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キャッチコピー
・英語版:Are You In Or Out?
・日本語版:ハリウッド史上最強の犯罪ドリームチーム

 世の中には二種類の人間がいる。
 嘘つきと泥棒である。

三文あらすじ:仮釈放中にも関わらず強盗計画を企てたカリスマ窃盗犯のダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)。ラスべガスの三大カジノから1億5千万ドルを奪うという前代未聞の計画に、11人の仲間が集う。果たして彼らの犯行は成功するのか・・・


~*~*~*~


 つい数年前、80年代を代表する傑作SF映画『ゴースト・バスターズ』をリブートした同名作品が公開された。同作は、どういう了見かメイン・キャストの性別を逆転させるという奇抜な手法で以て過去作の蘇生を図ったわけだが、まぁ、これがむしろシリーズの未来を葬ってしまうくらいの不評を買ったわけだ(女性キャストが、というより、正確には作品の出来自体がお粗末だったのだとは思うが。)。あれから数年。こりずにまた同じ手法の作品が現れた。それが、日本では今週末から公開される『オーシャンズ8』。先んじて封切られた本国では、まぁ…まぁまぁといった評価のようだが、とりあえず先立つ不安を押さえつつ、前三部作を復習しておこうと思う。

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 本作『オーシャンズ11』は、1960年に公開された『オーシャンと十一人の仲間』のリメイク作品である。不勉強にも筆者は同作を未見なのだが、いくつかの感想を読んでみたところ、どうやら"仲間集めのテンポ"に決定的な欠陥のある作品らしい(もちろん、昨今の水準からすれば、だと思うが。)。本作がスゴい、そして、監督スティーブン・ソダーバーグが偉いのは、やはりこの点をしっかり改善してみせたというところだろう。そもそも、11人って多すぎるんですよね。『るろうに剣心』の作者だって「十本刀は多すぎた。七本くらいでよかったかも。」と反省していたし。七人でも大変だよ。広い意味で"チーム映画"の始祖たる『七人の侍』だって、今どきの映画的テンポからすれば、よほどマッタリノロノロと仲間集めのくだりに時間を取られている。

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 この点、本作の仲間集めは非常にスマート。始めに紹介されるボンクラ兄弟バージル(ケイシー・アフレック)とターク(スコット・カーン)のくだりでは、あぁ!まさか『スーサイド・スクワッド』みたいにストーリー進行が止まっちゃうのか?!と肝が冷えるが、その次のリヴィングストン・デル(エディ・ジェイミソン)以降は、ちゃんとダニーとラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)の二人が実際にそれぞれの仲間の元へ足を運んでリクルートするので、ほっと一安心だ。要は、『スーサイド・スクワッド』みたいに、メンバー紹介に延々と時間を割いたのにその間ストーリー的にはただばばぁが晩飯食ってるだけ、みたいな不細工な構造にはなっていない、ということである。特にルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド)を勧誘するシーンの"粋で愛らしい大人の駆け引き感"とか、主に台詞部分での楽しさも詰まっている。

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 台詞で言うと、やはりダニーとテス(ジュリア・ロバーツ)のやり取りに注目だ。まずは、二人が4年ぶりに再会するレストランのシーン。ここでの二人は、かつて夫婦だったのに、あるいは、そうであったがゆえ、決して仲良しではない。泥棒であることを隠したまま結婚し、ある日突然逮捕されて目の前から消えてしまったダニーに、テスは怒っている。その前提の上で、このシーンでの二人の会話は、そうは言ってもこの二人はお似合いだ、ということを実に美しく表現する。例えば…

 「あなたは泥棒で嘘つきよ!」

 「今の俺は違う。もうやめるよ。」

 「どっちを?」

 「嘘つきを。」

とか。あるいは、テスの現彼氏であり、ダニーたちの獲物でもある極悪カジノ経営者テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア)についての…

 「奴は君を笑わせるかい?」

 「…泣かせることはないわ。」

とかね。最高でしょ。つまり、二人の掛け合いによって粋とユーモアが完成しているため、行われているのは険悪な言い合いだとしても、観ているこちらは知らず知らずの内に彼らを"パートナー"として認めてしまうのである。"喧嘩するほど仲が良い"ということわざは、このシーンのためにあると言ってもよかろう。ちなみに、俺たちの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、これと同じようなことをやっている。物語序盤、惑星ノヴァで後のガーディアンズたちが追いかけっこするシークエンスだ。あれは本当に名シークエンス。動きで表現している分、本作より映画としては正しいとも言える。

※さらにちなみに、今のところどうやらジェームズ・ガンは『GOTG3』から降ろされるっぽいな。ファンたちの署名活動(筆者もしました。ここで。)や、メイン・キャスト全員からの公式声明にも関わらず、10年前にTwitterにふざけて投稿した小児性愛や強姦に関するハードなジョークを理由に、ディズニーは俺たちのガンちゃんを外そうとしている。もう…バカなんじゃねぇの? ディズニー、ぶっメ木几又す!

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 さて、気を取り直して…。ダニーとテスの会話でもう一つ注目なのは、オーシャンと十一人の仲間が見事に仕事を成し遂げ、それから"3ヶ月から6ヶ月"経った後のシーン。仮釈放中に州外に出たことで再度服役していたダニーを、テス(とラスティ)がお出迎えする。ここでの二人の会話!

 「指輪は捨てたと言ったじゃないか。嘘つき(Liar)。」

 「…泥棒(Thief)。」

 はい、これです! 先述のレストランでの会話にもあった通り、ダニーは嘘つきをやめると宣言した。でも、泥棒ってのは嘘つきじゃないと務まらない。そこで、ダニーが失ってしまった"嘘つきの役目"を、今度はテスが担当するのである。このピッタリはまったお似合いの夫婦感! もちろん、別にマジでそうなんじゃない。今後ダニーはサトラレ並みの正直者になり、その代わりテスがウソップ並みに嘘ばかりつく。なんてことはないだろう。あくまでギミックなんだよ。だから、なんじゃそのコジャレただけの上っ面演出は!と呆れる人もいるだろう。でも、いいじゃない。気持ちいいじゃない。オシャンティじゃない。

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 筆者がやや不満だったのは、クライマックス以降の流れだろうか。仲間集め時の軽快さが失速し、ちょっとだけ鈍重になった印象。まぁ、くどくどした台詞説明が続いてしまうことは、この手の"騙し合いもの" 、すなわち、"コンゲームもの"に課されたある種の宿命だから致し方ないかなぁとは思う。ダニーのもう一つ(にして、実はメイン)の目的である"テスを振り向かせる"ための仕掛けが、結構お粗末。これもまぁ目をつぶるか。あれだけじゃあ、ベネディクトの「いやいや、金を取り戻すために嘘を言ったまでさ。」で弁明できそうだけど、さすがに"女心の盗難"を説得的に映像化するのは至難であろう(もし「金が戻ればお前を忘れるってのは嘘さ。」を本当に言わせていたら、テスに関しては嘘つきたることをやめたダニーとの対比で、メタ的な観点からはより説得的になっていたかもしれない。)。

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 なんだけど、そういった若干の弱さがあるのなら、やっぱり強奪成功後もそれまで通りの軽いノリで締めくくった方がよかった。連行されたダニー以外の"オーシャンズ11"が並んでベラージオの噴水を見上げ、「俺たちは…俺たちは…やったぜ…!」みたいな雰囲気になるくだりは、ちょっとセンチ過ぎる。確かに"男の哀愁"みたいな雰囲気があって渋くはあるが、そんなに自画自賛されると、先述のアラを指摘したくなっちゃうんだよな。よくよく考えりゃあ、ダニーの真の目的だって、言っちゃえばただの痴話喧嘩なんだし…。もっとこう軽快かつ颯爽と彼らが去っていったなら、「いや、あんたらスゴいことしたんだぜ? ヒュー!」とより素直に喝采を送る余地もあっただろうに。

点数:82/100点
 というわけで、本作『オーシャンズ11』は、終盤の失速にやや不満はあるものの、かつて一世を風靡した"新世紀のコンゲームもの"として、やはり最高に楽しい作品であった。同じソダーバーグ監督の『ローガン・ラッキー』の感想で、筆者は「『オーシャンズ』シリーズは大事なところで照れてスカすから嫌。」みたいなトンチンカンなことを書いたが、それは幼き学生時代に抱いたやや的外れな印象だったのだな。おっと、言い訳したところで、筆者は嘘をついてしまったということだ。これはもう、同居人に盗みをやってもらうしかないや。

(鑑賞日:2018.8.7)

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Posted byMr.Alan Smithee

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