことで、ベブの凌辱ラインはブロージョブまでで確定したと思って良い。まぁ、厳密に言えば論理的に絶対の結論でもないだろうが、映画的な文法ってのはそういう感じでしょう? やられたやり方で敵を殺すというのは、映画ではとても良くあること。それを前提に結果からそれまでの手段を逆算することも、決して間違いではないと筆者は信じる。

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 クライマックス・バトルで筆者が感銘を受けた二点目は、ビルが屠殺銃で一撃お見舞いするシーンである。ここはロジックの一貫性が気持ち良い。家業の屠殺場を継ぐかどうかを悩む少年マイク・ハンロン(チョーズン・ジェイコブズ)が持参した屠殺用の銃をペニーワイズに向けるビル(マイクの家はただの酪農家なのかもしれないが。まぁ、いずれにせよ、屠殺に抵抗感を持っていたことこそが、マイクというキャラクターの核だ。)。しかし、ビルは知らない。その銃には弾が入っていないということを。下水道への潜入時、マイクが不良少年ヘンリー・バウワーズ(ニコラス・ハミルトン)に襲われた際に一発発射され、ヘンリー撃退の直後、マイクは残弾を全て回収不可能な井戸の底に落としてしまった。しだがって、銃はエンプティーだ。我々はそれを知っている。しかし、ビルは知らない(残弾の喪失は見ていたはずだが、マイクとヘンリーとの格闘で発射されたことは知らない。)。

※よく考えたら、その後、偽ジョージーの脳天をぶち抜いていたか。それでエンプティーになった。ただ、ベンはリロードの必要性を認識していない、のだと思う。

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 ビルが引き金を引く刹那、マイクが制止しようとする。「ビル!その銃は空だ!」 しかし、残念ながら、その助言は少し遅かった。ビルの脳は既に彼の指へと指令の伝達を終えている。鳴るはずのない銃声。放たれるはずのない銃弾。ビルが不発に驚き狼狽えた一瞬をついて、悪鬼は彼を殺害するだろう。しかし、"銃弾"は、ペニーワイズに"当たる"のである。驚きを隠せないマイク。そして、我々観客。説明しよう。ペニーワイズは、人間の"信じる心"(本作では"恐怖心"と換言されていた。)を食い物にする怪異である。彼は、対象が恐怖を覚えるあらゆるフォームに変化できるが、それは、対象がその恐怖を真剣に信じているからこそ発揮できる効果である。つまり、自分は病弱だと母親に思い込まされていたエディ・カスプブラク(ジャック・ディラン・グラザー)のくだりで言及される"プラシーボ(偽薬)効果"。これが、ペニーワイズの能力を最も端的に象徴している。

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 このロジックを貫徹した結果が、先ほどの"空砲命中シーン"というわけだ。ビルは屠殺銃が空だと知らなかった。逆に言えば、銃には弾が入っていると信じていたのである。必然、彼が放った"銃弾"は、ペニーワイズに"当たる"ということになる。これは非常に燃えるギミックだよな。願わくば、この銃撃こそがペニーワイズへの止めの一撃であれば良かったのに。仮に銃じゃないとしても、なんかこう…上手いことやり様があったのではないか? 例えば…主人公たちイジメられっ子グループは、日々自分たちで考案した"勇者ごっこ"に興じていて、大人たちからは「そんなバカバカしいことからは早く卒業しなさい!」と言われていた、とかさ。で…ラストでは、その"ごっこ"に出てくる伝説の武器ライクな廃材を見つけて、ペニーワイズが「そんな棒っ切れじゃあ、俺は殺せないぜ?バカなガキどもだ!」と理性的なたしなめをするも、「いや、バカはお前だ!これは伝説の〇〇なんだぞ!」と言って止めを刺す…と。まぁ、これだといくらなんでも幼稚過ぎるし、主人公チームがゲームに夢中になっているというところまでいくと、さすがに『ストレンジャー・シングス』そのままだから、やはりこのアイデアはボツかな。

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 さて、気を取り直して、クライマックス・バトルで筆者が感銘を受けた三点目。これはおそらく本作を観た誰しもが熱狂したところだろう。おしゃべりナイス・ボーイことリッチーが仕掛ける最高に粋な決意表明である。まぁ、ベタなんだよ。ありがちなんだ。でも、最高に最高に心地良い。つまり、こうだ。善戦するもビルを人質に取られてしまう少年たち。ペニーワイズは、「こいつを置いて帰れば見逃してやる。」との交換条件を提示する。当然のごとく、ビルは、「みんな…元々は僕がみんなを巻き込んだんだ。僕のことはいいから行くんだ…!」と悲劇のヒーロー気取り。ここで口を開くのが、おしゃべり大好き、下ネタ大好きという典型的な脇役キャラのリッチーだ。うんざりした表情で彼は言う。

 「ビル…君には悪いけど、僕は自分の命が大切なんだ…。」

 恐怖と友情の狭間で狼狽える他の少年が見守る中、彼はゆっくりと歩きだす。

 「はっきり言って、君は最低だよ。」

 「夏休みだってのに、薄気味悪い屋敷を探検させるし、
  薄汚い水の中を泳がせるし…。」

 確かに、リッチーの言っていることは正しい。ビルは、自分の弟が生きているなんていう妄想を信じ込んで、友達をある意味で"利用"したとも言い得る。でも…でもさ。そうなのか…リッチー…? そんな我々の気持ちを知ってか知らずか、リッチーはうず高く積まれた廃材の山に手をかける。しかし、それは、諦めのポーズでも、見下しの姿勢でもない。彼は、明らかに"武器"として適切な鉄の棒を山から引き抜き、こう言い放つ。

 「おまけに、今度はこのピエロを殺せときたもんだ…!」

 ィィィィィィヤッホーーーー!! リッチー!! カッコよすぎるやろ!! しかも! しかもである! 「な…なんだと?!」という表情のペニーワイズに対して、挨拶代わりとばかりに宣戦布告の一撃をお見舞いしたリッチーは、本作最高の名言を吐く!

 「"負け犬クラブ"へようこそ!」
 (Welcome to the "Loser's Club"!)

 最高だ。最高すぎる。もちろん、分かってるよ。リッチーがビルを罵倒し始めたときから、実はステイすることの前フリが始まったんだな、とみんな気付いている。でも、それで良いんだよ。変に外さなくていい。無駄に照れなくていい。ここ一番で"負け犬≪ヒーロー≫"が放つ"遠吠え"なんてのは、ベタベタでこそ光り輝くんだ。おまけにこれを言うのが、おしゃべりしか才能の無い(言い換えれば、"おしゃべりの力"を信じている)リッチーだと言うのが、個人的には涙腺爆発ものの感動。物理的な戦闘ではいざ知らず、こと"映画"という戦場において、彼の"台詞"という名の武器は、確実に観客を圧倒した。ちなみに、筆者が書いたリッチーの台詞は、決めの部分以外極めてうろ覚えである。再鑑賞するだけの肝っ玉が無いので、正確に覚えている人がいれば、ぜひ正解を教えてください。

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点数:89/100点
 "ホラー映画史上最高収入!"という部分については、『ストレンジャー・シングス』の後釜として上手く立ち回ったからではないのかなと思わないでもないが、それでも一本のホラー映画として"傑作"と呼ぶにやぶさかではない非常に秀逸な作品。エンドクレジットの最後でペニーワイズの「オッホホホホホ!」という不気味な笑い声が響き渡るので、出来れば席を立たずに我慢してもらいたい。なぜなら、この笑い声はただのお飾り的演出ではなく、「まだヤツは生きている…。」というれっきとした次作(大人編)への布石だからだ(エンドロール前に『IT PART ONE』と表示もされるけど。)。場内明転後、「え?これ続編あるんや?」と筆者の右方向で騒ぎ出した少年たちよ。たぶん次作は2~3年後(正確には2019年9月6日公開予定だったかしら。)になるだろうから、大人になった君たちと、今よりは少し大人になれているかもしれないこのおっさんとで、また集まろうな。信じて待ってるぜ!

(鑑賞日[初]:2017.11.11)
(劇場:MOVIXあまがさき)

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Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

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