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キャッチコピー
・英語版:unknown
・日本語版:俺がやる。

 熱いよ…!
 お前の…!
 "涙"が…!

三文あらすじ:21世紀、人口爆発を迎えた人類は、火星移住計画の第一段階としてテラフォーミングを行うため、コケとゴキブリを送り込む。それから500年、ゴキブリ駆除のため火星に降り立ったワケありの隊員15名は、宇宙環境で異常進化を遂げ最強生物と化したゴキブリと対峙。絶体絶命の状況の中、彼らは、地球を発つ前に移植された昆虫のDNAによって"変異"し、天敵との死闘に挑むのだが・・・


~*~*~*~


 日頃あまり邦画を鑑賞しない筆者だが、実は明日(日付変わって本日)12/1(金)のファースト・デイから公開される『鋼の錬金術師』を観に行くか少し迷っている。もちろん、他の邦画作品と比較して同作の前評判がすこぶる高いから…というわけではない(少なくとも、筆者の耳にはそういった評判は届いていない。)。なんだかふと、そろそろ日本も本格的に"ユニバース"やればいいのに…と思ったからだ。

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 おおげさでなく、現時点でこの地球のエンターテイメントを一手に担っているのは、"シネマティック・ユニバース"である。近頃特に話題沸騰なのは、やはりパート1とパート2の二部作を以ていったんの一区切りとし、数名の旧メンバー退場と色んな新メンバー加入の上での新章構想が告知されたばかりの『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』。ちょうど昨日(日付変わって一昨日)、遂に公開された同作のトレイラーがもう本当にワクワクしすぎてゲロ吐きそうな仕上がりなので、もし未見の人がいればすぐにでも観てほしい。



 で、そんな最強の新作を引っ提げたユニバース界(?)の王者"MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)"を筆頭に、ちょっと存続が危ぶまれているとはいえ、やはり未だMCUとはライバル関係にある"DCEU(DC・エクステンデッド・ユニバース)"なんかも包含した"アメリカン・コミック"という映画のジャンルは、今や確固たる"産業"のひとつにまで昇華されたと言っていいと思う。では、我が国日本は、そんな世界的な盛り上がりを「文化が違いますから…」と指をくわえて見ているしかないのか。そんなわけはない。あるだろう、日本にも。"MANGA"という最強のコンテンツが。

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 古来より、日本ではアメコミなんて比較にならないほど、コミックが"真剣に"作られてきた。まぁ、だからこそ各作品単体での完結した完成度が高く、アメコミのようなクロス・オーバーを許容しづらいという部分はあるだろう。しかし、映画の元ネタという意味では、圧倒的にしっかりした素材が揃っているのである。だのに、オチオチしているものだから、コンテンツに飢えたハリウッドがガブガブ盗んでいく。しかも、今のところほとんど全てが圧倒的な"原作レイプ"だ。かつては『北斗の拳』や『DRAGON BALL』、今年は『GHOST IN THE SHELL』もリメイクされたし、今後は『AKIRA』とか『COBRA』とか『銃夢』とか、本当にいっぱい盗まれる予定(原作が"漫画"でないものも含めれば、もっとずっと膨大になる。)。"ハリウッド版"があってももちろんいい。でも、やはり映画ファンとしては、確固たる和製劇場版があってこその海外リメイクだ。

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 当然、我が国の映画製作従事者たちはバカじゃない。こんなどこの誰かも分からない一映画ファンに言われなくても、そんなことはとっくの昔に考えているだろう。実際、来年の春に公開予定の『曇天に笑う』の予告編は、かなり露骨に "『るろうに剣心』、『銀魂』と同じ時代にもう一人ヒーローがいた…! "と触れ回る。やっちゃえばいいのにな。剣心とか銀さんが共演する"JCU(ジャンプ・シネマティック・ユニバース)"。まぁ、『曇天』の原作はどうやらジャンプではないようだが、よくよく思い返せば、『DRAGON BALL』なんかはかつてアラレちゃんとのクロス・オーバー回があったわけだし、やっぱり日本でもユニバースをやってやれないことはないだろう。

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 ただ、それを成立させるためには、まず各作品単体での大ヒット、正確には作品の高い完成度が必須条件だ。未だ"子供向け"、あるいは"オタク向け"というイメージがどうしても拭い切れていない日本の漫画実写化を、大人も真剣に信じられるレベルにまで昇華したブレイク・スルーな一本。つまり、ハリウッド映画にスライドさせて言えば、日本映画界は(少なくとも、筆者個人は)、今、和製サム・ライミ版『スパイダーマン』の出現を切望しているのである。確かに、『るろ剣』や『銀魂』の実写化は、割りと良かったらしい。しかし、やはり我々SF映画好き、アメコミ映画好きからすれば、我が国に元来親和性がある時代劇ヒーローだけではなく、"ヒーローのイデア"たる変身ヒーローで一発ぶちあげてもらいたい。その点、『ウルトラマン』の現代版たる『進撃の巨人』は、華々しく散っていった。ならば、後に残されたのは、『仮面ライダー』の現代版たる『テラフォーマーズ』しか無いではないか…!

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 …というモゴモゴした考えの下、筆者は、本作に手をつけたわけである。そんな本作は、みなさんご存知の通り、原作・原案を貴家悠が、作画を橘賢一が務め、大人向けジャンプ系列で絶賛連載中の同名大人気漫画が元ネタ。筆者が熱中して読んでいたのはゴキブリが地球にやってくる(正確には、実はいたことが分かる)直前くらいまでだから、コアなファンというわけでは決してない。しかしながら、火星に解き放ったゴキブリが異常進化を遂げ人類に襲いかかるという極めてシンプルかつ魅力的なプロット。敵に抗するため人間側は虫に変態するという『仮面ライダー』的な熱いギミック。そして、おそらくは『ジョジョ』や『HUNTER×HUNTER』あたりから我々ライトな漫画ファンにも当たり前となった画、ストーリー展開両面におけるシビアな描写。あるいは、随分前(これも『ジョジョ』以降なのかな。)から少年漫画におけるギミック上のメイン・ストリームとなっている能力者バトルものとしての側面。筆者は、そんな本作を構成する様々な要素に強く惹かれた者のひとりである。

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 当然のことながら、筆者同様の心持ちで本作の公開を楽しみに待っていた原作ファンは多かっただろう。だからこそ、本作にはある意味で日本映画界の総力と言ってもいいくらいの豪華キャストが投入された。主人公であるハチ男・小町小吉は伊藤英明。彼の幼なじみである蛾女・秋田奈々緒は武井咲。最終的には小吉と"友達"になるバッタ男・武藤仁は山P。重要なトリックスターであるユスリカ男・蛭間一郎には山田孝之があてがわれ、同じくこの作戦の裏を知るミステリアスなゴキブリバチ女・森木明日香には、我々"カイジュウ"好きにとって『パシフィック・リム』の森マコとしてお馴染みの菊地凛子が採用された。それどころか、その裏を全て司る黒幕のマッド・サイエンティストの本多晃博士を押しも押されぬスター俳優 小栗旬が担当するのだから、本当に目が回る。他にも、ゴミムシ男のゴッド・リーにケイン・コスギ、ゾウムシ女・大迫空衣に篠田麻里子、ハネカクシ男・手塚俊治に滝藤賢一、クワガタ女・連城マリアに太田莉菜、カマキリ女・大張美奈に小池栄子と、中々常軌を逸した人気者たちの詰め合わせ具合。最後に、そんな彼らをまとめあげるのが、マジで世界中にいっぱいファンがいる巨匠 三池崇史である。

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 そんなにもスーパースターが集ったのなら、当然本作は日本版『アベンジャーズ』と形容し得る仕上がりに……ならないのが邦画なのである("邦画"とひとくくりにするのは良くないかもしれないが。)。2016年の春に封切られた本作は、公開されるや否や爆発的な酷評を受けた。当時、まぁ時間あったら観に行くかーと思っていた筆者は、うおぉ…やっぱやーめた!と踵を返したものだ。今思い返しても、あのとき世間を満たしていた"これは絶対に観てはいけない映画感"はちょっと異常だったように思う。まぁ、きっと日頃映画なんかろくに観もしない輩たちが、面白がって騒ぎ立てたのがデカいんだとは思うけどな(もちろん、日頃邦画をほとんど観ない筆者とて、この場合は同類である。)。

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 では、そこまでおもんばかってやるなら、本作は良作だったのだな?!と詰め寄られたら、それは当然、めっそうもない!と恐縮するしかない。本作は、やっぱりどうしたって駄作だと思う。ライト・リーダーである筆者には原作との細かな比較はできないが、通常の映画作品として観ても、そこにはいくつもの不満点が転がっている。まずは、伊藤英明の演技な。こんなんやったっけ? こんなに下手くそやった? 確かに『海猿』での朴訥さは下手さの裏返しだったのかもしれないし、本作と同じく三池崇史が監督した『悪の教典』でのサイコパスさは下手さゆえの怖さだったのかもしれない。でもさ。いくらなんでも、本作で伊藤英明が披露する演技は、本当に魅力が無い。原作において最も初めの、そして、それだけに最も衝撃的だった"奈々緒ちゃん首折られシーン"でも、彼はただ記号的に「ナニヤッテンダテメー」と叫ぶだけ。熱い涙とまではいかなくても、もっと真剣に怒れよ。その点、山Pとか小池栄子とかは結構頑張っているのに…。

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 あとは、やっぱり"原作レイプ"ですかね。基本的に原作に忠実な本作であるが、クライマックスで一点、決定的な映画オリジナル展開が待っている。それは、"蛾人間モスマン"…ならぬ、"蛾女モスウーマン"となった奈々緒が、絶対絶命の小吉と仁の元へ現れるという展開。まず、これ、理屈が分かんないのよ。先述したが、奈々緒は火星に降りたって早々、原作通り首ポキされる。その後、船内の一室に安置される奈々緒。確かに、彼女の死体から何やら蛾の糸がフヨフヨ伸びていくという文字通りの伏線はあった。でも、なぜ蘇生する? じゃあ、百歩譲って、奈々緒は死んだが、彼女の中の虫の部分が最後の力を振り絞りその体を動かしたのだ、としようか。それなら納得できなくもないが、以下の通り、なんか描き方がアヤフヤなのである。

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 彼女は羽から大量の鱗粉を撒き散らし、ゴキブリの発砲を引き金とする粉塵爆発を誘発する。この"粉塵爆発"っていうのも…。仕組みを詳しく知っているわけじゃないけれど、粉塵爆発ってそもそも粉末が相当の高密度で充満していないと起こらないんじゃないのか。いくら覚醒したモスウーマンだからといって、あんなにも広大に開けた平原で粉塵爆発を起こすほどの鱗粉をバラまけるとは思えない。だいたいからして、粉塵爆発って…ダサくない? 大抵の大人が中二病真っ盛りのときに知るべきギミックなんだし。おまけに、粉塵爆発程度じゃ、たぶんゴキブリは死なないよな? 序盤でゴッド・リーの高温ジェット・バーナーを至近距離でくらっても、ゴキブリはビクともしていなかった。そんな諸々を含め、粉塵爆発展開にはクライマックスとしてのカタルシスが無い。

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 まぁ、とりあえず、それは置いておこう。ダサかろうが矛盾してようが、奈々緒は大爆発を起こした。で、自らもその爆発に巻き込まれそうになる。当然、小吉は「おりゃー!(棒読み)」と飛び上がって奈々緒を助けようとするのだが、ここで仁が「奈々緒はもう死んだんだー!」と叫びながら自慢の脚力で更に速く飛び上がり、それを阻止するのである。確かに、あのままでは、奈々緒も小吉も二人とも爆風に飲まれていたのかもしれない。ということは、仁は小吉を助けたことになる。でも、奈々緒が可哀想すぎない? 例え虫の部分が気合いで動いていたのだとしても、よほどでなければ小吉の腕の中で死なせてあげようよ。あるいは、粉塵爆発を起こした奈々緒は実体の無い幻だった。これなら比較的すんなり理解できる。粉塵爆発を起こした奈々緒は気合いで体を動かしたのではなく、気合いで霊体となり愛しの小吉の元へ馳せ参じた。それはやはり、粉塵爆発を起こした奈々緒が強く強く小吉のことを……粉塵爆発! やっぱり、実体としての粉塵がバラまかれている以上、奈々緒は実体としてそこにいたとしか思えない。じゃあ、やっぱり、小吉の"ホモだち"である仁が嫉妬半分で奈々緒を見捨てた。そんな風にも思えてしまうんだよな。

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 その他も言い出せば不満は山盛りある。ありすぎてヤバいからもう止めておくが、最後にひとつ。蛭間の回想シーンで彼の弟が「ひもじいよー…。」って言うところ。これは酷い。人は、本当にひもじいとき、「ひもじい」と言うのだろうか。まぁ、筆者はすごく嫌いだが、遊んだりしゃべったりしてる最中に「楽しいな~」とか言うヤツもいるくらいだから、ひょっとしたらあり得るのか(よく言うウケたときの「ウケる~」も同じ。)。あと、ゴキンゴキンに『ブレードランナー』をパクった冒頭の市街地チェイスがダサいとか、ブリンブリンに『エイリアン』をパクった諸々(あからさまなドリンキー・バードとか)がダサい、という不満もある。あ、三つも言ってしまった。もういいや、忘れよう。以上より、本作を観る限りにおいては、やはりまだまだ邦画での"シネマティック・ユニバース"は難しそうに思える。まぁ、ゴキブリだって時間をかければ直立二足歩行ができるようになるのだから、気長にゆっくり……500年くらい待ってみようか。

点数:49/100点
 色々と独善的な粗探しをしたが、ハードルを下げて観れば、正直あの当時言われていたほどの悪印象は受けなかった。こんな感じの理不尽でダサい作品は、邦画には他にもいっぱいある(もちろん、道理に適ったカッコいい邦画も数多あるが。)。とはいえ、海の向こうのヒーローたちと比べてしまえば、本当に情けなく、涙がこみ上げてくるのもまた事実。それでも筆者は、この熱いむき出しの"涙(いかり)"が乾く日を心待ちにするのである。

(鑑賞日[初]:2017.11.21)

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Posted byMr.Alan Smithee

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