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キャッチコピー
・英語版:In This House... If You've Seen One Ghost... You Haven't Seen Them All.
・日本語版:誰も知らない霊次元。怖くて笑い、面白くて震える。

 気取らず叫べ、彼の名を。

三文あらすじ:ある日突然事故死し幽霊になってしまった新婚カップル、アダム(アレック・ボールドウィン)とバーバラ(ジーナ・デイヴィス)のメイトランド夫妻。自分たちが手塩にかけた家を珍奇に改造しようとする変人一家を追い出すため、二人は奮闘する。しかし、その努力が空しく散ったとき、彼らは霊界一の厄介者である自称"バイオ・エクソシスト"のビートルジュース(Beetlejuice)を呼び出してしまい・・・


~*~*~*~


 本作『ビートルジュース』は、1988年に公開されたホラーコメディ映画である。監督は、みんな大好きティム・バートン。ディズニーを退社後、『ヴィンセント』(1982年)、『フランケンウィニー』(1984年)という2本の短編を撮り、『ピーウィーの大冒険』(1985年)で長編デビュー。ここでワーナーから一定の評価を得て作った次作が、本作『ビートルジュース』というわけだ。『ミッション・インポッシブル』の5作目からシリーズに参加し、もうすぐ6作目が公開されるアレック・ボールドウィンとか、筆者魂のバイブル『テルマ&ルイーズ』のテルマとしてお馴染みジーナ・デイヴィスとか、『バードマン』以降再ブレイク中の元バットマン、マイケル・キートンとか、『ストレンジャー・シングス』でこれまた再ブレイク中のウィノナ・ライダーとか、そんな後の名優たちの初々しい名演も見所である。

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 中でも特筆すべきは、やはりタイトルにもなっている冥府の"バイオ・エクソシスト"ことビートルジュースを演じたマイケル・キートン。心底下品で、目を見張るほど不埒で、しかしてこの上なくクールな彼の立ち回りは、当然のごとく大反響を呼び、本作は彼の出世作となった。後にティム・バートンが監督する『バットマン』で主役を張り大ブレイクするのも、全ては本作があったからである。また、本作における彼の演技は、後世の作品にも色々と影響を与えていそう。筆者が真っ先に思い描いたのは、ジム・キャリーの『マスク』だ。同作の"スタンリー・ザ・マスク"も、ビートルジュース同様、ダーティでダンディなトリックスターであった。上手く説明はできないけれど、立ち居振舞いもどこか似てるんだよな。ちなみに、マイケル・キートンもジム・キャリーも、元々はスタンドアップ・コメディアンとして自身のキャリアをスタートさせている。

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 本作には、他にも後の作品の先駆者となったであろうポイントが多々ある。まぁ、筆者が無知なだけで、本作以前に既に完成されていた部分なのかもしれないが、例えば、"事務的なあの世描写"とか。描写が事務的なのではない。あの世にも"受付"があって列に並ばなければならなかったり、"職員"たちがパソコンや書類の山と格闘していたり。そんな、あの世の神秘性を剥ぎ取って我々の日常を持ち込むというアイデアである。ここで筆者が真っ先に思い付いたのは、やはりこないだ観た『リメンバー・ミー』。同作では、あの世にも入国審査みたいな仕組みがあったり、職員がMacの初期型PCを使っていたり(そして、イメルダによってボコボコに壊されたり)、なんて描写があった。もちろん、そんな趣向ってのは古来より山ほどあったのだろうが、少なくとも、本作において具体的に顕在化する個々のギミックがどれもフレッシュという点は、揺るがしがたい事実。"昔の映画"なんて侮らず、ぜひご自身の目で確認いただきたい。

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 さて、筆者が本作絡みでオススメしたいのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン、通称USJ or ユニバのユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショー(以下、"ユニモラロシ")。ハリウッド・エリアの一角で毎日開催されているこのショーは、ともすれば見逃されがちである。それはひとえに、同ショーが一応のモチーフとしている『フランケンシュタイン』とか、『フランケンシュタインの花嫁』とか、『ドラキュラ』とか、『狼男』とか、そして、本作『ビートルジュース』とかを、今どきの来場者が知らないからであろう。個人的には驚愕なのだが、『ターミネーター』シリーズなど一作たりとも観たことがなく、『ウォーターワールド』や『バック・ドラフト』なんて映画が元ネタということすら知らず、それでも「あー、うち、ユニバめっちゃすきー!」と堂々と宣う輩が後を絶たない。であれば、当然、かのユニバーサルが一時代を築いた"クラシック・モンスター・シリーズ"なんか、誰も知らなくて当たり前であろう(威信をかけたリブートは、『ザ・マミー』の大沈没で頓挫してしまったし。)。

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 誤解無きよう言い訳するが、筆者は別に"過去の名作"を熟知した映画通を気取るつもりなどない。恥ずかしながら、上で挙げた"クラシック・モンスター・シリーズ"は、実は一作も観ていない。本作だって、先週末にUSJを訪れるに際し、慌てて観た次第である。さすがに、ユニモラロシの劇場前にポスターが貼られているヒッチコック作品中、『裏窓』と『めまい』は何回か観ているが、残りの1つ、『知りすぎていた男』だったか、『第三の男』だったかは、未見である。Mr.Alan Smitheeは、その程度のゆとり映画ファンだ。でも、いや、だからこそ、みなさんにも知っておいてもらいたい。ユニバーサルの原点は"クラシック・モンスター"にあり、そして、ユニモラロシは極めてクオリティの高いショーであるということを。ワンピースだなんだとなりふり構わず生存を企図していた時期が去り、パレードもちゃんといわゆる"映画"をモチーフとしているこのタイミングは、USJは"映画のテーマパーク"なんだということを再認識するチャンスなのである(ちなみに、よくディズニーランド派がUSJを批判するときに言う"作り込みの甘さ"も、てんで的を外した愚論である。USJって、"映画のセット"ですから。"撮影現場"ですから。)。

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 やばい、なんだかUSJ通を気取りつつある。ユニモラロシの良いところをきちんとお伝えして終わろう。筆者が注目してほしいのは、やはりビートルジュースのべしゃりである。正確には、アドリブ力が凄い。もちろん、客のヤジなどに応じて何パターンかの台本があるのだとは思う。でも、先週末に筆者が鑑賞した回では、客にウェーブの練習をさせるくだりで、ビートルジュースが「何か足りねぇなぁ…!」と言ったとき、観客の一人(おそらく子供)が、すかさず「笑顔!」と叫んだ。「何か足りねぇなぁ」からの「お前らもっと声出せ!」がたぶんテンプレだったと思うんだよ。そこに横槍が入ったわけだ。でも、ビートルジュースは動じない。「お、おぉ…笑顔ね。」と敢えての戸惑いリアクションを披露することで一笑いいただき、即座に「よぉし!お前ら聞いたか?! 今度はニッコリ笑ってやってみろ!」と煽ったのである。

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 たぶん、冒頭でウェーブを何回やるかは決まってると思うんだよ。で、その内の少なくとも一回は、なんにせよフリとしての"捨てウェーブ"なんだと思う。そういった意味では、"笑顔ウェーブ"を挟むくらいの対応は、さして難しくもないのかもしれない。しかしながら、やっぱりそこには確かなライブ感が生まれていて、筆者は痛く感銘を受けた。これは、映画では決して起こり得ないことだ。我々根暗な映画ファンは、暗闇の中で登場人物の物語を盗み見ることにこそ、至上の喜びを覚える。参加したいわけじゃないんだよ。事実、筆者は、大昔に仮面ライダーショーでショッカーに舞台へと上げられそうになったとき、泣きわめいて抵抗した。それは、悪者が怖かったからじゃない。自分はあくまでも安地で盗み見たかったからだ。その点、ユニモラロシは素晴らしい。客をいじるにしてもごくごく軽めで、客からのアイデアは即座にショーの一部となる。

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 まぁ、ハロウィンのコスプレ大会みたいな"参加型エンターテイメント"でV字回復したUSJにしては生ぬるいショーとも言えるが、もし筆者同様、「俺はゾンビ映画が大好きだけど、実際に襲われたいわけじゃないんだよなぁ。」なんてツベコベ考えている、かつ、ワーナーの"クラモン"なんて観たことがないという映画ファンがいれば、ぜひともユニモラロシを鑑賞してほしい。そして、冥府の水先案内人ビートルジュースに誘われるまま、これから一緒におどろおどろしい古(いにしえ)の怪奇世界へ飛び込んでいこう。

点数:84/100点
 強いて本作の不満点を挙げるなら、クライマックスが少々物足りないということだろうか。もちろん、それまでにもビートルジュースは傍若無人の振る舞いを見せているし、アダムとバーバラの冥界巡りだってめちゃくちゃ楽しい。でも、クライマックスは、散々引っ張られてきた前フリが結実し、ビートルジュースが遂に現世に出現するというシークエンスなのだから、こちらとしては、それまでのクレイジーさを遥かにしのぐ七転八倒、抱腹絶倒の見せ場を期待してしまう。でも、実際にはそこまでじゃあない。まぁ、でもそれは、見せ場はなるたけ盛って盛って、モッテモッテマイウェイな昨今の大作映画に慣れてしまったからなんだろうな。映画通を気取って浅い批判など展開せず、ただこの興奮に任せて叫ぼう。ビートルジュース!ビートルジュース!ビートルジュース!

(鑑賞日[初]:2018.5.24)

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Posted byMr.Alan Smithee

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