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キャッチコピー
・英語版:Time To Play
・日本語版:血を流せ!脳みそを刳りとれ!

 "人間性"を捧げよ。

三文あらすじ:ある少女カースティ・コットン(アシュレイ・ローレンス)が目にした父親の無惨な遺体、そして、蘇生した伯父フランク(ショーン・チャップマン)のおぞましい姿。だが、それらを上回る恐怖と惨劇が始まりを告げる。少女の悪夢に終わりは来ない・・・


~*~*~*~


 先日、遂に『DARK SOULS REMASTERED』のトロコンを達成し、なんとか『ルパン三世 GREEN vs RED』の感想を書き上げた筆者は、グラグラと大地が揺れる中で悩んでいた。映画は観たい。感想を書きたい。でも、長らくの間ロードランに幽閉されていた我がソウルは、ちょっとやそっとで"映画モード"には切り替わらない。ここはひとつ、筆者の閉じた心を、いや…パンドラの…いやいや、"ルマルシャンの箱"を解放してくれるような、パンチの効いた傑作が必要だ。というわけで、今回感想を書くのは、"魔導士ホラー"の金字塔として今なおジャンル映画界に君臨し続ける『ヘルレイザー』シリーズ、その2のお話。

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 前作直後に時間軸を置き、前作で死亡したカースティの父親とボーイフレンド以外の主要キャラクターが軒並み登場する本作は、紛うことなき"正統派続編"であり、なおかつ、『エイリアン2』に代表される"物量で魅せる2(ツー)"でもある。今回の舞台は精神病院で、ボスは患者を実験台にして"快楽の真理"に辿り着こうとするマッドおっさんなのだから、"扉"の解放に必要な生け贄は非常に潤沢。前作の色情ばばぁジュリア(クレア・ヒギンズ)のように、ナンパした男どもをヘチヘチ連れ込む必要はない。終盤では、遂に自ら魔導士と化したマッドおっさんことフィリップ・チャナード博士(ケネス・クラナム)が、カースティの呼び掛けによって自らのルーツを思い出した"魔導士(セノバイト)カルテット"と大バトルを繰り広げるという胸熱展開もある。

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 しかして、筆者が本作を"傑作"であると思料する所以は、主人公が勝つ理由をきちんと提示できているからである。それは、すなわち"心"。ルマルシャンの箱を開けて到達する"真理"とは、極限の肉体的苦痛の先にある快楽である。分かりやすく言えば、えげつないSMプレイが帰結する恍惚だ。それは、動物が本質的に持っている、いや、むしろ動物という存在の根元にして全てと言っても過言ではない"肉欲"を突き詰めた概念。色情ばばぁのジュリアにしても、前作のボスだった色情じじぃのフランクにしても、とかくセックス好きなエロ年増として登場する。本作のボスであるチャナードだって、ジュリアと男女の関係になって本格的に悪の道へと堕ちていくことになる。全身の筋肉が剥き出しであるジュリアやフランクがとにかく"皮"を欲することから、もっとシンプルに"肉体への羨望"と捉えても良いが、いずれにせよ、"肉"あるいは"外側"のみを盲目的に崇拝するというのが、本作の悪役が有する特徴である。

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 一方、主人公であるカースティは、悪夢的状況下でも決して"心"を失わない女性である。まぁ、言い様は色々だ。心、内面、精神。『DARK SOULS』の興奮冷めやらぬ筆者に言わせれば、"魂(ソウル)"、あるいは"人間性"。要は、本能のみを寄り代とする動物性ではなく、過去を懐かしみ、現在を考え、未来を思うという理性的な人間らしさを、彼女は持っている。本作では、この人間らしさこそが、悪の魔導士に打ち勝つための"武器"であり、"理由"なのである。それが端的に描写されるのは、以下の2箇所。まずは、前作から最新作まで一貫してシリーズのアイコンとなっているピンヘッド、フィメール、チャタラー、バターボールの"魔導士カルテット"をカースティが説得して翻意させるシーン。カースティは、ピンヘッドがまだ心ある"人間"だった頃の写真を見せ、彼に"人間性"を取り戻させる。そして、ピン様は、悪の魔導士たるチャナードに対して、『HUNTER×HUNTER』のクラピカが使用する念能力の元ネタにもなったという鎖攻撃をお見舞いするのである。

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 しかしながら、人間ってのは脆いもんだ。ソウル・シリーズの番外編『Bloodborne』でも、"獣の丸薬"の使用(と"獣化ゲージ"の蓄積)によって攻撃力が上昇するように、純粋な本能や欲望の方が、単純でフィジカルな"強さ"という点では勝っている。事実、虎の子の"エンペラー・タイム"を発動したにも関わらず、ピン様はチャナードに敗北。では、カースティは、如何にして"欲望の化身"に打ち勝つのか。答えは、敵の"肉体崇拝"を逆に利用するのである。ラスト・バトル、もはや手が付けられないモンスターと化したチャナードは、箱のパズルを元に組み直すことで魔界を封印しようとする少女ティファニー(イモゲン・ボアマン)に迫る。カースティは、チャナードの痛烈な一打を受けて意識喪失状態。しかし、チャナードは、幼けな少女へ伸ばしたその手を止める。目の前には、カースティとティファニーの頑張りによって大事な全身の皮をズルりと剥がされた挙げ句、混沌の深淵へと消えていったはずの色情ばばぁジュリアの姿が。復活のジュリアに歓喜したチャナードは、我を忘れて熱烈なキス。その一瞬の隙をついて、ティファニーは、パズルを元通りに組み直す…。

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 もうお分かりだろう。この復活の色情ばばぁは、その打ち捨てられた皮を被ったカースティの変装である。つまり、外見=肉体にのみ固執する悪の魔導士の性質を逆手に取り、カースティとティファニーは勝利したわけである。"ルパン三世"は、"ガワ"じゃない、"本物の男"のことを言うんだ、という『GREEN vs RED』とも共通するこのテーマ。本当に説得的だ。ただ、本作は『GREEN vs RED』とは違い、そんなテーマを台詞ではなく、きちんとギミックやガジェットで画的に見せているため、より高みの賞賛に値する。まぁ、だからこそ、以上で書いた本作のテーマは、単に筆者の勘違いによる妄想という可能性もあるのだけれど。

点数:84/100点
 かつて宇多丸師匠は、タマフルの『やっぱり2が好き、それでも3が好き特集』で、「『ヘルレイザー』シリーズの中では2が一番好き。」と発言していた。その理由は定かではないが、『インフィニティ・ウォー』評のときにも「次作では、"力"や"運"ではなく、ヒーローがヒーローゆえの"正しさ"で勝利する展開を見たい。」と語っていたから、たぶん本作にも、その"勝つ理由"の部分で感銘を受けたのではないかな。どうだろう。違うかな。まぁ、映画の読後感なんて人それぞれ。いつか初めての火が起こり、火と共に差異がもたらされる。それは、およそロードランでも、魔導士巣くう魔界でも、そしてまた映画の感想においても、さして違わぬ世の常であろう。

(鑑賞日[初]:2018.6.18)

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Mr.Alan Smithee
Posted byMr.Alan Smithee

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