[No.82] プロット・デバイス(Plot Device) <85点>

Plot Device

キャッチコピー:unknown

 これぞ、映画版”絵本入り込み靴”。

三文あらすじ:映画監督を志すある青年。映画制作のガイド本を購入しようとAmazonを見ていると、一緒に買えば5%オフの商品として”プロット・デバイス(Plot Device)”なる謎のアイテムが表示される。思わずまとめ買いをする彼だったが、プロット・デバイスとはなんと映画の世界に入り込める装置だった・・・

<本編(9分14秒)>



~*~*~*~

 
 まだまだあるぞ、傑作ショートフィルム。今回は、映画の世界に入り込める夢のアイテムを巡る冒険『プロット・デバイス』。これは極めて秀逸な作品である。特筆すべきは、次の2点。

 まず、色んな映画の”あるある”。プロット・デバイスによって主人公が旅する映画の世界は、恋愛映画、アクション映画、ゾンビ映画、SF映画など様々だが、どのシークエンスも”あぁ、こういうのあるよね。”と観客をニヤッとさせる。

 例えば、主人公が2番目に入り込む”刑事アクション映画”の世界。これは完全に『リーサル・ウエポン』だ。刑事2人が車の背後に隠れて犯人と銃撃戦を繰り広げる、というのは、まさに同シリーズ4作目のアヴァンタイトルとシンクロするし、退職を間近に控えた黒人の相棒というのもダニー・グローバー演じるマータフ刑事と被る。また「1・2・3で飛び出せ!」というのは、リッグスとマータフにとって同シリーズを通しての”お決まり”だから、ファンにはうれしい台詞だ。

 もっとも”黒人の刑事が相棒”ということで言うなら『ダイ・ハード』におけるパウエル巡査もそうだし、”退職間近の黒人刑事”ということで言うなら『セブン』におけるサマセット刑事も思い出されるところ。まぁとにかく、刑事モノの”あるある”が上手く盛り込まれているということだ。

 また、本作最大の見せ場である”エイリアン侵略SF映画”の世界。このシークエンスのクライマックスで主人公が言う「Get Off My Lawn.」は、アメリカの頑固ジジイが良く言う”お決まり”であると同時に、『グラン・トリノ』ではクリント・イーストウッド演じるウォルト・コワルスキーがショットガンを構えながら口にしていた台詞でもある。その後、プロット・デバイスを取り返した主人公がひざまずくシーンは、まるで『プラトーン』だが、見様によっては『ザ・ロック』のラストでスタンリー・グッドスピードが見せたあの壮大な発煙筒シーンを彷彿とさせる。いや、でもこのシークエンスがSFということに思いを致すと、SF作品で似たようなシーンがあったような…というように、本作では、随所に散りばめられた各ジャンル映画へのオマージュが見所の1つだ。

 次に、ラストの”オチ”。最近ショートフィルムを見始めて分かったことは、オチが特に重要であるということ。結末へと至る過程を詳細に描くことが出来る長編映画とは違い、ショートフィルムでは短い尺の関係上、オチが全てと言っても過言では無いように思う。

 その点、本作の落としどころは極めて上手い。上述したSF映画の世界から脱出した主人公は、1番始めに入り込んだ恋愛映画の世界に戻ってくる。いきなり愛の台詞を吐きながら自分目がけて走ってくる花嫁に最初引いていた主人公も、過酷な映画世界を体験した今、この世界が1番良いということに気付く。しかも花嫁はかなりの美人!言うこと無しだ。

 花嫁と見つめ合い、恋愛映画のハッピーエンドよろしくいざキスシーン…というところで、主人公がうっかりプロット・デバイスを落としてしまい、スイッチが押されたところで終幕。なんとも上手いオチである。

 また、エンドロール後明らかになる次の世界も極めて上手な落としどころ。今度の世界は、一見普通の日常で、彼はほっと胸をなで下ろす。しかし、そのとき、彼の肩にアニメーションの鳥が。そう、この世界は『スペース・ジャム』『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』のような”アニメと実写が融合した映画”だったのである。これは、ちょうどええ。一瞬の安堵から既にプロット・デバイスを破壊してしまった主人公にとって激しすぎず悲しすぎず、それでいて観客はしっかり笑えるくらいには悲劇的な世界。ちょうどいいでしょう。

点数:85/100点
 正直、時間に追われているため、最近は長編映画を観ることが出来ていないのだが、本作のような秀逸な作品を観ると、やっぱりショートフィルムも捨てた物ではないと実感する。筆者のショートフィルムあさりはまだしばらく続きそうだ。5~10分であらゆるジャンルを楽しめるショートフィルムこそ、さしずめプロット・デバイスだと言えるだろう。

(鑑賞日[初]:2012.4.28)

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