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キャッチコピー
・英語版:No Hammer. No Problem.
・日本語版:死の女神の復讐がはじまる

 我は"神なり"。

三文あらすじ:アベンジャーズとウルトロンの戦いから2年後、神の国"アスガルド"の雷神ソー(クリス・ヘムズワース)は、様々な惑星を巡って"無限の石(インフィニティ・ストーン)"の秘密を探っていた。そんなとき、ソーの父オーディン(アンソニー・ホプキンス)によって追放されていた"死の女神"ヘラ(ケイト・ブランシェット)がアスガルドへ降り立ち、立ちはだかるソーをいとも簡単に敗北させる。宇宙をさ迷い辺境の惑星サカールに流れ着いたソーは、惑星の支配者である"グランドマスター"(ジェフ・ゴールドブラム)の下で剣闘士として見せ物の戦いを強要されるが、そこで再会した"ハルク"ことブルース・バナー(マーク・ラファロ)、かつてオーディンの守護者であった女戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)、そして、同じくヘラに敗北し流れ着いた義弟ロキ(トム・ヒドルストン)と共に"リベンジャーズ"を結成し、ヘラに対する逆襲を開始する・・・


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 日本では前回感想を書いた『IT / イット "それ"が見えたら、終わり。』と同日の11月3日(金)から公開されているアメコミ・ファン待望のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)最新作『マイティ・ソー バトルロイヤル』『IT』もそうだったが、本作もまた目を見張るヘンテコ邦題である。原題は『Thor:Ragnarok』であって、つまり、本作がガッツリとメイン・テーマにしている北欧神話の終末"ラグナロク"を冠したタイトル。キリスト教で言うところの"ハルマゲドン"だな。っていうか、別に『マイティ・ソー ラグナロク』で良かったんちゃう? 日本人にも耳馴染みのある言葉だろうし。まぁ、ちょっと中二病っぽい雰囲気が無くはないから、その辺りを嫌ったのだろうか。とはいえ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOL.2』での"リミックス事件"も記憶に新しい昨今、同じMCU作品でまた原題改悪するってのは、どうなんでしょうね。

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 まぁ、邦題の良し悪しと作品の出来不出来はまた別問題だ。前回の『IT』とは違い、世界中の"予想通りに"大ヒットしている本作は、ハッキリ言ってめちゃくちゃにおもしろかった。そして、こちらは『IT』と同様、本作もまたそのおもしろさの根元を他作品になぞらえて表現し得る一本である。すなわち、本作は言ってしまえば "『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』feat. 雷神" なんだな。目が回るほどにきらびやかな極彩色の宇宙。奇妙奇天烈なその住人たちと、有頂天外なガジェット群。後述する宇宙活劇と懐メロとの化学反応。そして、極めつけは、ソーが四苦八苦しながら結成した即席ヒーローチームの愛らしい"ボンクラ・チーム感"。ソーは一応"リベンジャーズ"なんて名乗っていたけれど、ローグでゴキゲンなそのアンサンブルは、誰がどう見たって"ガーディアンズ・オブ・アスガルド"である。

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 とはいえ、なんだよーパクりかよーと文句を垂れるのは軽率だ。『IT』が『ストレンジャー・シングス』をパクッた。これはまだギリギリ言えるかもしれない。もちろん、前回書いた通り、両作は元々同じスタート地点から分岐した作品とも言い得るから、あっちがこっちをパクッたなどと批判するのは、いささか野暮である。しかしながら、デリーとホーキンスは全く別の町なのだし、リッチーとマイクは(キャラクターとしては)全くの別人だ。要は、『IT』と『ストシン』の世界は繋がっていないのである。にも関わらず、両作はそっくり。ここにパクり談義の花咲く余地がある。しかし、本作はどうだ? ここで"MCU"が活きてくる。『マイティ・ソー』と『GOTG』は、どちらも同じ世界で繰り広げられてきた冒険だ。したがって、まぁ露骨なチーム感はさておき、宇宙に飛び出したソーの周囲の風景や雰囲気やアイテムが『GOTG』っぽくても、それは何ら非難するに値しない。『GOTG』で描かれた宇宙こそが、まさにMCUの宇宙なのだから。

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 事実、本作には、『GOTG』とのリンクがそこかしこに散見される。まずは、本作のサブ・ヴィランである"グランドマスター"『GOTG2』のエンドロールでこっそり踊っていた彼は、実は『GOTG1』に登場したベネチオ・デル・トロ演じる"コレクター"のお兄ちゃんである。この兄弟は、原作だと"宇宙的存在(コズミック・ビーイング)"というなんかヤバい野郎共らしい。『ファンタスティック・フォー2』で惑星を食べまくっていたギャラクタスもコズミック・ビーイングだったから、まぁ、宇宙におる何かしら強いヤツってことなんだろう。ちなみに、グランドマスターの居城ではディスコ調の音楽が鳴り響いていて、確かDJブースみたいなものもあったと思うのだが、ひょっとしたら『GOTG2』のエンディングでかかった名曲『Guardians Inferno』は、グランドマスター(またはそのお抱えDJ)が作曲したという設定なのかもしれないな。真偽は知らんが、そうだったら楽しい。

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 それから、"リベンジャーズ"がアスガルドに戻る手段を検討するシーンで、ヴァルキリーが"プランA"の行程を説明する際、「道中 "ザンダー "で燃料補給して…」と言っていた点も『GOTG』とのリンクという意味では特筆すべき部分。これはもちろん、『GOTG』で主戦場となったノヴァ帝国の首都(首惑星)"ザンダー"のことだろう。"リベンジャーズ"は結局"ケツの穴"をくぐるプランB を採用してしまったが、『GOTG』ファンとすれば、ぜひザンダーに立ち寄り、ライリーの娘の成長具合を確認してほしかったところである。あぁ、そういえば、MCUが満を持してリリースする集大成の最終章前編『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』は、宇宙を吹っ飛ばされてきたソーがガーディアンズのミラノ号に激突して始まるとの情報もある。確かに、アベンジャーズ・メンバーの中で一番ほいほい宇宙にお出かけしそうなのはソーだから(というか、そもそもエイリアンだし。)、本作には、次作への前フリとして"アベンジャーズとガーディアンズの橋渡し"という役割もあったわけである。

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 あとはまぁ、前作『マイティ・ソー / ダーク・ワールド』だったかでアスガルドの宝物庫が描写された際に見切れていた"インフィニティ・ガントレット"が偽物と判明する(ヘラ姉さんが壊しちゃう)、とか、エンドロール途中のおまけシーンで、宇宙をさすらうジプシーになったアスガルディアンたちが、サノス(あるいは、その部下かも)の戦艦に見つかっちゃう、などといった『インフィニティ・ウォー』への前フリも本作の見どころだろうか。あと、2016年の『ドクター・ストレンジ』以降では初めて登場したドクター・ストレンジなんかも、カンバーバッチ・ファンは要チェックである。同作のエンドロール中のおまけシーンは、実は本作でソーとストレンジが対談するシーンだったわけだ。ちなみに、みんな大好きマーベル・コミック創始者のスタン・リーおじさんは、本作ではグランドマスターが支配する流れ者の惑星サカールで登場。グランドマスターに囚われたソーが剣闘士としてコロシアムに立つに際し、彼の自慢の髪の毛を切ってしまう散髪屋(?)としてカメオ出演している。

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 さぁ、細かな部分は以上で終わりだ。本作が真に素晴らしいのは、これまた『IT』と同様、クライマックス・バトルなのである。実はソーの父オーディンが最初に創造した娘、ということは、つまりソーのお姉ちゃんでありながら、そのあまりの強さと危険思想ゆえ、オーディン自身の手によって追放された、"死の女神"ヘラ。彼女のキャラ設定がまず良いな。彼女は"死"を司る神として"死の女神"なる名を冠しているのだが、実際の戦闘スタイルはすべからくトゲトゲによる刺殺。つまり、より厳密に言えば、無の空間から無数にトゲトゲを発生させることが彼女の能力であり、"死"はその結果なのである。でも、それはそれでカッコいい。能力自体は(神にしては)決してチートではないが、その"あまりの強さ"ゆえ、彼女は"死の女神"という"異名"を持っているというわけだ。

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 では、同じくオーディンの子であり、同じく王位継承者でもあるソーはどうだろう。マイティ・ソーと言えば、誰が何と言おうとやっぱり最強のハンマー"ムジョルニア"である。アヴァン・タイトルで、アスガルドの滅亡、すなわち、ラグナロクを引き起こそうとする炎の巨人スルトと戦う際にも、ジリジリと待ちわびたファンの期待に応えるべく、ムジョルニアを存分に駆使した大アクションが展開される。ここは本当に最高。まさか予告編で使用されたレッド・ツェッペリンの『移民の歌(Immigrant Song)』が本編でも使用されると思うだろうか。『GOTG』以降、映画界には昔懐かしの楽曲を使用するブームが到来しており、その傾向は特に予告編で顕著。もうすぐ公開されるDCEU(DC・エクステンデッド・ユニバース)の『ジャスティス・リーグ』の予告編でも、ビートルズだったり、デヴィッド・ボウイだったりと、色々使われている。しかし、それを本編でも使用するのは中々稀有な例だ。しかも、こんな宇宙活劇で。スペース・オペラと懐メロのミックスという『GOTG』の大発明を、本作は実に華麗に取り込んでいる。

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 で、このアヴァンからも明らかなように、やっぱりマイティ・ソーと言えばハンマーなのである。ところが、彼は、ヘラの手でそんな最愛の相棒をものの見事に破壊されてしまう。序盤で訪れるこの衝撃展開が示唆するのは、マイティ・ソーというヒーローの"アイデンティティー"の喪失だ。まず、彼は、オーディンの第一子たるヘラの登場によって、自身の王位継承者としてのアイデンティティーを失う。その上で、自分以外の何者にも持ち上げられないはずだった最強の槌(つち)を粉々に破壊されてしまうのである。ムジョルニアが有するこの"不可侵"の性質は、これまでもネタにされたり、戦闘において実用的に使用されたり、様々にフィーチャーされてきた。そして、その性質は、まさに誰の意見にも干渉されない頑固な暴れん坊としてのソー自身を象徴するものであり、つまりは、彼のアイデンティティーの象徴でもあったわけである。以上により、ソーは、自身の"アイデンティティー"を完全に砕かれた。それでも「"俺"を"俺"足らしめる何か」が、彼には残っているだろうか…? およそ主人公の"アイデンティティー"を巡る物語の導入として、本作はこれ以上ないほど端的で適切だ。

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 このようにして、まさに丸裸にされてしまったソーは(付け加えるなら、スタン・リーのせいで自慢の髪の毛まで失ってしまった。)、辺境の惑星での粗暴な冒険を経て、新たなる仲間と自身のアイデンティティーを獲得(再確認)していく。では、果たしてソーのアイデンティティーとは何だったか。より抽象的には"王"だとか"リーダー"だとか"ヒーロー"だとか色々あるだろうが、筆者が感銘を受けたのは、ソーが死したオーディンと精神世界で会話するシーン。「でも…ハンマーが…ハンマーがないだよう…。」とふがいない息子に、かつての王はこう問いかける。

 「ソーよ。お前は "ハンマーの神 "か?」

 この台詞は、取りようによってはギャグにも思える。ハンマーの強さに頼りきり、ことあるごとにブンブンブンブン振り回していたソーを"ハンマーの神"といじった経験は、地球人なら誰しも一度はあるだろう。しかし、本作でソーと対になる存在としてのヘラと比較したとき、オーディンの問いかけは確固たるロジックに基づいた名言へと昇華される。

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 つまり、こういうことだ。ヘラは、その能力自体は必ずしも"死"でないにも関わらず、相対した敵をすべからく死亡させるだけの強さを備えているがゆえ、"死の女神"と呼ばれていた。直接的に死を司っていない彼女は、言うなれば事実上の"死の女神"だったわけである。筆者もつい先ほどこの"異名"をカッコいいと称賛したが、我々人間の情緒からすれば、その感想は決して間違ってはいないと思う。しかし、それでいいのだろうか? ヘラは、オーディンは、ソーは、一体何者だ? 答えはもちろん"神"。であるならば、ヘラの"異名"はカッコよくもなんともない。なぜなら、神とは"物事を司る存在"なのであって、"死"そのものを直接司れていない女神は、"死の女神"として完全に失格だからである。オーディンの言い方を借りるなら、ヘラは所詮"トゲトゲの女神"でしかない。

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 一方のソー。彼は気付いた。自分の本当の武器は何か。自分は何の神だったのか。自分のアイデンティティーとは、一体何だったのか。英語版キャッチコピーの通り「No Hummer. No Problem.」の境地に至り、自らの身に雷を纏う"雷神"マイティ・ソー。こうなった以上、神としての格は圧倒的にソーの方が上。まぁ、実際には、アスガルドから無限のエネルギーを得るヘラをアスガルドごと葬り去るべく、あえてスルトを解放し"ラグナロク"を完遂せしめる、という手段が取られるのだが。とはいえ、この「"アスガルド"は場所ではなく"民"だから、民を守るためにラグナロク起こしちゃえ!」という展開は、先ほど筆者がダラダラと述べたような"名"と"実"のロジックを貫徹させた、最高に納得感の強い落としどころである。

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 以上は、本作のクライマックス・バトルについて、エンドロール中、あるいは、家路に着いてからしみじみと考えて味わうべきポイントたち。一方、本作のクライマックス・バトルには、観た途端に鳥肌がささくれ立つ、熱狂必至の瞬発的な見せ場もある。まずは、満を持してのアンコール、『移民の歌』アゲイン。これはシビれたね。真の力を解放し、ヘラとのリベンジ・マッチに挑むソー。ヴァリヴァリと無数の雷撃を発するその様は、まさに「我は"神なり"。」といった風格。台詞や細かな展開を覚えていないのだが、要約すると、

 「姉さん、あんたを倒しに来たぜ。」

 「懲りない弟だ。お前じゃあ、私には勝てないよ。」

 「それは…どうかな!」 ヴァリヴァリ!

 デッテケテケッテ!デッテケテケッテ!デッテケテケッテ!デッテケアアア~~……ア!!!

 この絶妙の、これ以上ないタイミングでのBGM挿入!(最後の"デッテケテケッテ~…"は『移民の歌』のイントロです。念のため。)しかも、『移民の歌』ってのがまた、北欧から新世界を目指すヴァイキングを歌った曲なんだよな!ケレン味たっぷりのスローモーションも相まって、マジで激ヤバな決めシーンになっている。先述の通り、本作のようなスペース・オペラ、または宇宙活劇に地球の懐メロを乗せ、しかも、歌詞とストーリーを(ある程度)リンクさせるというやり方は、『GOTG』の発明だ。本作では、その"特許"を持つMCUが最高に上手く『GOTG』の"量産化"に成功した例として、末永く語り継がれていくことであろう。

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 本作のクライマックス・バトルは、ここからあと二つ、最高の展開を提供する。既に『移民の歌』で興奮し尽くしていた筆者は、ガクガクブルブルと発狂しながら何とか鑑賞を続けた。まず一つは、かつてオーディンに仕える戦闘女神部隊の兵士だったにも関わらず、自分以外の仲間を全て失ったヘラとの戦い以降、辺境の惑星サカールで飲んだくれの隠遁生活を送っていたヴァルキリー。これまたスローモーションでお送りされる彼女のウォーキング・シーンが激ヤバ。

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 サカールから脱出する際、"リベンジャーズ"は、グランドマスターのプライベート・ジェットを強奪して飛び立つ。追手を交わしながら超次元のワームホール、通称"ケツの穴"を目指すチェイス・シーンは、それこそ『GOTG』のノーウェアのような非常に楽しいくだり。ここで、彼らの乗っているジェットがグランドマスターの"乱行用の私艇"だったことが分かったり、"ハルク"ことブルース・バナーが闇雲にボタンを押すとノリノリなバースデー・ソングが鳴り響き、船外に山のような花火が射出される、というガジェットも、しっかり笑えて十分華やか。おまけに、この花火を目眩ましにして追手を撃墜したりもするので、この"乱行船"については、サカール脱出までに一応の処理が終わっている。と誰もが思うだろう。

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 この前フリがあってのクライマックス・バトル。復活の雷神がヘラとの再戦を開始し、カメラは他の"リベンジャーズ"たちへ移っていく。スローモーションの決め画の中、"乱行船"から歩みを進めるヴァルキリー!その後ろでは、誠に華やかな花火の乱舞!忌まわしき過去を乗り越え、今復讐せんとニヤリと笑う戦いの女神!もちろん、バックでは「アアア~~…ア!」が流れている!さいこーーー!!!しかも、よくよく考えてみれば、"乱行船"からは引き続きバースデー・ソングが流れているはずなのである。これはもちろん、ソーとヴァルキリー、再び誕生した二人の神に対する至上の花むけ。さいこーーー!!!

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 クライマックス・バトルにおけるあと一つの激ヤバ展開は、世界中のボンクラたちに送る究極にベタで無上に胸踊る"負け犬のラスト・ダンス"。おそらくはその千里眼を使ってアスガルドの危機をいち早く察知し、スタコラサッサと避難したのであろう(前作で身を落としたのだったかもしれないが。)アスガルドの門番ヘイムダル(イドリス・エルバ)に代わって、虹の橋の守衛に就任したダメ男スカージ(カール・アーバン)。ナヨナヨしたタイプのダメ男ではなく、職場に美女を呼びつけて、色んな星からの戦利品を見せびらかすような調子乗りの小物である。地球のテキサスで回収した二丁のM16アサルトライフルを得意気に構え、「こっちが "デス "で、こっちが "トロイ "。二つ合わせて "デストロイ "だ!」という渾身のボケをかますも、ズルズルにスベってしまうしょーもないハゲオヤジ。

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 そんなスカージは、ヘラの侵略時、いち早くその手下になるという姑息さで生き延びる。もちろん、かつての仲間を虐げることに抵抗が無いわけではない。ヘラから"エクスキューショナー(処刑人)"に任命された彼は、アスガルドの民を集めてヘイムダルの隠れ家を問いただすのだが、胸中で葛藤渦巻く中、見せしめに一人の首をはねかけた刹那、邪魔(「待て!居場所を教える!」)が入るというお約束。ありがちで陳腐な小悪党である。ソー復活のクライマックス時にも、ほっかむりを被って他の民たちに紛れ、脱出船に乗り込むという小物っぷり。しかし、彼が脱出船に乗船したということは、今後何らかの展開が待っているのだろう。まぁ、よし!脱出できる!という局面で一悶着起こすか、ヤバい!脱出できない!という局面でその身を犠牲にするか。どっちかでしょうね。いずれにせよ、ありがちである。

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 結局のところは、後者であった。飛び立った脱出船にヘラの特大トゲトゲが橋をかけ、雑兵たちが雪崩れ込んでくるピンチ。彼は、卑怯なほっかむりを脱ぎ捨て、"アスガルドの門番"というその本来の肩書きに命を吹き込む。うぃー、がんばれーなんて片手間な声援を送っていた筆者がぶちのめされたのは、この次。雑兵とはいえ、敵は鋭利な武器を携えている。一方のスカージは? 決死の形相で立ち向かわんとする彼もまた、携えているのである。その手には、太陽系のしがない惑星で作られた二丁のマシンガンが…!。片方の手に"デス"を、もう片方に"トロイ"を、そして胸には"門番"としての揺るぎ無いアイデンティティーを携えたスカージ。光栄にもその勇姿と最期を看取ることができた筆者は、あまりの感動から泣き笑いの状態となり、挙げ句の果てにはひざまずいてしまった。なぜなら、そこには紛れもなく"破壊の神"の姿があったからである。

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 というわけで、『マイティ・ソー』シリーズとしては、興収面で初めてMCUのトップ10圏内に躍り出た本作は、様々な神々が自身のアイデンティティーを再確認するという"現代版神話"の傑作なのであった。

点数:90/100点
 『ルパン vs 複製人間』しかり、『007 スカイフォール』しかり、そして、本作しかり。やっぱり"アイデンティティー探求譚"というのはおもしろいな。あと、やっぱり本作が素晴らしかったのは、"ヒーロー映画"としてのアイデンティティーもしっかり再確認しているから。『ダークナイト』以降の根暗ヒーローブームの渦中でも、『アイアンマン』だったり、『GOTG』だったりといった"バカらしくカッコいいヒーロー"を描いてきたMCU。取り分け『GOTG』で最高だったのは、ロケットの「Oh…Yeah…」や『Cherry Bomb』のワイルド・バンチ歩きに代表される"照れないカッコよさ"だったと思う。つまり、変に"リアル"な外しを入れたりせず、ベタだろうがなんだろうが、正々堂々とこれ見よがしにカッコいい演出をやりきるという意気込みだ。そして、それこそが、原初的な"ヒーロー"のアイデンティティーだと筆者は信じる。おぉ…彼らも俺らと同じく悩んでいるのだなぁ…。そんな同情なんて、ヒーローには必要ない。我々には到底なし得ないことを平然とやってのける圧倒的カリスマ。それが、正しい"ヒーロー"や"神"の姿なのではないだろうか。

(鑑賞日[初]:2017.11.12)
(劇場:MOVIXあまがさき)

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Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

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