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・英語版:Any objections?
・日本語版:拝啓、ジョージ・ルーカス様。"遥か彼方の銀河系"は誰のものですか? その創造者? それとも、それを心から愛するファンのもの?

 May The Force Be With Me & You &…

三文あらすじ:地球が銀河に誇る傑作SFサーガ『スター・ウォーズ』。1977年の第一作公開後、同作によってその人生を狂わされてしまった熱狂的なファンたちが、作品や監督であるジョージ・ルーカスへの愛憎を語る。果たして、映画作品は、監督のものか、それとも、人々のものなのか・・・


~*~*~*~


 いよいよだ。いよいよ2日後に迫った『スター・ウォーズ』最新作『最後のジェダイ』の公開日。ワクワクし過ぎてこの一週間よく眠れていない筆者は、14日の24:00~というなんとも祭り感の強い前夜祭回に実弟と赴く予定である。本当は、同日18:30~の日本最速前夜祭特別上映を観たかったのだが、筆者がその存在に気付いた頃、TOHOシネマズ梅田のスクリーン1は733名ものジェダイで既に埋まっていた。やっぱり、鑑賞者特典である全8エピソード分のポスターはデカいよなぁ。まぁ、それは、次回、エピソード9のときに改めて頑張るとしよう(あれば、だが。)。というわけで、個人的にエピソード1~7、及び『ローグ・ワン』の復習を終えた現状、焦燥感を少しでも紛らわすために今回感想を書くのは、スター・ウォーズ・ファンのためのスター・ウォーズ・ファンのドキュメンタリー、『ピープル vs ジョージ・ルーカス』

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 まず、みなさんは、"スター・ウォーズに呪われた世代"が存在することをご存知だろうか。もちろん、最も広い意味で言えば、それは有史以来この地球に生まれた全世代だ。『スター・ウォーズ』以前に天寿を全うした世代は、『スター・ウォーズ』を観ることができなかったという点で呪われているし、旧3部作直撃世代は、その後の人生を狂わされてしまったという点で呪われている。しかし、ここで筆者が特筆したいのは、大掴みに言って80年代中頃から90年代初頭生まれの世代、言うなれば"新3部作世代"についてである。筆者も含め、この辺りに生まれた少年少女は、小学生の後半から中学生という、人生の中で最もアドベンチャーを享受すべき年頃に新3部作と出会った。そう、"あの"新3部作である。こましゃっくれた政治的な駆け引きや嘘みたいに古臭いロマンス、または、一様に能面を被らされたかのような無表情なキャラクターたち、そして、悪の権化ジャー・ジャー・ビンクス。そんな様々な要素がいまだクソミソに酷評され続けているプリクエルを"初めての『スター・ウォーズ』"としてリアル・タイムで劇場鑑賞したのが、我々"新3部作世代"だ。

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 筆者は、あのときの世間の盛り上がりを今でも覚えている。本国アメリカではいわゆる"スター・ウォーズ休暇"による欠勤者が数百万人にも上り、日本でもワールド・カップなんか目じゃないくらい、みんなが熱狂していた。旧3部作をリアル・タイムで知らない我々は、この公開前、公開直後の盛り上がりを目の当たりにし、「おぉ!これが "スター・ウォーズ "か!」とワクワクする。やっと追い付けた。やっと"救われた"。およそあらゆる世代の映画ファンにとって、『スター・ウォーズ』をリアル・タイムで知らないということは、大げさでなく"罪"である。もちろん、他にも後追いを悔やむべき名作は数多ある。『市民ケーン』を劇場で観たか? 観ていない。『ゴッドファーザー』は? いいえ。しかし、『スター・ウォーズ』は別格だ。観た者の人生を狂わせる作品を"カルト映画"と呼ぶのであれば、映画史上最大最強のカルト映画こそが『スター・ウォーズ』に他ならない。いくら、そのとき生まれてませんでしたから!と言い訳しても、いくら、でもパッケージで繰り返し観たよ!と自分に言い聞かせても、"本当の『スター・ウォーズ』"を知らない我々は、心のどこかで"映画ファンとしての負い目"を感じている。

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 だから、プリクエルの製作発表は我々にとっての"救い"だったんだ。公開前後の混乱と熱狂をも含めた"本物の『スター・ウォーズ』"をやっと体験できる。数多のオールド・ファンたちと共に作品を愛で、多少の突っ込みどころを楽しんだりしながら、後世のパダワンたちに「あ、プリクエルのとき生まれてなかったんや? いやぁ、残念だなぁ。」なんて先輩風を吹かせる。そうやって始めて、我々は、やっと"本物の映画ファン"になることができるのである。そんな風に考えていた筆者のような哀れな子羊は、世界中にごまんといただろう。しかし、既にご承知の通り、それはぬか喜びだった。ファンが突き上げた拳には次々と中指が立ち、やり場の無い歓声はことごとく非難の怒声へと変わる。ここでポイントなのは、我々"新3部作世代"は、実はエピソード1にそれなりの感銘を受けた、という点。だって、知らないんだよ。もちろん、ビデオではちゃんと観ているけれど、"本物の『スター・ウォーズ』"は、これが初めてなんだ。そんな我々にとって、当時の最新技術を駆使しためくるめく冒険活劇は、十二分に魅力的だった。キャラクターが全員何考えてるか分からん。通商連合とかそんなんいる? とにかく、ジャー・ジャーがウザい。そんな"本物のファン"たちが感じた問題点は、やっと与えられた救いの手にすがり付く我々の曇った目には、映っていなかった。そりゃ、客観的な見る目の無さを指摘されればそれまでだが、無理だよ、それは。

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 だから、エピソード1を鑑賞した筆者は、心の底からすっかり興奮し、我が実弟とジェダイごっこに興じていたのである。あと、ペプシのボトル・キャップな。筆者が恐る恐る購入して当てたのは、キット・フィストーという緑色でタコの足みたいな髪型のジェダイ。初対面時こそ、なんじゃコイツ?!と驚いたものの、すぐさま「これが俺の "推しジェダイ "だ!」と宣言し(当時は"推し"なんて言葉は無かったけれど)、大切にディスプレイして毎日眺めていたものだ。しかし、そんな恍惚の日々は長く続かなかった。我々はやがて気付く。あれ…これはどうやら…違うっぽいぞ…? と。

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 裏切りだよ、これは。今回こそは自分も当事者だ!と舞い上がっていた我々は、結局のところ、"旧3部作世代"が抱く怒りを共有できず、以前よりもっと部外者意識を強めることになった。筆者に限っては、一緒に映画を観に行く友人や映画の話ができる弟がいたからまだ一歩踏みとどまったが、中にはプリクエル騒動を経て『スター・ウォーズ』自体に失望してしまった者や、もっと進んで映画ファン自体を止めてしまったという者がいてもおかしくない。アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーになったかを描いたプリクエルは、あたかもその内容とシンクロするかのように、"新3部作世代"を映画のダーク・サイドに叩き落としたのである。ずいぶん長くなったが、そんなわけで、筆者くらいの歳のおっさん、おばはんたちは、"『スター・ウォーズ』に呪われた世代"だと筆者は常々思っていた。

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 あれから何年経っただろうか。恋を知り、遊びを知り、社会の世知辛さなんかも知ることで、あの頃がまさに"遠い昔"になった我々は、ある日、"新たなる希望"に出会う。それが、ディズニー傘下で再スタートした新トリロジーの第一作『フォースの覚醒』だった。行ったよ、筆者は。もうあんな思いをするのは二度とゴメンだ。そう頭の片隅で歯ぎしりしながら、全世界同時上映時間である2015年12月18日18:30、筆者はTOHOシネマズ伊丹にいた。そして、今振り返ってみると、あの日、筆者は本当の意味で救われたのだと思う。大人になってから初めて体験したあのお祭り感。公開後も熱狂を維持し続けるオールド・ファンに混じって、我々は遂に"真の映画ファン"となった。特に、自分がすっかりオールド・ファンの一員になったのだということを実感させてくれたのは、終幕後みなが満足気に帰路に着く中、まだ5歳くらいといった小さな女の子が彼女の父親に対して発したこの言葉だった。

 「お父さん、あの "光る剣 "カッコいい!」

 彼女は、"ライト・セーバー"という名称を知らなかった。当然、ルーカスが"勝手に"手直しを加えた"特別編"に憤るようなギークでもなければ、自らの編集版をネットにアップするようなナードでもないだろう。彼女はただ、『スター・ウォーズ』好きな父に連れられてやってきただけだ。しかし、彼女にとって名も無き銀河の物語は、たった2~3時間の内にその小さなハートをものの見事に鷲掴みにしたのである。そうか…これが"スター・ウォーズ"なのか…。幼き我が娘を見つめながらポロポロと涙をこぼすおっさんに、彼女の父親はやんごとなき危機感を抱いていたことと思う。でも、筆者は泣き続けた。ダース・ベイダーやストーム・トルーパーのコスプレをしたおっさんが右往左往し、タイトル・ロールと同時に会場中が万雷の拍手に包まれ、その暗闇の中では何本もの持参されたライト・セーバーが掲げられ、そして、最後には、まだ年端もいかぬジェダイの"『スター・ウォーズ』人生"が始まった瞬間を目の当たりにする。そんな紛れもない"本物の"『スター・ウォーズ』体験。筆者は、そこにいたのだから。

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 …あれ? 何の話だ? そうだ、『ピープル vs ジョージ・ルーカス』の話だった。まぁ、要約すれば、以上で筆者がトロトロと述べたような"痛々しいファンの戯れ言"を数珠繋ぎしていく作品。その合間に、ファンによる膨大な量の二次創作映像が挿入される。今、筆者は本作に登場するファンたちを指して"痛々しい"と表現したが、それは決して見下した形容ではない。筆者のようなパダワンなど全く比較にならないくらい、彼らは『スター・ウォーズ』を深く深く、筆者より少なくとも12パーセクは深く愛している。その人生は嘘偽りなく『スター・ウォーズ』一色。特に、フェイ・アナスタシアというおばさんはヤバい。壁一面に飾られたフィギュアの前で、彼女は臆面もなく述べる。「『スター・ウォーズ』は私の人生を台無しにした。夫を奪い、息子を奪い、貯金も全て食い潰した…。」

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 そんなファンたちの姿や主張は、映画に興味のない大人たちにとって、戯れ言以外の何ものでもなかろう。良い大人が何を言っているのか。全てはただの現実逃避ではないか。しかし、筆者は、何回観ても号泣に近いくらいむせび泣いてしまう。彼らの主張が子供じみていればいるほど、彼らの論旨が荒唐無稽であればあるほど、嗚咽を禁じ得ない。それはもちろん、そこに同志の姿を見て、俺は孤独じゃなかったんだ、と思えるから。そして、仮に『スター・ウォーズ』を抜きにしても、そんなにまであるひとつの事柄を愛せる彼らを心の底から尊敬するからである。断言するが、本作を見てファンたちをバカにするようなヤツらは、"自分"を持っていないクソ野郎だ。サッカーでもいいよ。サーフィンでもいい。愛を注ぐ対象が違えど、何かを本当に愛している人は、彼らをバカにできないはずなのである。

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 実際、筆者も知人に好きな映画の話を熱く語り、半ば嘲笑されたという経験がある。そんなとき、筆者は決まって聞き返す。「あぁ、じゃあ、あなたは何が好きなんですか?」 会ったことがない。その問いに対して、水を得た魚や動力ケーブルを得たマイノックのようにとうとうと話し出すナイス・ガイに、筆者は今だかつて会ったことがない。みな一拍の逡巡の後、「いやぁ…そこまで好きなもんは無いけど…。」とお茶を濁す。まただ。また一人ぼっち。もちろん、これはそもそもの交遊関係が非常に狭い筆者の不徳もあるのだが、しかし、いや、だからこそ、筆者は本作を観て毎回号泣し、劇場で彼らと同じ空間を共有できるという事実に痛く感動するのである。

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 …あれ? 何の話だ? まぁ、とにかく、明日24:00からの『最後のジェダイ』を梅田で観る!という"新3部作世代"のジェダイのみなさん。傑作でも駄作でも、わたしとあなたでこの世紀のパーティーを心の底から楽しみましょう。

点数:80/100点
 今回はなんだかいつも以上に話がそれて、私的な思い出ばかり書き連ねてしまった。とにかく、ワールド・プレミアが終了し、関係者からの感想が次々と出てきている現状。もちろん、ネタバレはないのだが、それらをかいつまんで読んでみると、どうやら『最後のジェダイ』は、前作に比べて従来の『スター・ウォーズ』らしさは無くなっているが、映画としての出来は上、ということらしい。今思えば『フォースの覚醒』は少し旧3部作オマージュが露骨すぎたキライもあるから、これはある意味で望ましい事態ではないだろうか。本当に楽しみだ。あとはもう、そのときまで怪我や風邪など無きよう祈るだけ。というわけで、わたしとあなたと……そうだ、可愛すぎる海鳥のポーグが、フォースとともにあらんことを。

(鑑賞日:2017.12.12)

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Posted byMr.Alan Smithee

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