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27
2012

[No.64] キル・ビル Vol.1(Kill Bill Vol.1) <84点>

Kill Bill Vol.1



キャッチコピー:『許せない、許さない。』

 復讐の知能、人間が今までに一番頭をはたらかしたのは、この部分である。

三文あらすじ:暗殺集団デッドリー・バイパースの凄腕暗殺者”ブラック・マンバ”(ユマ・サーマン)は、自身が妊娠していることを知り、同集団のボスであり恋人でもある”スネークチャーマー”ビル(デビッド・キャラダイン)の下から姿を消す。暗殺者たる自分を捨てたブラック・マンバは、エル・パソでしがないCDショップを営むトミー・プリンプトンの花嫁(ザ・ブライド)としての人生をひっそりと送ろうとしていたが、結婚式のリハーサルにビル率いる暗殺者4人が乱入、参列者を虐殺し、ザ・ブライドをリンチした後、彼女の頭部を撃ち抜く。4年後、昏睡状態から目覚めたザ・ブライドは、ビルを殺す(Kill Bill)ため、暗殺集団に対し血の復讐を開始する・・・


~*~*~*~

 
 タランティーノ監督4作目にして集大成の本シリーズ。特にこのVol.1は、彼が愛して止まないB級カンフー映画やB級日本映画へのオマージュが全編に溢れている。
 主人公ザ・ブライドを演じるのは、ユマ・サーマン。彼女もまたタランティーノが愛して止まない女優だ。何を隠そうザ・ブライドのキャラクターは『パルプ・フィション』撮影時のユマとタランティーノの雑談から創作されたらしく、クレジットにも”created by Q&U”と表記されている。また、本作は「あの企画はどうなっているのよ。」とユマに詰め寄られたタランティーノが、彼女の30歳の誕生プレゼントとして制作したらしく、この2人絶対ヤッチマッテルナァ!と邪推してしまうのも無理からぬところであろう。

 このような制作秘話も含め、本作は那由多~不可思議もあろうかと言うぐらいトリビアに溢れている。とてもじゃないが書ききれないので、気になる人はココを参照してもらいたい。

 キル・ビルのそんなこと100+1

 こうして見ると、本作はほとんど他作品のオマージュで構成されており、ある意味”つぎはぎ映画”と呼ぶこともできそうだ。しかし、つぎはぎで一本撮ってしまうのは紛れもなくタランティーノの才能だし、もちろん彼自身のセンスが爆発した演出や構成も随所に見られる。その最たるモノは、やはり彼お得意の”時系列バラし”だろう。

 タイトル登場後、ザ・ブライドと”コッパーヘッド”ヴァニータ・グリーン(ヴィヴィカ・A・フォックス)が戦うシークエンスは、いきなり”第1章2番”。実際の時系列では、まずプッシー・ワゴンを手に入れる病院のシークエンスがあり、その次に服部半蔵が登場する沖縄のシークエンス、そしてオーレン・石井を始末する青葉屋のシークエンスを経て、このヴァニータのシークエンスがある。

 このような”時系列バラし”は、カンヌでパルム・ドールを受賞しタランティーノの名を世界に轟かせた傑作『パルプ・フィション』で印象的に用いられた手法であり、今やタランティーノの代名詞となっているが、本作における時系列バラしは同作を凌ぐ、タランティーノ史上、いや、映画史上最高の時系列バラしだと筆者は確信している。
 それは、ひとえに本作の時系列バラしが”演出上の合理性””ストーリー上の合理性”の両方を有しているから。

 まず、“演出上の合理性”について。
 ザ・ブライドが最初に戦う敵がオーレンなのであれば、素直にオーレンとのバトルから描けばいいようにも思える。しかし、ジャパニーズ・ヤクザのトップに君臨し、巨大な組織で迎え撃つオーレンとの大立ち回りを冒頭で観せるのでは、その後の展開が極めて尻つぼみなものになってしまうし、何より冒頭からあんな血みどろの戦いを観せたのでは、観客は辟易としてしまうことだろう。そこで、時系列をバラし、一軒家のキッチンとリビングのみでの殺し合いという最もこぢんまりしたヴァニータのシークエンスを冒頭に持ってくる。

 では、“ストーリー上の合理性”とは何か。
 オーレンのようないわば“巨大な敵”なんて、素直に後々の標的にしておけば、時系列バラしなどせずにすむのである。しかし、劇中でも言及されている通り、敵の所在について何の手がかりも持たないザ・ブライドが最も情報を得やすい人物は、よく考えればジャパニーズ・ヤクザのボスたるオーレンを置いて他にはいない。ザ・ブライドの現状に思いを致せばオーレンがザ・ブライドの最初の標的になることは必然であり、上記“演出上の合理性”と併せて考えれば本作の時系列バラしが必然と理解出来るだろう。

 また、この時系列バラしにより、波及的に”何故ザ・ブライドはあまりにも奇抜すぎるプッシー・ワゴンに乗っているのか”、”復讐リストでヴァニータより先に名を消されているオーレン・石井とは誰なのか”といった”引き”が生まれる。素晴らしく、これ以外ない、完璧な時系列バラしである。

 話は変わって、本作において”笑い”という意味でおもしろいのは、やはり登場人物が話す”おかしな日本語”だろう。

 まず、日本公開当時最もフィーチャーされていたオーレン・石井の”ヤッチマイナァ!”という台詞がある。
 勢いがありキャッチーでそれでいておもしろい。DVD発売時のCMでは”買ッチマイナァ!”となっており、往々にしてあまり笑えない映画関係の宣伝の中では、郡を抜いて笑えるものとなっていた。この台詞に着目した日本の宣伝担当は天晴れだ。
 しかし、オーレン・石井が真におもしろいのは、実はこの台詞ではない。筆者的ベスト・ヒット・フレーズは、

 ”タナカノオヤブンハ、ムネニイチモツオアリノゴヨウス”
 (田中の親分は、胸に一物おありのご様子)

 これはおもしろい。
 その他にも、ザ・ブライドの日本刀を服部半蔵が作ったと聞いて、かなり食い気味で放つ”ウソツケヘェェェ”も”ムネニイチモツ”と双璧を成すおもしろフレーズである。
 ただ、ザ・ブライドとの最後の斬り合い前に言う”キナ(来な)”は、かなり格好いい。

 次におもしろいのは、日本人にも関わらずかなり珍妙な日本語の演技を披露してくれるソニー・千葉こと千葉真一。寿司屋の店主に身をやつした伝説の刀鍛冶服部半蔵役で登場する彼は、どこか藤岡弘、と被る最高におもしろいキャラクターである。
 彼は日本人だから、オーレンのような片言のおもしろさはない。彼がおもしろいのは”台詞の噛み具合”である。
 まず、尋ねてきたザ・ブライドに飲み物のオーダーを取るシーン。弟子とどちらが酒を運ぶかの口論となり、半蔵がビシッと言い放つ。

 「俺…お前は酒を運ぶ、しぃ…役目なんだ!」

 噛みすぎ噛みすぎ。
 これに続けての「このハゲ!よく覚えとけドゥユーアンダースタ~ン?」も爆笑必至である。もうこうなってくると、その後ザ・ブライドに服部半蔵の名前を出された際のシリアスな台詞「服部半蔵に、何のご用ですか…。」もおかしくて仕方がない。
 もう一か所決定的に噛んでしまうのは、ザ・ブライドに日本刀を授けるシーン。神仏に誓った禁を破り刀を作ったことを語る極めて厳粛なシーンだ。彼は言う。「うぬぼれではなく、これは私の最高傑作。」いいね、格好いい。

 「旅の途上で、神がただ…神が立ちはだかれば神をも切れるであろう。」

 やっぱり噛んだー!
 刀の切れ味にすら疑問が生まれる決定的な噛み方である。おもしろいなぁ。受け取ったザ・ブライドの「ドウモ。」もちょっとおもしろい。軽っ。あんな得意げに喋ってた「アリガトウ。」はどうした。
 なお、誤解の無いように言っておくが、千葉真一と言えば、元祖アクションスター。『トゥルー・ロマンス』でも言及されていたように、カンフー映画の神様とも言えるほどの偉大な俳優である。

 その他、特筆すべきは、ラストシーン。
 ザ・ブライドに両腕を切断され、病院前に放り出されるオーレンの腹心の部下ソフィ・ファタール(ジュリー・ドレフュス)。治療を受けた彼女をビルが見舞い、事の顛末を聞くシーンだ。
 服部半蔵の刀授与シーンでも使われた尺八的な音楽に乗せ、自らの罪を悔いる”サイドワインダー”バド(マイケル・マドセン)や花嫁姿のザ・ブライドなど、Vol.2のシーンが予告的に挿入された後、ビルがソフィに言う。

 「もう1つ聞く、ソフィ。彼女は娘が生きていると知っているのか?」

 暗転、終幕。素晴らしい。
 これはまさに、映画史上最高に衝撃的だった台詞とも言えるダースベイダーの「I'm Your Father.」に通ずる名台詞である。そして、このラストシーンによって本作は、映画史上最高の続編と言われる『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』に匹敵するほどの続編への”引き”を観客に与えることに成功しているのだ。Vol.2でのビルの出で立ちがどこかジェダイの騎士っぽいので、ひょっとしたらタランティーノはその辺を意識してやったのかもしれない。
 とにかく、本来1作の予定だったストーリーをVol.1とVol.2に分割した上での、この構成力。タランティーノは、やっぱりスゴイ。

 以上、色々と本作をベタ褒めしたが”やり過ぎ感”があるのもまた事実。過剰に詰め込まれた”日本描写”や”B級映画へのオマージュ”にしてもそう、突然挿入されるアニメーションにしてもそう、ラスト”青葉屋の決闘”にしてもそう。タランティーノ好きならまだいいが、そうでない観客はお腹いっぱいで胸焼けしてしまうに違いない。まともな映画としてではなく、漫画やアニメーションのように鑑賞するのが、本作を楽しむコツではないだろうか。

点数:84/100点
 本作に客観的な点数付けをするのは難しい。タランティーノの趣味がこれでもかというくらい押し出されているので、本作の評価も観る者の趣味指向によって様々だろう。しっくりくる人には紛れもないマスターピースだが、大抵の人にとってはムネニイチモツ抱く作品だ。

(鑑賞日:2012.3.24)


















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Tag:紫煙をくゆらせて 日本刀最強説 これが女の生きる道 バカ映画

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