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キャッチコピー
・英語版:Big Meets Bigger
・日本語版:巨大化が、止まらない。

 楽しもう、この危なげのない"大暴れ"。

三文あらすじ:ある遺伝子実験の失敗によって、ゴリラ、オオカミ、ワニなどの動物たちが巨大化、凶暴化してしまった。ある場所を目指して北米大陸を破壊しながら横断していく巨獣たちは、街を舞台に大乱闘を始める。崩れ落ちる高層ビル群、逃げ惑う人々、軍隊のミサイル攻撃にすら動じない巨獣たちを、果たして人類は止めることができるのか・・・

※以下、ネタバレあり。


~*~*~*~


 本作『ランペイジ』は、『アベンジャーズ』だの、『ハン・ソロ』だの、『デッドプール』だの、『ジュラシック・ワールド』だのといった超ビッグ・タイトルひしめく2018年のサマー・シーズンにおいて、我々モンスター・パニック・ファンが密かに待望していた王道"怪獣映画"である。巨大化した猛獣たちがしっちゃかめっちゃに"Rampage(大暴れ)"する話? 至上かつ無上じゃないか! もちろん、批評家からの評価は低い。今日付けのRotten Tomatoesでは、一般観客の81%に対して批評家は52%という低スコア。でも、分かってるよな? それでいいんだ。王道のモンスター・パニックや天元を往く怪獣映画には、批評家の崇高な賛同など無用。むしろ、我々は、「よろしい、後はこちらで引き受けましょう。」なんて堂々と胸を張り、このベタベタで何の危なげもない作品を、ムツゴロウさんさながらにワシャワシャと愛でてやればよい。

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 さぁ、では、ひとしきり愛でた後の我々は、具体的にどのような言葉で本作を論ずるべきか。実は、何も無い。あーだこーだと押し問答を繰り広げたり、侃々諤々(けんけんがくがく)と激論を交わしたり、そんなことをしたい頭でっかちなギークにはお引き取り願おう。我々はただ「いやぁ~はっは…最高でしたねぇ!」「そうですねぇ!」と、曖昧でモコモコな愚感想を垂れ流すのみ。それくらい、本作はベタだ。例えば、衛星が墜落して拡散した謎の薬剤(病原体)が元凶である、という設定。もうベタ。近年の例をあげるなら、2006年の『グエムル』では、不用意に川へ投棄した廃棄物があのキモ魚を作り出したのだし、2014年の『ゾンビーバー』でも、謎の産業廃棄物がゾンビのビーバーを生み出した。また、(個人的に"モンスター・パニック"と"ゾンビ"は厳密には別ジャンルだと思いたいものの、)衛星の墜落というインシデントに着目するなら、ゾンビ映画の始祖たる『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(と、そのオマージュである『ショーン・オブ・ザ・デッド』)の導入部を想起すべきであろう。

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 『スコーピオン・キング』の頃の初々しさはどこへやら、今やレスラー出身俳優のパイオニアであり、同時に押しも押されぬアクション・スターでもあるロック様ことドウェイン・ジョンソンゴリラのジョージが織り成す友情もベタ。モンパニ兼怪獣映画である本作は、彼らの友情を礎にして、あたかも『ガメラ』シリーズ(や多くの『ゴジラ』シリーズ)のような"味方怪獣"という概念を提示する。序盤で彼らの友情を端的に描くためにジョージがする"中指を立てるジョーク"は最高だったな。ヤバい!ジョージ、暴走してる!とロック様及び我々がハラハラした刹那、ピコッ!と中指を立て、ウォッホッホッホッ!と笑うジョージ。ゴリラではあるものの、彼は知性ある生き物なのであり、我々の"友達"に充分なり得る。おまけに、笑ってるときの表情がなんともバカっぽい"ボンクラ"のそれなのだから、スクリーンを隔てた我々も、一瞬で気心を許してしまうのである。

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 もう後は、今では保護区で働く霊長類学者のロック様が、"実はかつて特殊部隊に所属していた…。"というウソみたいにベタな経歴を根拠に無双の活躍を見せ(銃でお腹を撃たれてもピンピンしている)、なし崩し的に美女と共闘し(時代を反映して黒人美女のナオミ・ハリス)、分からず屋の軍の核攻撃を阻止するため孤軍奮闘する。そんな"定型文"。もちろん、政府側にはジェフリー・ディーン・モーガン演じるとっても粋な"味方おっさん"(ハーベイ・ラッセル氏)もいる。このナイス・ガイが味方になる展開も、その前にロック様が彼の命を救う見せ場をきちんと描いているため、非常に説得的でスムーズだ。後にロック様と本来の友情を取り戻し"味方怪獣"となるジョージを除いた二匹の"悪者怪獣"、すなわち、原作のゲームで言うところの"ラルフ""リジー"に関する設定(展開)も、本作が怪獣映画の天元を往くことの証明。要は、序盤・中盤と大活躍を見せた狼のラルフではなく、ワニが変異した結果どう見てもアンギラスな見た目になったリジーがラスボスとなり、古来より"キング・オブ・モンスター"の称号を欲しいままにしてきた巨大ゴリラと激闘を繰り広げる。

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 敢えて、敢えて苦言を呈するのであれば、まずは、タイトル・バックだろうか。本作は、ちょっと前に流行った"タイトルは最後に初めて出しますスタイル"の作品。個人的に、この趣向は気に食わない。特にベタベタな本作なら、タイトルだって、冒頭に衛星内で展開される巨大ミュータントねずみvs女性乗組員という『エイリアン』ライクなシークエンスの後にドーンッ!と出すのが正解だっただろう。ポッドで脱出するもねずみが引っ掻いてヒビの入った窓ガラスが割れ、大気圏突入時に爆散する衛星。乗組員が決死の思いで回収した"元凶謎薬剤"入りの3つの容器が地球に向けてバラバラに落下していく……暗転……『RAMPAGE』(デエェェェン…!) これなら完璧だった。「暗転。」までは、実際その通りに演出されているのに、ここでタイトルを出さない意味が分からない。

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 それから、"勝つ理屈"の不在も強いて言うなら減点ポイントだ。クロコダイルに二度敗北したルフィが最後に勝利する際、きちんと"血でも砂は固まる"という理屈があったように、一度の敗北ならまだしも、同じ相手に二度負けてしまった以上、勝つためにはそれまでとは異なる何らかのエクスキューズが不可欠である。これは別にアラバスタでのゴム人間のような"リアル"な原理でなくてもよい。もっと抽象的で物語的な理屈でも足りる。例えば、シチュエーションはちょっと違うが、『リーサル・ウェポン4』でリッグスが復活する際には、序盤で相棒のマータフとふざけて言っていた「念じるんだ!」というギャグが理由として機能していた。この点、本作におけるワニギラスvsキングコング&ロック様のクライマックスでは、やった…!倒したか…!?……いや、まだだぁ!という展開が二度繰り返され、三度目でコングが止めを刺す。でも、そこに理屈は無い。確かに、三度目はコングが鋭利な棒を持っていたからワニギラスを刺殺できたのだが、それは物語上の必然性無き"たまたま"である。

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 では、お前は一体どのような展開なら満足したのだ?と詰め寄られれば、正直なところ、筆者には具体的な妙案が無い。でも、例えばだけど、三度目のピンチでは、その直前にコングとロック様が手話で合図を送り合い、そのコミュニケーションがあったからこそワニギラスの埒外から一撃を叩き込めた、なんて展開はありではないか。確かに、ワニギラスの討伐後、死んだと思われていたジョージがファック・サインをかまし、実は死んだふりだったことを明らかにする、という方法で以て、手話(ジェスチャー)によるコミュニケーションはキレイに回収されるから、筆者のプランでは少ししつこくなってしまうだろう。ただ、個人的にファック・サインは、クライマックス・バトル前にジョージが正気を取り戻すところで使った方が良かったと思っている。ヤバい!暴走してる!という前提が冒頭のギャグ・シーンと同じだから、その方が天丼としては美しい。

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 それにやっぱり、人と動物が協力したからこそ勝てたんだぜ!という理屈は、あった方がいいと思うんだよ。もうすぐ続編が公開されるあの恐竜映画の金字塔のリブート・シリーズで例えるなら、本作のラルフやリジーはインドミナス・レックス、ジョージはブルー(他2匹のヴェロキ)に相当するのだし。もちろん、愛無き科学に翻弄される無垢な動物たちが可哀想…とか、人間と動物の友情は本当に素晴らしい…とか、そんなバカみたいな人類のエゴを押し出すと、本作が保っているモンパニや怪獣映画としてのナイス・バランスが崩壊してしまう。しかしながら、本作は既にジョージとロック様の粋なバディ感の構築に成功しているのだから、最後に明示的な連携を盛り込んでも、決してやり過ぎにはならなかっただろう。むしろ、『ジュラシック・ワールド』でも語られたような"野生と人間のハイブリッド"というテーマを押し出せば、本作はよりベタで、ある意味で美しくすらある予定調和の実現に成功したような気がする。

点数:84/100点
 モンパニ好きや怪獣映画好きなら何の過不足も感じず楽しめる、危なげのない良作。次作もぜひやって欲しいなぁ。ここは妙案があるんだ。更に巨大かつ凶暴なモンスターの出現に対して、再び出撃するジョージ&ロック様。敵のバリエーションに困ることは無かろう。なんせこの地球には、130万種以上の生物がひしめいているのだから。でも、本作で巨大化し損なった1種を忘れちゃいないかい? そう、人類という種族にはもはや収まらない、とんでもバカ猛獣こと我らがロック様である。よって、次作では、本作を超える強敵に対して、自ら薬剤を浴びたロック様が巨大化し、ジョージと共に熱い共闘を見せてくれるのだ。そう、筆者は信じている。

(鑑賞日[初]:2018.5.19)
(劇場:MOVIXあまがさき)

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Posted byMr.Alan Smithee

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