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キャッチコピー
・英語版:Justice has a number.
・日本語版:俺たち7人の流儀で、裁く。

 一輪の花に捧げる七つの正義。

三文あらすじ:冷酷非道な悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)に支配された町。夫を殺されたエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、賞金稼ぎのサム・チザム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)らワケありのアウトロー7人に正義のための復讐を依頼する。人種も年齢もまるで異なる即席チームの男たちは、圧倒的な人数と武器を誇る敵を前に一歩もひるむことなく、拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれの武器を手に、命がけの戦いに挑んでいく・・・


~*~*~*~


 世界では2016年の秋に、日本では昨年2017年の1月末頃から公開されたウェスタン映画『マグニフィセント・セブン』。個人的には、最近せっせと鑑賞している他の作品と同様、本作もまた劇場鑑賞の機を逸してしまった2017年公開作品の一本である。加えて、これまた個人的な話だが、筆者は、昨年の7月に結婚式の余興でリーダーを務め、その際、7人組の実に素人臭い、しかし同時に(あくまで本人にとっては)実に崇高な出し物を披露した。映像と実技で構成されたその余興は、"◯◯7"と7を冠したタイトルだったわけだが、おそらく多くの列席者、あるいは、もしかしたら演者でさえ、同名漫画を瑛太主演で映画化した『WILD7』を想起していたかもしれない(それくらい筆者の周囲の映画リテラシーは低い。)。まぁ、突き詰めれば、どっちでもいいんだけど。要は、英語版キャッチコピーにもある通り、"7"っていうのは、正義のナンバーなのさ。

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 さて、映画リテラシーの高い皆さんなら当然ご存知の通り、本作は、1960年の傑作ウェスタン『荒野の七人』のリメイク作品である。正確には、リメイクというか同作を原案とした作品であり、宣伝文句を借りるなら、"魂を受け継いだ作品"ということになる。実際、本作は、元になった『荒野の七人』とはかなり大胆に趣を異にする一本だ。今度は宇多丸師匠の評を借りるが、本作は『荒野の~』とは違い、黒人やネイティブ・アメリカン(やアイリッシュ)などの人種的マイノリティー、及び女性により大きくスポットが当てられており、かつ、全体の雰囲気は、往年の正統派アメリカ製ウェスタンというよりは、いわゆるマカロニ・ウェスタンっぽい感じに仕上がっている。つまり、"ヒーロー"による勧善懲悪が基本的なモットーである正統派ウェスタンではなく、そのカウンターとして生まれた、もっと人間臭く、もっと等身大な"アウトロー"たちによる"アンチ・ヒーローもの"の趣が強くなっている、というわけだ。

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 そんな本作の感想を述べるには、やはり向こう見ずなナイス・ガイ7名の一人一人に順次言及していくのがよかろう。まず、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ファンとして注目すべきは、もちろん、"俺たちのクリス"ことクリス・プラットが演じたジョシュ・ファラデーである。

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 ひょうひょうとした詐欺師。へらへらとしたマジシャン。しかして、その内には圧倒的な実力を備えた、あたかもルパン三世とかスパイク・スピーゲルを思わせる真の"漢"。これはもうボンクラなら無条件に大好きな定番キャラクターだ。そして、大方の予想通り、このキャラはクリス・プラットに合う。彼の当たり役ピーター・クイルもまた、アウトローな即席チームの中で抜群に光輝くニヒルなナイス・ガイであった。そんなクリス・プラットの存在感は、本作でも爆発。最期には、"悪魔の銃"ことガトリング・ガンを破壊するため単身特攻し、絶命したと見せかけて隠し持っていたダイナマイトを炸裂させるという、まぁ本当にベタで最高な死様も披露する。いぶし銀な7名の中で最も崇高な自己犠牲を払った彼には、やはり"チームもの俳優"の称号が相応しい。それが高じて、かどうかは分からないが、なんでも"カウボーイとニンジャとヴァイキングの3つの人格を有するヒーロー"が活躍する、その名も『カウボーイ・ニンジャ・ヴァイキング』なる新作の主演として、遂に"一人チーム"を結成する予定だ、と言うから驚きだ。

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 続いては、やはりこのバディ。"俺たちのイーサン"ことイーサン・ホーク演じるグッドナイト・ロビショーイ・ビョンホン演じるビリー・ロックスである。

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 ビリーの腕を見込んだロビショーが彼をいわば"拾った"形で連み始めた二人。行く先々でナイフ使いのビリーとその辺のボンクラが戦い、ロビショーが観客から掛け金を回収する、という超カッコ良いライフ・スタイルで暮らしていたところ、ロビショーとは旧知の間柄であるチザムから誘われ、仲間入りする。まず目を奪われるのは、やはりイ・ビョンホンのセクシーなカッコ良さであろう。これはもう一目してもらえば瞭然。一方のロビショー。彼は、ヘタレである。南北戦争では"死の天使"との異名が付くほどの凄腕スナイパーだったものの、そこでPTSDを負ってしまい、クライマックス・バトルを前に町から逃亡する。もちろん、彼は翻意して舞い戻るのだが、ここはもっともっとカッコ良く登場させないとダメだ。現状でも"悪魔の銃"の存在を伝えるという重要な役割は担っているが、さも戻ってくるのが当たり前と言わんばかりにスルッとやってくる。このケレン味不足はすごく残念だった。

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 次に、かつて300人ものネイティブ・アメリカンを狩ったとされる伝説的な老人ジャック・ホーン(ヴィンセント・ドノフリオ)。

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 これもまたキャラとしてはめちゃくちゃ良い。敬虔なキリスト教徒であり、"熊"と形容される一見温和な容姿の持ち主。しかし、一度口を開けば、「あ…こいつ、ヤヴァイやつや…。」と誰もが得心するクレイジー感。聖書の一節をそらんじながら斧で敵を血祭りにあげていくシーンなんか、失禁ものの見せ場である。その最期も、敵側のネイティブ・アメリカンに複数の弓を射られ、通りの真ん中で立ち往生…というか、座り往生するという非常にいぶし銀なもの。かつてネイティブ・アメリカンを殺しまくった彼が逆にネイティブ・アメリカンに殺されるというのはアイロニックにも思えるが、その前の晩にちゃんと味方側のネイティブ・アメリカンであるレッドとの"和解"を描いているので、俯瞰で見れば、敵ネイティブの攻撃に人種的正統性など既に無い、と思える構成も上手い。ただ、彼は、加入理由が弱い。いったんはチザムの誘いを断ったのに、なぜかコッソリついてきていて、なし崩し的に合流する。チザムの章で再度述べるが、このような"動機の不在"が、本作の弱点でもある。

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 では、続いて、そんな熊さんと因縁深いネイティブ・アメリカンのレッド・ハーベスト(マーティン・センズメアー)。

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 彼もキャラ自体は良い感じ。みんな大好き"弓矢キャラ"なわけだし、敵側ネイティブとの一騎討ちの末、「インディアンの恥だ!」と吐き捨てて打ち勝つシーンは、本作の対立構造が"人種"のような古臭い概念ではなく、あくまで"資本主義 vs 自由"であるということを端的に象徴する。しかしながら、こいつも熊さん同様、加入理由がスッカラカン。野宿するマグニフィセンツの起き抜けにノソッと現れ、チザムと鹿の生肉をわけ合い、うん、と頷いたら、もう同行することになっている。ボーグでなくとも、彼もまた行き過ぎた資本主義に仲間を殺されたのだ…みたいな設定があれば良かったのに。あるいは、実は、家族をかつて熊さんに殺されていたことが判明して険悪になるが、色々あって和解し、クライマックス・バトルに雪崩れ込む…くらいやってくれたら、すごく燃えた気がする。

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 続いて、メキシコ人賞金首のバスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)。

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 正直言って、こいつは一番キャラが薄い。ユニークな特技があるわけでもなく、特筆すべきバックボーンがあるわけでもなく。確かに、メキシコ人という属性が"多人種チーム"に一花添えてはいるが、まぁ、我々が多少でも色めき立つとしたら、彼の名が『エイリアン2』バスケス"兄貴"と同じという点くらいだろう。ただし、こういったチームものってのは、5人以上の大所帯になってきた場合、一人くらいは影の薄いやつが必要なんだ。『オーシャンズ11』にだって……むむ…あれはむしろ3、4人しか思い出せないな。例えが悪かったが、とにかく、"存在感の無い存在"という逆説的なアイデンティティーをバスケスは持っているのである。

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 さぁ、最後に我らが正義の委任執行官サム・チザムである。

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 これもまぁ、カッコ良い。2001年の『トレーニング・デイ』とか、最近だと2014年の『イコライザー』とかで既にフークア監督とは仕事済みの名優デンゼル・ワシントンは、規律正しい委任執行官という身分、凄腕の賞金稼ぎという生業、そして、アウトロー7人のチーム・リーダーというチザムの属性全てに圧倒的な説得力を与える。ただ、ちょっとだけ問題…というか、物議を醸すべき部分が無くもない。それは、本作にはオリジナルとは違って、チザムの私怨という要素が付加されている点。ラスト、焼け落ちた教会でボーグと一対一になったチザムは、首に残った傷跡を見せ、家族を殺された過去をその張本人たるボーグに語る。

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 これ自体は、確かにカッコ良い。しかし、一方で、チザムの私怨は、他のメンバーの動機不足をより際立たせてしまうのである。先述の通り、本作のマグニフィセンツには、動機の薄弱なメンバーが多い。そもそもがヌルッと仲間入りするし、オリジナルやそのまたオリジナルである『七人の侍』みたいな"町人との触れ合い"もほぼ皆無なので、彼らはただ、サム・チザムという最高にカッコ良い男が見ず知らずの一般ピーポーのため一肌脱ごうとしている、という、その男気にほだされて協力しているように見える。ところが、チザムの私怨は、そんな男気の二重奏を無に帰してしまう。なんだ、それ。ちょっとだけガッカリ。

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 以上でマグニフィセントな7人については一通り述べたわけだが、本作には、いわば"8人目の戦士"とでも言うべき人物がいる。そう、"俺たちの悪女"ことヘイリー・べネットが演じた未亡人エマ・カレンである。

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 私怨のあまり脇を甘くしたチザムを助ける形でボーグに止めを刺す彼女は、これまた、マイノリティーにもスポットライトを当てることで現代的なアップデートを目指した本作には不可欠な重要キャラ。おまけにエロいんだ。もちろん、いくらあのヘイリー・べネットだからといって、『ガール・オン・ザ・トレイン』とか『ハードコア』みたいなむき出しのエロスを発散しているわけではない。本作で彼女が演じるエマは、亡き夫への愛と正義のみを信じる、強くて実直な女性だ。前述2作の2作ともで披露していた"指舐め"も当然無し。とはいえ、だ。彼女の妖艶は、ちょっとやそっとで隠しきれるものではない。ましてや、当時の標準なのか何なのか、これでもかというくらい胸元のザックリ開いた服ばかり着ているので、もう我々の目はそこに釘付け。先ほど筆者は、メンバーの動機が弱い、なんてわけ知り顔で書いたけれど、あったな。べネットさんのいる町を守りたい。理由なんて、それで十分だ。

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 というわけで、本作『マグニフィセント・セブン』は、やや薄味で物足りない箇所もあるとはいえ、『七人の侍』が生み出した"チーム・アクションもの"の最新作として、そして、『荒野の七人』が体現した"楽しい西部劇"のアップデート版として、実に真っ当な良作なのであった。

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点数:77/100点
 あそこはこうすべきだったのに…!なんて不満はあるものの、全体としてはやはり崇高な挑戦。そんな意味では、非常におこがましくも、筆者が手掛けた余興と本作は共通している。願わくば、我々の"正義"と筆者の"愛"を捧げた一輪の花が、べネット嬢のようなグラマー美女なら最高だったのだが、まぁそれは、世のあらゆる新郎が切望しても叶わぬ高嶺であろう。

(鑑賞日[初]:2018.1.31)

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Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

Comments 2

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yaman  
No title

えぐれた胸でも花は花だぜ

2018/02/13 (Tue) 12:18 | EDIT | REPLY |   
Mr.Alan Smithee  
Re: No title

揉めねえ乳はただの乳首だ

2018/02/13 (Tue) 15:30 | EDIT | REPLY |   

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