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キャッチコピー
・英語版:Twelve Is The New Eleven.
・日本語版:今度の11(イレブン)は、12人でキメる

 世の中には二種類の人間がいる。
 物語を信じる者とそうでない者である。

三文あらすじ:ラスベガスでの犯行から数年後。再び怪盗団を結成したダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)と仲間たちだが、思わぬ敵に行く手を阻まれる。ローマ、パリ、アムステルダムを舞台に繰り広げられる大勝負の行方とは・・・


~*~*~*~


 明日から公開『オーシャンズ8』のための復習を続ける。本作『オーシャンズ12』は、前作『オーシャンズ11』の正統な続編である。ダニー・オーシャン及び彼の十一人の仲間は全員再集合。ここにプラス一人、前作ではヒロイン…というか、むしろカジノの大金同様の"お宝"として登場していた"テスことジュリア・ロバーツ"(これポイント!)が、十二人目の仲間として加わっている。更には、元サヤに収まってしまったテスに代わる"やけぼっくいポジション"としてキャサリン・ゼタ=ジョーンズとか、オーシャンらと"泥棒バトル"を繰り広げる新進気鋭の怪盗"ナイト・フォックス"としてヴァンサン・カッセルとか、あと、本人役のカメオでブルース・ウィリスとか、主にキャスト面での大幅なパワーアップが、本作最大の見どころだ。

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 で、詰まるところ、本作にはその"スター大集合"という見どころ以外の見どころが、ほとんど無い。まぁ、たぶんわざとそうしてるんだよ。"男"と書いて"泥棒"と読ませるクールさとか、彼らのスマートな犯行(もちろん、突っ込みどころは山ほどあったが)とかは、もうどうでもいいんだ。最も端的なのは、やはり"ヤジ馬作戦"のくだりであろう。元々は『Honor Among Thieves』という作品として書かれた脚本を急遽『オーシャンズ』仕様に改造したというだけあって、本作には泥棒界の歴史とか"技名"(作戦名?)への言及が多いが、"ヤジ馬作戦"もその一つ。要は、何かしらのイザコザとか有名人の登場とかの混乱に乗じてお目当てのブツをすり替えるというやり方なんだと思うが、大問題なのは、このくだりでテスにジュリア・ロバーツのふりをさせる、という展開である。

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 ダニー以下、大半のメンバーが捕まってしまい、後に残されたライナス(マット・デイモン)らは、アメリカからテスを呼びつけて、妊娠中のジュリア・ロバーツのふりをさせる。ハリウッド・スター登場という混乱にプラスして、妊婦が倒れる混乱をも招来せしめん腹積もりなのだろうが、このメタフィクションは、本当に観客を冷めさせる禁じ手だ。『ルパン三世 Green vs Red』の感想でもちょっと書いたが、"映画のウソ"を堂々と白状してしまうのは、タブー中のタブーである。いや、そうだよ? テスはジュリア・ロバーツだよ? そんなこと、俺たちは、百も二百も三百も承知さ。でも…これはジュリア・ロバーツじゃない…テス・オーシャンという女性なんだ。この広い世界のどこかに…そんな人が本当にいるんだ…と我々は信じている。少なくともそういう"てい"で映画を観ている。それをデリカシーなくバラされちゃあ、もう、あーあーじゃあどーでもいいです…ってなるに決まっている。

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 本作が、前作の"コンゲームもの"としてのフレームを敢えて捨て去っていることが分かる展開は、もう一つある。それは、実はオーシャンらはフォックスの監視を知っていたので、ずっと演技していた、という種明かしである。これはテスがジュリア・ロバーツのふりをする展開の補完、またはその逆と言った方がいいかもしれないが、まぁとにかく、これもある意味で観客を酷くゲンナリさせる趣向だ。要は、"夢オチ"と一緒だよ。もしくは、『NARUTO』の"影分身合戦"とか。同作の"幻術合戦"とかもそうだよな。はい、全部嘘でしたー!ってやられた感じ。または、裏読んでましたー! はい、その裏を読んでましたー!ってやられた感じ。これを大した根拠も必然性もなくやられたら、あーあーじゃあどーでもいいです…ってなるでしょう?

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 まぁ、確かに、そうやって"スターのワチャワチャ"にのみ特化しただけあって、いわゆる"楽屋ネタ"の数々は、結構楽しい。ブルース・ウィリスが繰り返し「レストランのシーンで奥さんがあなたに話しかけないから気付いちゃいました♪」と言われるとか。これはもちろん『シックス・センス』のことである。ブルースが「へっ…嘘だね。そんな簡単に気付かれる作品が6億5千万も稼げるかよ。」と負け惜しみの独り言を言うのもクスッとさせられる。ライナスがブルースに「オスカーのご利益なんてすぐ忘れられる。分かるでしょ?」と言い、ブルースが「…分からんね。」と言うくだりは、ライナスを演じるマット・デイモンとジュリア・ロバーツはアカデミー賞を取ったことがあるがブルース・ウィリスには受賞歴がない、という事実を知っていれば笑える皮肉だし、本物のジュリア・ロバーツがこれから撮影に入ると言及された『Clowns Can't Sleep(ピエロは眠らない)』は、実は本作のワーキング・タイトルだったりする。

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 あと、本作で格段に出番が増えたジュリア・ロバーツと、本作から登場の新キャラを演じるキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。この二人は素晴らしい。本当に本当に本当に可愛い。ジュリア・ロバーツは、何と言ったらいいのか、あの"お転婆感"。すっげー気が強いんだけど、その表裏として愛する男性とイチャイチャするときは激しい感じ。これなんだよ。幼き頃から筆者が探し求めてきた理想の女性像は、これなんだよ。対するゼタージョ。これはもう…ただただはちゃめちゃに可愛い。それ以外の言葉が思い付かない。乳もデカイし、言うこと無し。ちなみに、ナイト・フォックスが美術館のレーザー網を華麗にかいくぐっていくくだりは、ゼタージョがショーン・コネリーと共演した『エントラップメント』への明確で露骨なオマージュだ。さらにちなみに、残念ながらジュリーロとゼタージョはすっごい仲が悪いらしく、本作撮影中に二人が顔を合わせることは無かったんだとか。

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 てな感じで、楽しいところがたくさんある作品ではある。しかしながら、我々"映画好き"は、本作を決して認めてはならない。我々は"物語"を信じている。もちろん、先述したような、テスはジュリア・ロバーツじゃなくて実在する人物なんだ、なんて妄想に取り付かれているわけではない。"物語"は"偽物"である。でも、それはくだらない現実と戦う俺たちにとってのほとんど唯一の希望だ。"物語"を信じる、とは、"物語"が現実なんだと信じることではなく、現実と戦うための"武器"としての"物語の力"を信じる、という意味である。だからこそ、"物語"が嘘っぱちだとバラしてしまうような作品を、我々は忌避しなければならない。こんな余暇の合間に友人たちと撮影したようなコソ泥作品に、俺たちの"宝物"を盗まれる筋合いはない。

点数:50/100点
 前作に引き続き、オシャンティな連中によるハイソなやり取りを気楽に楽しめる作品であることは間違いない。でも、許しちゃダメだ。警戒を緩めちゃダメだ。俺たちの"宝物"をしっかり守らなきゃ。一応トリロジーの最終作までは復習するけれど、リブート版はきちんとした"物語"になっていることを、筆者は切に願う。

(鑑賞日:2018.8.8)

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Posted byMr.Alan Smithee

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